NTTデータ、慢性疾患の発症リスクを予測する「疾病予測AIソリューション」を開発 保険会社への提供を想定

株式会社NTTデータの海外グループ会社のNTT DATA Servicesでは、2型糖尿病・冠動脈性心疾患・慢性肝臓疾患(CLD)・慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)・脳卒中・関節炎といった慢性疾患の非侵襲的測定データ(生体を傷つけずに測定したデータ)を活用して、当該疾患の発症リスクを人工知能(AI)により算定する実証実験を行ったと発表した。本実証では、当該疾患の患者500万人以上の医療保険データ1,300万件や服用している医薬品データ、臨床データ、検査データを学習データとして、特定慢性疾患のリスクを持つ患者の早期予測を可能にする疾病予測AIソリューションを開発し、有効性を確認したという。

本ソリューションは保険会社への提供を想定しており、保険会社は本ソリューションを活用することで、保険加入者である一般ユーザーの慢性疾患発症のリスクスコアを、従来必要だった大規模な検査を行うことなく、簡易的に導き出し、加入者に提供することができるという。

本ソリューションは、今後、アメリカだけでなく、NTTデータやNTTデータのグループ会社であるeverisにより、日本やラテンアメリカ地域での展開も予定している。本ソリューションをグローバルで展開することで、国の医療費、従業員の生産性、社会経済などに直接的な影響を与えている慢性疾患発症の早期予測を支援するとのことだ。

■背景

重篤な基礎疾患を持つ人々が新型コロナウイルスに感染した場合、重症化のリスクが上昇するということが既に明らかになっており、各種疾患の早期発見や発症リスクの見える化が注目されている。本ソリューションが対象とする、2型糖尿病・冠動脈性心疾患・慢性肝臓疾患(CLD)・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・脳卒中・関節炎といった慢性疾患は多くの場合、早期発見と早期治療により、効果的に抑制することが可能とされており、流行する新型コロナウイルスの重症化を未然に防ぐことが期待される。

■取り組み内容

NTTデータは中期経営計画において「グローバルデジタルオファリングの拡充」を掲げており、AIを含むデジタル先進技術領域の強化を進めている。本実証では、AI学習に必要なデータとして1,300万件もの診療報酬請求(医療費請求)から500万人以上の患者の医療診断・医療処置/サービス・治療薬・ヘルスチェック・検査結果からなる集合体データセットを活用したとのことだ。

学習データ
アメリカの匿名の500万人以上の患者データ
得られた成果
・特定の病気が進行した際に現れる特徴的な病状の把握
・患者ごとの病気の進行具合の把握
・早期介入のための意思決定支援に役立つ情報の抽出
・ケアプラン管理のためのガイドラインの作成
・患者の病気の進行具合に合わせた効果的な治療方法の比較データ

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