千葉大学病院とNTTコム、診察補助を可能にする「秘密計算ディープラーニング」などの技術を活用した臨床データ分析の共同研究を開始
2021/2/9
国立大学法人千葉大学医学部附属病院(以下、千葉大学病院)と、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、「秘密計算ディープラーニング」などの技術を活用した研究に関し、2021年2月1日に「秘密計算システム、秘密計算ディープラーニングに関する共同研究協定書」を締結したと発表した。これにより、機密性の高い診療情報を含む臨床研究データを、複数の施設から安心安全に収集、保管、分析を行うための高レベルな情報セキュリティ環境の構築を目指す。
■背景と目的
臨床研究に用いるデータは、機密性の高い診療情報を含むため、データの収集、保管、分析などにおける高レベルな情報セキュリティの実装が必要となる。多様化、深刻化するセキュリティリスクへ対応しつつ、複数の施設との臨床研究実施など、より柔軟なデータ利活用のニーズを両立させる新たな手法の確立が求められてきた。
今回、NTT Comの安心安全なクラウドサービスやネットワークサービスに加え、NTTが開発を進めてきた「秘密計算ディープラーニング」などの技術(「秘密計算システム」「秘密計算ディープラーニング」)を用いてこれらの課題解決に取り組むとのことだ。
■本研究の内容
今回、「秘密計算システム」を利用し、複数の施設から収集した臨床研究データが、施設間で相互に秘匿された状態で分析可能か検証する。これにより、千葉大学病院の各診療科は、複数施設の臨床研究データを用いて臨床研究に必要な横断研究や縦断研究を実施する可能性が広がるという。
また複数施設から収集した臨床研究データを秘匿した状態のままでAIモデルの作成が可能な「秘密計算ディープラーニング」を利用することで、従来の手法では時間を要していた疾患の診断時間短縮の実現を目指す。加えて、処方する薬剤の選定を補助するAIモデルを作成し、患者の状態に応じた最適な薬剤を処方することにより病状の進行を抑える研究につなげるとのことだ。