建設・不動産業界で「MR(複合現実)」を活用した生産性改革を推進 マンションの外壁タイル打診検査に利用

株式会社 長谷工コーポレーション(以下 長谷工)と株式会社アウトソーシングテクノロジーは、日本マイクロソフト株式会社と連携して最先端のデジタル技術を活用した建設・不動産業界における生産性改革を推進すると発表した。その一環として、長谷工とアウトソーシングテクノロジーは、マンションの外壁タイル打診検査のための、Mixed Reality (MR、複合現実)ソリューション『AR匠RESIDENCE (エーアールタクミレジデンス)』を共同開発した。

『AR匠RESIDENCE』は、2020年7月より、株式会社長谷工リフォームが建物診断を行う関東エリアに導入し、順次、全国へ活用を広げていく予定だという。また、アウトソーシングテクノロジーは、年内に他の建設・リフォーム会社を対象に『AR匠RESIDENCE』の販売受付とトライアル運用を開始する予定だ。3社では、本ソリューションの展開を皮切りに、建設・不動産業界における生産性改革や働き方改革に貢献するという。

『AR匠RESIDENCE』を利用した検査の様子
出典元:プレスリリース
従来の打診検査と「AR匠RESIDENCE」による打診検査の比較
長谷工が2020年6月に実証実験を行った結果、現地での建物診断の作業量は変わらず 、報告書作成業務がほぼ半減したことから、全体業務の約30%を削減できることが判明したという。

■背景

マンションの外壁は、劣化等による剥落リスクがあることから、定期的なメンテナンスが必要だ。平成20年の建築基準法施行規則の一部改正では、10年ごとにタイル貼り、石貼り、モルタル等の歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の外壁について全面打診調査が義務付けられている。

マンションストックが拡大し続ける中、長谷工グループでは、それらの建物維持・メンテナンスに対応する労働者不足や昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止の観点からも、建物診断時のファーストラインワーカーを極力減らすことが可能なことから、居住者へ、安心・安全に繋がるサービスが提供できると考え、マンションの建物診断の現場に先端技術のMRを導入することになったとのことだ。
【従来の打診検査】
・検査は2名1組。1人が打診検査を行い、1人が図面を持ち、外壁の浮きやクラックの記録と写真撮影を行う。
・検査後、事務所で指摘箇所を図面にプロットし写真の照合、集計等の報告書作成を行う。

【『AR匠RESIDENCE』を利用した打診検査】
『AR匠RESIDENCE』は日本マイクロソフトの技術協力を得て、長谷工とアウトソーシングテクノロジーの共同開発によって実現した外壁タイル打診検査のためのMRソリューション。『AR匠RESIDENCE』を活用する外壁タイル打診検査は、現場の作業員(検査者)がマイクロソフトのヘッドマウントディスプレイ「HoloLens 2」を装着して点検記録を行う。
出典元:プレスリリース

■今後の展望

長谷工では「AR匠RESIDENCE」の改良を重ね、2021年頃を目途に妻壁や足場上等へ適用範囲の拡大を進め、建物診断から修繕工事中さらには建設工事中の施工・点検等と活用を広げる。また、劣化状況の分析等、クラウド上に収集するデータの活用も進める。一方、アウトソーシングテクノロジーは、AI技術を活用して点検データの傾向分析や外壁劣化検出も予定しているという。
各社の役割
・長谷工グループ:
 AR匠RESIDENCE企画開発、実証効果測定
 外壁検査ツールの適用範囲拡大企画、実証
 タイル打診検査以外での検査利用に向けた企画
・アウトソーシングテクノロジー:
 AR匠RESIDENCE企画・アプリ開発・販売
・日本マイクロソフト:
 AR匠RESIDENCEの開発・運用における技術協力

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