企業の75.5%が「新型コロナを契機にデジタル施策を推進」と調査結果
2020/9/16
株式会社帝国データバンクは新たな調査結果を公表した。
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■今後、業績へマイナスを見込む企業は 14.4%と 3 カ月連続で 1 割台
内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」(68.0%)が 7割近くにのぼる一方、「今後マイナスの影響がある」(14.4%)は3カ月連続で1割台となり、先行きに対する不透明感は和らぎつつある。他方、「影響はない」とする企業は9.3%だったほか、『プラスの影響がある』(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)は3.8%で、7月から0.7ポイント増となった。プラスの影響を見込む企業は、緩やかながらも毎月増加が続いている。
■業績へプラスを見込む企業、新型コロナ関連の調査開始以来、徐々に増加
さらに、業種別にみると、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が38.3%で最も高く、2カ月連続で4割近くにのぼった。次いで、インターネット接続業などの「電気通信」(22.2%)や「飲食料品小売」(20.3%)が2割台で続いたほか、「医薬品・日用雑貨品小売」(16.7%)、「飲食料品・飼料製造」(13.0%)が上位に並んだ。
企業からは、「主に医療関連施設の消毒業務を実施していたが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で一般施設でも衛生面の意識が高まり、消毒関連の受注が見込まれる」(環境計量証明、山形県)や「テレワークなどが増えてきたことにより、街中の狭いマンションより郊外の一戸建てを購入する層が増えてくるように思う」(木材・竹材卸売、京都府)など、意識や志向の変化により業界・業種によっては、事業の追い風となっている。加えて、「地方分散が進み、雇用において自社のような都会から離れた企業にもチャンスが来たと思っている」(各種商品通信販売、徳島県)といった、前向きな意見もあげられている。
また、『プラスの影響がある』と見込む企業を月別にみると、2020年2月調査では1.7%であり、 業種別にみても「医薬品・日用雑貨品小売」(12.0%)が唯一の1割台となるなど、厳しい様子がうかがえていた。しかし、小幅ではあるものの、月を追うごとにプラスの影響を見込む企業は増加し、8月は3.8%となった。なかでも、在宅時間の増加にともない需要が拡大した「各種商品小売」などの食料品関連や「電気通信」といった業種がけん引していた。
■企業の 75.5%が新型コロナウイルスを契機にデジタル施策を推進
また、デジタル施策の取り組み内容について尋ねたところ、「オンライン会議設備の導入」が60.8%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「テレワークなどリモート設備導入」(52.7%)、「ペーパーレス化の推進」(36.2%)、FacebookやTwitter、LINEなど「SNSを活用した情報発信」(16.7%)、「電子承認(電子印鑑)の導入」(15.3%)、「オンラインセミナーなどの開催」(15.2%)が上位となった。
規模別にみると、「取り組んでいる」企業は、「大企業」で88.6%と9割近くに達した一方、「中小企業」は72.7%、「小規模企業」は63.0%となった。特に「小規模企業」では「大企業」を25.6ポイント下回っており、企業規模によってデジタル施策への取り組みに差がみられた。取り組み内容では、「大企業」は、「オンライン会議設備の導入」が8割近くにのぼったほか、リモート設備の導入やペーパーレス化なども推進している。他方、「中小企業」でも、約半数の企業でオンライン会議やリモート設備の導入を進めているが、ほとんどの項目で「大企業」より下回っていた。
■新型コロナウイルスにより生じた新しい社会・経済環境の変化への対応が一段と重要に
一方で、プラスの影響を見込む企業は徐々に増加している。ライフスタイルの変化にともない、事業内容によっては追い風となる企業も現れてきている。また、新型コロナウイルスを契機として、企業の4社に3社がオンライン会議やリモート設備の導入をはじめとするデジタル施策に取り組んでいた。しかしながら、企業規模によっては、デジタル施策への取り組みに濃淡が表れていた。
緊急事態宣言の解除以降、日本の社会・経済は再び動き出している。国内の新規感染者数は減少傾向にあるものの、引き続き警戒を怠ることができず、新型コロナウイルス感染症の動向は、国民生活や企業活動には大きなリスクとなる。政府や自治体には、経済再生と感染拡大防止のバランスをとりながら、中長期的な日本経済の成長につながる施策が求められる一方、企業においては新型コロナウイルスにより生じた新しい社会・経済環境の変化への対応が一段と重要となろうとのことだ。