日本財団、Google・関西学院大学の協力のもと、AIが手話表現を認識する手話学習ゲーム「手話タウン」のベータ版を公開

日本財団は、香港中文大学と共同で、「手話」や「ろう者」理解の促進を目指し、Googleおよび関西学院大学の協力のもと、AIが手話表現を認識する手話学習ゲーム「手話タウン」のベータ版を公開したと発表した。

手話学習教材は、学習者が手話の映像等を見て手話を記憶する形式が主流となっているが、今回開発した手話学習ゲーム「手話タウン」は、学習者が学んだ手話をパソコンのカメラの前で表現すると、その手話表現が学習できたかをAI(人工知能)技術で確認することができる、手話学習ゲームだという。また、ゲーム内では手話の表現だけではなく、手話を母語とするろう者の文化も学ぶことができ、「手話やろう者を理解する入り口」として、本ゲームを役立てたいと考えているとのことだ。
出典元:プレスリリース
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■「手話タウン」について

「手話タウン」は、手話が公用語の架空の町を舞台に、手話を駆使しながらアイテムを集めていくオンラインゲーム。言語は英語・日本語・中国語(繁体字)から選ぶことができ、学ぶ手話言語は日本手話と香港手話から選ぶことができる。日本手話の収集は関西学院大学手話言語研究センターが協力した。学習者は、カメラに向かって実際に手話でアイテムを指示しながら、旅行に備えて荷物をまとめたり、宿泊するホテルを探したり、カフェで食べるものを注文したりと、様々なテーマに合わせた手話をゲーム感覚で学ぶことができる。

■社会的背景

手話は、ろう者が意思疎通を図るために使用する言語であり、ろう者の社会参画を促進するためには、手話で生活ができる環境が不可欠だ。2006年に採択された国連障害者権利条約で「手話は言語である」と明記され、日本国内でも2011年に障害者基本法で手話の言語性が認められたが、手話とろう者への理解が十分に浸透しているとは言い難く、生活のあらゆる面で手話による参加が妨げられている現状にあるという。一方で、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延で政府会見に手話通訳を付与する例が世界各国でみられるなど、手話への関心は高まっており、手話の普及を推進するための好機が生じていると考えられる。ICT活用も広く推進されていることから、最先端技術を活用した「手話」や「ろう者」理解の促進を目指し、手話学習ゲーム「手話タウン」のベータ版を開発したとのことだ。

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