東急ハンズでAI顔認証の「アバター遠隔接客」が実施 「アバターの方が気軽に話しかけやすい」という声も

サイバーリンクは2020年6月15日まで、株式会社NTTデータが、株式会社東急ハンズの協力のもと行った、オペレーターの動きと連動するアバターを介して遠隔から商品を提案・訴求するデジタルストアの実証実験にAI顔認証エンジン「FaceMe」を提供したと発表した。

本実証実験では、東急ハンズ渋谷スクランブルスクエア店のUV特集コーナーにアバター特設ブースを設営し、UV対策商品に詳しいスタッフが本社(新宿)から用途や肌状態などを聞き、利用者の要望にあった商品を案内した。また、利用者からの質問に対し、その場に行かなくても従来の対面接客と同じように分かりやすく応対できることを目指した。実験を通じ、「アバターの方が気軽に話しかけやすい」「説明と商品画像がセットで表示され分かりやすい」といった好意的な意見を確認できたという。この結果からスタッフの働き方に、接客=対面という常識にとらわれない新たな選択肢が増えたとのことだ。また、実店舗で利用者の性別および年齢層、感情を推定するデータと、対話データの取得に成功し、時間帯ごとの来店する客層や会話の中にあるニーズが把握できるようになった。

■本実証実験の背景

近年、小売業界では労働人口の減少、好立地な出店場所の減少により、実店舗の出店拡大が困難になっている。また、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の感染防止を目的に、人と人との接触機会を極力減らした接客の姿、在宅勤務等のスタッフの働き方変革が迫られている。こうした市場環境を踏まえ、小規模・省力化店舗や非対面の接客の実現手段として、アバター遠隔接客ソリューションを東急ハンズに提供したとのことだ。
出典元:プレスリリース

■実証実験の内容

東急ハンズ渋谷スクランブルスクエア店のUV特集コーナーに、アバター特設ブースを設営した。美容やコスメに詳しい専門のスタッフが、要望(商品の使用用途や肌状態など)を聞き、おすすめの商品を紹介する接客業務を本社から実施し、その場にいなくても分かりやすく案内できるのか、購入への後押しができるのか検証を行った。また、一連の購買行動の中でスムーズに売り場に誘導できるよう、NTTデータが顧客体験のシナリオ設計から考え、店舗デザイン、商品ディスプレイ、商品画像、売り場案内の動画やポスターを複数パターン制作し、利用者の行動の変化を観察・計測した。

・検証期間
2020/6/1~2020/6/15

・検証場所
東急ハンズ渋谷スクランブルスクエア店 ヘルス&ビューティコーナー

■検証結果

1.遠隔からの双方向コミュニケーションが接客スタッフの新しい働き方を提供
アバターを介し、非対面で利用者とスタッフが対話できる仕組みを提供した。利用者へのアンケートの結果、アバターの気軽さと疑問を解決してくれる知識の豊富さに対し、「他のお店にもいてくれたら助かる」「友達にも紹介したい」と接客品質に満足度が高かったことが分かった。また、紹介した商品画像を画面に表示することで従来よりも説明の内容が伝えやすく、接客時間を短くしながらも購入を後押しできることが確認できたという。これはスタッフが顔や姿を見せなくても遠隔から十分にサポートできることを示しており、接客に従事するスタッフの働き方の選択肢を増やすことが期待できるとのことだ。

2.脳科学×AIの活用でコンテンツに込める想いを事前に評価可能に
売り場の案内動画や商品画像などのコンテンツの制作にあたり、NTTデータのソリューションNeuroAIで好感度や試用意向度(試してみたいと思うキモチ)を評価し、指標が異なるコンテンツを、期間を分けて採用した。実験の結果、NeuroAIで評価した指標と、「UV特集コーナー」の売り場に対する利用者の認識率に相関性が確認できたという。これにより、科学的なアプローチで利用者がショッピングをより楽しみ、売り場の魅力がより伝わるようなコンテンツを選んで売り場を設計できることが期待される。

3.AI技術で利用者のニーズ把握とスタッフの接客術の蓄積を可能に
利用者の性別および年齢層、感情を推定する顔認識AIの技術と、会話内容を高精度にテキスト化する音声認識技術により、実店舗の環境下でも、売り場の客層や会話の中から利用者のニーズ把握に成功したという。これにより、従来は属人化されていた接客術を他のスタッフに共有でき、接客品質の向上への活用が期待される。また、利用者の声を起点にした商品開発や店舗開発、プロモーションの実現により、商品・サービスの改善、満足度の向上に貢献するとのことだ。
出典元:プレスリリース

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