IoTデータ活用を通じた「持続可能な養豚繁殖モデル」の実証実験が開始 農場現場でのデジタル化の有効性を検証へ

ユニアデックスは、産学官連携で提案を行った「IoTデータ活用を通じた持続可能な養豚繁殖モデルの実証」が、農林水産省の公募事業「令和2年度スマート農業実証プロジェクト」に採択され、実証を開始すると発表した。本実証プロジェクトは、養豚業の中でも特に作業難易度が高く、出荷頭数への影響が大きい繁殖作業の最適化を図るだけでなく、作業効率化・防疫対策の観点からロボットなどの最新技術を活用することで作業員のプロセスを自動化し、持続可能な養豚経営支援のモデル化を目指す。

■背景

ユニアデックスでは、2017年度から共創パートナーとともに、現場でのIoT活用シナリオを立案・具現化する共創活動を行ってきた。その中で、阿波の金時豚で有名な納田牧場(徳島県)の協力の下、養豚業におけるデジタル化への取り組みを開始。その後、2019年度から本取り組みに賛同する研究機関とともに、持続可能な養豚経営に向けた産学官共同研究を行ってきた。

豚肉の国内需要は、30年前と比較すると約30%増加をしているにも関わらず、国内生産量は約20%減少している。食の安心安全の観点から、国内生産の需要は今後も増加していくと考えられており、生産量の維持拡大に向けた仕組みづくりが求められている。しかしながら、中小農家では経営者の高齢化や後継者不足、大規模農家では生産性の維持と労働力の確保が難しく、課題となっている。これらの課題解決のためには、働き手の技術レベルに依存しない生産体制の整備が急務となり、養牛・養鶏と比べて遅れていると言われている養豚業のデジタル化への取り組みが重要となるという。

■実証概要

本実証プロジェクトは、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の支援を受けて実施する。ユニアデックス並びに石川県公立大学法人石川県立大学、独立行政法人家畜改良センター、埼玉県農業技術研究センター、学校法人日本大学、株式会社スワイン・エクステンション&コンサルティング、有限会社NOUDAは、「養豚繁殖モデルスマート農業実証コンソーシアム」を設立し、本実証プロジェクトを令和2年度から2年間実施する予定だ。

具体的には、養豚業の作業の中でも、特に技術力が高く出荷頭数への影響が大きい「繁殖作業」に着目し「精液の品質評価」、「母豚の発情検知」、「母豚の分娩予兆検知」、「遠隔監視システムによる母豚の見守り」の4点について検証する。

また、本実証プロジェクトでは、農場現場でのデジタル化の有効性および、養豚経営に対する費用対効果を検証する。本取り組みにより、養豚経験が少ない作業者による受胎率80%、作業削減率30%の成果を目標にしているという。その中でユニアデックスは、繁殖作業における画像解析プログラムによる自動判定、台車ロボット・定点カメラを用いた遠隔監視と異常検知について、豚舎への技術実装を行い、その実用性を技術的に検証する。

■本実証プロジェクトの概要図

【左】農場で手軽に使用できる精液品質評価システム
【右】常設カメラの行動分析による発情検知システム、分娩検知システム
出典元:プレスリリース
ロボット、カメラ、センサーによる遠隔監視システム
出典元:プレスリリース

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