コロナ影響下でも、ファッションECが堅調。注文数と平均注文額が大幅増

オンライン試着プラットフォームを提供するファッションビッグデータカンパニーの株式会社Virtusizeは、国内大手ファッションEC事業者の300万件を超える購買データを分析し、ファッションECへの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を調査した。

■総括

ファッションECにおける売り上げは堅調であり、顧客の購買行動は変化している
・全体として、COVID-19の影響が大きい期間中のファッションECにおける売り上げは堅調。注文数と平均注文額は、どちらも2019年の同時期と比較して大幅に増加している。しかし、この期間のファッション全体の消費量が低いと考えると、COVID-19の影響がなければ売り上げはより増加していた可能性があるという見方もできる。
・分析期間のファッションECでの購買は週末により一層集中するようになっている。
・分析期間の購買のピーク時間は、従来の午後9時よりも早い午後7時頃にシフトしている。

■各項目の詳細

・ファッションECの売り上げと注文額は堅調
出典元:プレスリリース
ファッションECの売り上げは昨年2019年の同時期に比べて約20%増加している。国内ファッションEC市場の過去5年間の年間成長率が10~20%であることを考えると、この成長は高水準であると言える。興味深いことに、注文回数が増えているだけではなく、購入単価も上昇しているが、1注文あたりの商品数についてはほとんど影響がない。
出典元:プレスリリース
オンラインファッションECの販売傾向をより詳細に把握し、収益への影響に関する考察と掛け合わせるために、COVID-19の影響が大きい期間と、前年2019年の同期間について時系列分析を行った。グラフを見ると、COVID-19の影響が大きい期間でも売り上げは堅調であることがわかる。
出典元:プレスリリース
しかし、COVID-19の影響により、売り上げの成長率が鈍化した可能性もありそうだ。成長率への影響は、今後数週間でより明らかになるとみられる。
・分析期間のファッションECでの購買は週末により一層集中するようになっている。
出典元:プレスリリース
ファッションECでの購買は通常、週末に行われる傾向がある。興味深いことに、COVID-19の影響により、この傾向はさらに顕著になっている。土曜日と日曜日の2日間の合計売上割合は全体の37%を占めている。これは、週末に外で買い物をするよりも屋内に滞在する人が増えた結果であるという可能性も考えられる。このことを考慮すると消費者へのアプローチは週末に行った方がより効果的であるという見方もできる。
・分析期間の購買のピーク時間は、従来の午後9時よりも早い午後7時頃にシフトしている。
出典元:プレスリリース
従来、ファッションECでの購買数は仕事先や外出先から帰宅した後の時間と思われる午後9時頃から増加し始めていた。一方現在では、購買数が増加し始める時間は午後7時頃からとなっており、購買自体が早い時間帯に移っている傾向があることがわかった。これは外出・外食をする人が少なく、早い時間に帰宅する人が多いことが原因である可能性がある。社会活動と距離をとる動きが広がるにつれて、この傾向は少なくとも一定期間、継続するだろう。その場合、購買時間帯に合わせた販売促進施策の調整も行う必要がありそうだ。

調査概要
調査期間(1):COVID-19の影響で多くの公立学校が閉鎖を決定した2020年2月28日から2020年3月23日まで
調査期間(2):調査期間(1) と同じ数の曜日を含む昨年2019年3日1日から2019年3月25日まで
調査データ:国内大手ファッションEC事業者の300万件以上の購買データ

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