東急・JR東日本ら、観光型MaaS「Izuko」の実証実験Phase3を実施へ

2019年４月から２度にわたり実施した本実証実験のＰｈａｓｅ１、２では、計６,１６６枚のデジタルチケットを販売し、国内の観光型ＭａａＳ事例の中では圧倒的な販売実績をあげたという。一方、サービスエリアや商品の内容、決済方法をはじめとした機能面など、解決すべき課題も多く残った。Ｐｈａｓｅ１、２での課題を踏まえ、Ｐｈａｓｅ３では、「サービスエリアの拡大」、「商品数の拡充」、「機能の改善」を実施する。

１点目のサービスエリアについては、これまでの東伊豆、中伊豆エリアに加え、Ｐｈａｓｅ３では西伊豆、静岡市エリア、富士山静岡空港まで拡大。エリア拡大に伴い、鉄道やバスなどに加え、フェリーも利用可能なデジタルフリーパスを新たに販売する。２点目の商品数については、サービスエリアの拡大に合わせて交通商品数をＰｈａｓｅ２の６種類から１０種類に拡充する。また、Ｐｈａｓｅ２実施時の「利用者数の増加には、伊豆への来訪目的の創出が不可欠」との学びを生かし、観光施設・観光体験の商品数をＰｈａｓｅ２の約５倍となる約１１０種類へ拡充。観光体験では、下田港で水揚げしたばかりの金目鯛を市内の料理店で、希望の調理方法で味わうことができるなど、伊豆の魅力を楽しむことができるオンリーワンの体験コンテンツを地元事業者と連携して開発する。そのほか、産業観光プラットフォーム「ＣＲＡＦＴＲＩＰ」を運営するmyProduct株式会社と提携し、より幅広い体験コンテンツを提供する。

３点目の機能改善では、Ｐｈａｓｅ２実施時に要望の多かったチケットの事前購入機能を導入するとともに、さらなる利便性向上に向け、登録・決済方法を拡充する。Ｐｈａｓｅ２までは当日購入のみだったが、Ｐｈａｓｅ３では期間中に購入したチケットを「利用者の好きなタイミングで利用する」という使い方が可能となる。「Ｉｚｕｋｏ」登録時には従来のメールアドレスやＧｏｏｇｌｅアカウントに加え、新たにＬＩＮＥ、楽天のアカウントでも登録できるようになり、決済時にはクレジットカード決済に加え、モバイルＳｕｉｃａ、楽天ペイ（オンライン決済）での決済も可能になる。また、伊豆地域へのアクセスに新幹線を使う人に向け、東海道・山陽新幹線のインターネット予約「エクスプレス予約」「スマートEX」との相互リンクによる連携を実施する。

加えて、一般社団法人美しい伊豆創造センターと協力し、特に混雑が見込まれる駅や観光施設の混雑状況をスマートフォンで表示し、密を回避しながら安全安心に周遊できるようにするなど、Ｗｉｔｈコロナでのニーズに配慮した新機能を盛り込む。スマートフォンでチケットを購入し、画面を提示するだけで交通機関や観光施設などを利用することで、対人接触を避けながら移動や観光が楽しめる「ＭａａＳならではの利点」を生かし、Ｗｉｔｈコロナ時代にも伊豆半島の活性化に資するサービスとして社会実装を目指し、展開する。