セールスフォース、約2.9兆円でSlackを買収

米国セールスフォース・ドットコムと、Slack Technologies, Inc. は、SalesforceによるSlackの買収に関する最終契約に合意したと発表した。

本契約の条件に基づき、Slackの株主は、現金26.79ドルとSalesforceの普通株式0.0776株をSlackの株式1株に対して受け取ることになり、2020年11月30日のSalesforceの普通株式の終値に基づく企業価値はおおよそ277億ドルとなる。

Salesforce Customer 360とSlackとの統合は、顧客と業界に変革をもたらすという。この統合により、新しい働き方のためのオペレーティングシステムが提供され、オールデジタルの世界において企業が成長し、成功することができるようになるとのことだ。

米国セールスフォース・ドットコムの会長兼CEOであるマーク・ベニオフ氏は次のように述べている。
「スチュアートとそのチームはエンタープライズ・ソフトウェアの歴史上で最も愛されているプラットフォームの一つを創造し、その周りには信じられないほどのエコシステムが存在します。これはは最も素晴らしい統合です。SalesforceとSlackは共に、エンタープライズ・ソフトウェアの未来を形成し、オールデジタルでどこでも仕事ができる世界で、私たちの働き方を変えていくでしょう。この買収が完了した後、SlackをSalesforceのOhana(オハナ / ハワイ語で家族)に迎えることを楽しみにしています」

SlackのCEO兼共同創業者であるスチュアート・バターフィールド氏は、次のように述べている。
「Salesforceはクラウド革命を起こしました。20年経った今でも、私はSalesforceが私たちの働き方を変えていくあらゆる可能性に注目しています。この統合が生み出す可能性はとても大きく、ソフトウェアがあらゆる組織のパフォーマンスにおいてますます重要な役割を果たすようになるにつれ、私たちは複雑さを軽減し、パワーと柔軟性を高め、最終的にはより高度な連携と組織の俊敏性を実現するというビジョンを共有しています。私個人としては、これはソフトウェアの歴史の中で最も戦略的な組み合わせだと考えています」

■SlackがSalesforce Customer 360の新しいインターフェースに

Salesforceは、どこにいてもセールス、サービス、マーケティング、コマースを可能にするCRM。Slackは、人、データ、ツールを一箇所に集め、チームがどこからでもコラボレーションして仕事をこなすことを可能にする。Slack Connectは、Slackのメリットを拡張し、企業の従業員とベンダーや顧客などのすべての外部パートナーとの間のコミュニケーションとコラボレーションを可能にする。

Slackは、すべてのSalesforceクラウド製品に深く統合される。またSalesforce Customer 360の新しいインターフェースとして、Salesforceだけでなく、他のすべてのビジネスアプリやシステムからの情報を含めた顧客情報のコミュニケーション、コラボレーション、アクションの方法を変革し、生産性を高め、よりスマートで迅速な意思決定を行い、コネクテッドな顧客体験を創造することができるようになる。

■Slack、世界No.1のCRMの一部として企業の存在感を拡大

Slackは、スターバックス、ターゲット、TD Ameritradeなどの急成長中の新興企業からフォーチュン500に入る企業まで、世界中のあらゆる業界をリードする組織にサービスを提供しているほか、150カ国以上の主要な学術機関、非営利団体、政府機関にもサービスを提供している。

Slackは、Salesforceの顧客だけでなく、エンタープライズ領域でのデジタルトランスフォーメーションを行うあらゆる企業でのプレゼンスを拡大することができるようになる。この買収が完了すると、SlackはSalesforceのオペレーティング・ユニットとなり、CEOのスチュアート・バターフィールド氏が引き続き指揮を執ることになるという。

■ビジネスのためのアプリとワークフローの最大のオープンエコシステムを形成する組み合わせ

システム、アプリ、デバイスを越えて人とデータをつなぐことは、今日のオールデジタルの世界で企業が直面する最大の課題の1つだ。Slackのオープンプラットフォームは、コラボレーション、コミュニケーション、業務の実行に使用される2,400以上のアプリとシームレスに統合されている。最大のエンタープライズアプリエコシステムを持つSalesforceプラットフォームは、まったく新しい方法で顧客とつながるためのアプリを簡単に構築して提供することができる。SalesforceとSlackの連携により、ビジネス向けのアプリとワークフローにおける最も広範なオープンエコシステムが実現。何百万人もの開発者がコードではなくクリックで次世代のアプリを構築できるようにするとのことだ。

■提案された取引の詳細

SalesforceとSlackのそれぞれの取締役会は本取引を承認し、Slackの取締役会は、Slackの株主が本取引を承認し合併契約を採択することを推奨している。この取引は、Slackの株主による承認、必要な規制当局の承認の取得、およびその他の慣習的な買収条件を満たした後に、米国セールスフォース・ドットコムの2022年度第2四半期に完了すると予想されている。また、米国セールスフォース・ドットコムは、Slackの普通株式の一部の株主と議決権行使契約を締結しており、各株主は、一定の条件のもと、本取引に関連して開催されるSlackの臨時株主総会において、本取引に賛成するSlackの全株式を議決権行使することに同意している。同意の対象となるSlack株式は、現在のSlack普通株式の発行済議決権の約55%を占めているという。

米国セールスフォース・ドットコムは、取引対価のうち現金部分の資金を、新規借入と同社のバランスシート上の現金の組み合わせで調達する予定。米国セールスフォース・ドットコムは、Citigroup Global Markets Inc.、Bank of America, N.A.およびJPMorgan Chase Bank, N.A.から、慣習的な条件を条件に、100億ドルの無担保364日ブリッジローンのためのコミットメントを取得したとのことだ。

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