ファーメンステーションは、岩手県奥州市に研究開発拠点兼自社工場(奥州ラボ)を持ち、独自の発酵・蒸留技術でエタノールやサステナブルな化粧品原料などを開発・製造している。これらのサステナブル原料を化粧品・ライフスタイル製品の原料として化粧品メーカー・原料卸に販売する原料事業のほか、自社ブランドによるオーガニック化粧品事業、原料提案から製品開発まで一貫して引き受けられる化粧品・ライフスタイル製品等のODM/OEM事業を行っている。また、食品・飲料工場の製造過程等で出る副産物・食品残さなどの様々な未利用資源を活用しアップサイクル(※)することで、新たな高付加価値の商品を生み出す事業開発を大企業との共創を通じて取り組んでいる。
(※)アップサイクルとは
リユース(再利用)、リサイクル(再循環)と異なり、廃棄物や副産物など、従来、不要と考えられたり有効活用されていないものを、様々なアイデアや手法でさらに価値の高いプロダクトに転換すること。
また、エタノールの製造過程で生成される発酵粕は、化粧品原料や地域の鶏や牛の飼料として利用し、さらに鶏糞は水田や畑の肥料にするなど、廃棄物ゼロの循環型モデルを構築しており、来るべき循環型社会に向けて以前より先駆的な取り組みを行ってきた。
昨今、SDGsやESG投資の推進、カーボンオフセット(二酸化炭素排出ゼロ)やサーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進等、グローバルレベルで急速に環境問題への取り組みやサステナブルな事業創造が喫緊の社会課題として認知され始めている。この社会潮流は不可逆な流れであり、未だ技術革新やビジネスモデル等のソリューションが不十分であるため、クリーンテックやフードテック等、テック系スタートアップにイノベーションの期待が集まる領域でもある。グローバルレベルでは、代替エネルギー(バイオ燃料等)、代替素材(植物由来のレザー等)、代替食品(培養肉等)など、多くのスタートアップが生まれ、ユニコーン(時価総額10億ドル以上)と呼ばれる企業も出てきている。また、同社が事業を展開する、化粧品やライフスタイル製品の市場においても、クリーン/オーガニック/エシカル/サステナブル/トレーサブルなどを前提にした生活者ニーズの高まり・購買行動の変化が見られ、より本質的にサステナブルであることを前提とした製品・サービスの創出が課題になっている。そのような社会潮流の変化の中で、同社が有する発酵等の独自技術を活用し、従来充分に活用されていない、もしくは廃棄されている未利用資源を高付加価値なエタノール等のサステナブル原料に再生し、事業・サービスに活用するニーズが年々高まってきている。また、創業以来一貫して原料の由来の明確化(トレーサビリティ)や天然由来100%で厳格なオーガニック(国内で唯一、国際的な有機認証機関であるエコサート認証等の米エタノールを開発・製造)にこだわった製品展開をしている自社ブランドの需要、および化粧品・ライフスタイル製品等のOEMや原料提供の引き合いが急速に増えているという。
今回の資金調達をもとに、来るべき循環型社会に向け、独自の技術とビジネスモデルをもとに、積極的な事業開発・技術強化を行い、事業成長に向けたチーム作り(人材採用)を加速していく。同社は、岩手県奥州市のラボを拠点にし、休耕田を活用した原料米の生産、多様な未利用資源からの原料開発を行い、その後、最終製品の企画・開発、マーケティング・営業まで、一気通貫で事業を運営することを強みにしており、今回の資金調達を通じて各機能の強化を行う。研究開発型スタートアップとして、より幅広い未利用資源をもとにしたエタノール開発や原料化にも研究開発投資を行い、サステナブルな製品開発・事業展開を目指す企業に向けた、圧倒的な技術プラットフォームの構築を目指す。展開する各事業において、それぞれ下記のような事業展開を加速する。このような活動を通じて、社会課題の解決を行うソーシャルインパクトを追求する企業の側面と、スタートアップとして事業・組織のスケールアップを目指す企業の側面と、それを両立する形での企業成長を目指すという。また、独自性の高い技術とビジネスモデルを磨き、グローバルへの進出に向けた準備も進めるとのことだ。
1. 原料料事業
既存で展開するオーガニック認証のエタノールや米もろみ粕をはじめ、未利用資源を再生したオリジナル原料の開発と展開を加速
2. 自社ブランド事業
天然由来100%でサステナブルであることを追求したオーガニック化粧品・ライフスタイル製品(ハンドスプレー、ルームスプレー、石けん等)を製造し、自社オンラインサイトおよび取り扱い小売で販売
3. ODM/OEM事業
サステナブル・オーガニックにこだわった化粧品・雑貨等のブランド立ち上げ・新規事業検討を行う企業・ブランドに、自社原料やサステナブルな製品開発ノウハウをいかした、コラボレーション型のODM・OEMを実施
4. 共創事業(企業との未利用資源再生・循環パートナーシップ)
食品・飲料事業を展開する企業の製造過程で排出される副産物を活用し、独自の発酵技術等でエタノール等の原料としてアップサイクルし、当該原料を活用した事業を共創する未利用資源再生・循環パートナーシップを加速