プログラミング教育の全国首長アンケート調査  習熟状況は、自治体規模により大きな格差があると明らかに

学校法人先端教育機構は、プログラミング教育への実態調査を目的として、全国都道府県・市区町村の首長を対象にプログラミング教育に関するアンケートを実施し、318の自治体から回答を得たと発表した。

■調査の目的

2020年4月より、小学校におけるプログラミング教育が必修となった。これまで、プログラミング教育に関する各自治体の準備状況については調査がなされてきたが、必修化が開始して以降の取組状況や今後の展望については、十分に明らかにされていない。そこで、学校法人先端教育機構では、プログラミング教材を開発するソニー・インタラクティブエンタテインメントと共同で、各自治体におけるプログラミング教育の実施体制・内容や課題、特に育成したい知識・スキル、今後の計画等を検証し、今後の教育政策・関連事業等に役立つ知見を得ることを目的として調査を実施したとのことだ。

■全国自治体が考えるプログラミング教育開始時期について

プログラミング教育を始めるべき時期について、小学生が妥当と考える自治体が約9割であり、特に低学年(1~2年生)が約40%、中学年(3~4年生)が約30%、高学年(5~6年生)が約20%であり、早期から開始することを肯定的に捉える傾向が分かった。
出典元:プレスリリース

■プログラミング教育を通じて身につけるべき知識・人口規模との関係について

プログラミング教育を通じて児童に身につけて欲しい知識等について、特に優先度が高いものとして挙げられたのが、「プログラミング学習に楽しんで取り組む」「『プログラミング的思考』ができる」「間違いやエラーを恐れず、前向きにチャレンジしようとする姿勢」の三要素であることが分かった。本結果を受けて「『プログラミング的思考』の習得」はもちろん、身につけるべき知識・態度として従来指摘されてこなかった項目も多く選択された。
出典元:プレスリリース
一方、プログラミング教育を通じて身につけるべき知識等について、その習熟状況は、自治体規模により、大きな格差があることが明らかとなった。
出典元:プレスリリース

■プログラミング教育が秘める可能性について

プログラミング教育を通じて身につけるべき知識等について、その習熟状況は自治体規模によって大きな格差があることは前述の通りだが、規模によらず、「課題探究の結果等をプレゼンテーションする学習」などのプログラミング学習が、習熟状況に寄与する可能性があることが明らかになった。例えば、人口1万人未満の自治体においても、「課題探究の結果等をプレゼンテーションする学習」を半数以上の学校で実施している場合(グラフ中の「該当」群)、「プログラミングの学習に楽しんで取り組む」態度を児童が身につけていると評価する割合は87%であり、他方で人口10万人以上の自治体でも当該学習を積極的に進めていない場合(グラフ中の「非該当」群)、習熟状況を肯定的に評価する割合は65%にとどまった。同様の傾向は、「間違いやエラーを恐れず、前向きにチャレンジしようとする姿勢」などについても確認されている。
出典元:プレスリリース
アンケート調査概要>※2020年6月9日現在
「プログラミング教育 全国首長アンケート」
本調査は全国都道府県・市区町村 首長に対し、プログラミング教育に関するアンケートを本研究所が実施したもの。
調査主体: 学校法人先端教育機構
      株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(ロボットトイ「toio」)
調査対象: 全国都道府県・市区町村 首長
     (送付数:1,788件、回答:318件 内訳:都道府県13件、市区町村305件)
調査内容: プログラミング教育の取り組み状況・期待すること・課題・今後の計画
回答方法: 郵送およびWEBを利用したアンケート調査
回答期間: 2020年4月~6月

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