野村総合研究所、AIソリューションの日本語解析機能・AI/ML機能を強化

株式会社野村総合研究所(以下、NRI)は、コンタクトセンターをはじめとする企業のリモート応対・接客業務を高度化・効率化するAIソリューション「TRAINA/トレイナ」の機械学習(ML)機能を強化し、日本語解析精度の大幅な向上を実現したと発表した。

さらに、学習期間については、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)が提供する「Amazon SageMaker」を活用することで、大幅な短縮が可能となった。また、AWSが提供するクラウドコンタクトセンター「Amazon Connect」と連携し、TRAINAを用いた音声認識・対話要約機能をより簡単に利用できるようにした。

■日本語解析処理と機械学習アルゴリズムを刷新し、精度を大幅に向上

今回TRAINAは、基礎技術となる日本語解析処理と機械学習アルゴリズムを刷新。単語の一致のみで意味を捉えようとする従来の方式では、テキストの仕分けや判別を自動化しても十分な精度が出せない課題があった。新方式では、文脈によるニュアンスの違いや文全体を通した意味を捉えることができるようになり、より高精度な日本語の解析が可能となった。NRIが行った精度比較検証では、テキスト分類処理の正解率が従来の82.9%から95.4%へと大幅に向上した。この技術により、人が文章を読み、意味を理解しながら行っていたテキストの仕分けや判別作業を高精度に自動化することができる。

■TRAINAの機械学習処理を強化し「Amazon SageMaker」の基盤上で高速に実行

一般的に、機械学習を企業内の業務に適用するには、大量の教師データを用意する必要があり、長らく企業におけるAI活用の課題とされてきた。今回の新方式では、大規模な日本語用例データを使った事前学習モデルをベースに、ファインチューニングと呼ばれる個別業務に特化した補正を行うことで、少量の教師データでも良好な結果を得られるという特長がある。これにより、企業におけるAI活用時の人的コストおよび導入期間を、大幅に削減することができる。

さらに、日本語解析処理の高速化を図るため、TRAINAは機械学習の実行基盤である「Amazon SageMaker」に対応。導入企業は専用の環境を用意することなく、TRAINAのクラウドサービスにデータをアップロードするだけで、AWSが提供する高性能なGPU(Graphics Processing Unit)基盤を使った機械学習処理ができるようになる。その結果、一般的なオフィス用PCやサーバー環境では数日かかる機械学習処理を数分で完了することが可能となった。

NRIはこの仕組みを用いて、金融機関のコンタクトセンターで収集される苦情データ等の分析業務の省力化や、営業時の音声通話データを用いたコンプライアンス向上支援など、企業における重要業務の効率化・高度化を支援していくとのことだ。

■「Amazon Connect」と連携した音声認識・対話要約機能を提供開始

Amazon Connect導入企業からは、通話内容のテキスト化、応対履歴の自動生成やVOC(Voice of Customer)分析等のコンタクトセンター業務の高度化を実現したいというニーズが多く寄せられている。音声認識・対話要約機能を提供してきたTRAINAは、そのサービスをAWS上で提供し、クラウドコンタクトセンター「Amazon Connect」との連携を実現した。これにより、Amazon Connect導入企業は容易にTRAINAを利用できる。

TRAINAはコンタクトセンターの通話内容をリアルタイムで音声認識し、通話が終了した数秒後に通話の要約文を自動的にまとめ上げる。その結果、オペレーターの応対履歴システムへの入力作業が大幅に削減されると共に、入力品質の個人差が少なくなり、顧客からの重要な問い合わせ、要望、苦情を漏れなく収集する事が可能となる。

NRIは、アマゾン ウェブ サービス ジャパンと協力しながら、顧客企業のデジタル変革に向けたソリューション開発、およびサービス連携を進めていく。今後、AWSのコンタクトセンター向けAIソリューションAWS Contact Center Intelligenceとさらに連携し、TRAINAを3年間で100社に導入することを目指すとのことだ。

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