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DNP、マンガに特化した「AI翻訳システム」を開発

大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、AI翻訳サービスを展開するMantra株式会社と共同で、マンガを多言語で制作するDNP独自のシステム「DNPマンガオンラインエディトリアルシステム MOES(モエス)」に搭載する、独自のAI翻訳エンジンを開発したと発表した。これにより、翻訳者が全て手作業で行ってきたマンガの翻訳を、高いレベルでAIがサポートする。DNPは、本システムの2021年度中の実用化を目指している。

■開発背景

近年、Webサイトやアプリでマンガを楽しむ読者が世界的に増加しており、国内では電子と紙を合わせたマンガ全体の市場規模が、2020年に約6,000億円を超えて最大となったという。現在、海外の読者の開拓に向けて、日本のマンガを多言語に翻訳してグローバルに展開していくための制作・製造・流通体制の整備が進められている。その中でも特に、マンガの翻訳については、話し言葉が多く、吹き出しごとに文章が途切れるため翻訳にAIを用いることが難しく、人の手で制作するコストと負荷が大きいものになっており、コストや負荷の面から翻訳タイトル数を抑える出版社も多い状況となっていたという。このような課題を解決するため、DNPとMantra社は、マンガに特化することで精度を高めたAI翻訳エンジンを開発し、MOESに搭載して制作時の生産性の向上を実現するとのことだ。

■「DNPマンガオンラインエディトリアルシステムMOES」とAI翻訳機能について

・MOESは、翻訳版のマンガ制作に必要な翻訳・レタリング・校正・進捗管理等を行うクラウドシステムで、2016年から印刷物や電子書籍におけるマンガ翻訳の制作工程で活用している。
・DTPソフトを使わずに、画面上に表示されるマンガのレイアウトの吹き出しの中に、翻訳した文章を直接入力する。確認や修正も同様にレイアウトを見ながら行えるため、文章の入れ間違いなどを防止する。
・時差のある地域で作業する翻訳者や翻訳チェック者等の間での、データ授受や業務の進捗管理が容易となり、大幅な作業負荷軽減や作業時間の短縮を実現する。
・MOESでの翻訳作業は従来、翻訳者が全て手作業で行っていたが、今回開発した機能によりあらかじめ自動翻訳された文章が入力された状態から、翻訳の確認や修正を行う運用が可能となった。翻訳会社による評価テストでは、AI翻訳の導入によって翻訳に関する作業時間が、翻訳が難しいとされるジャンルにおいても、従来と比較して30%以上削減されるという結果を得たという。
・なおDNPは、自動翻訳後に翻訳者による微調整やネイティブチェッカーによる校正作業の工程を設けることで、表現のニュアンスなど翻訳精度が損なわれないように努める。

■今後の展開

DNPは、海外展開の需要が高いマンガの着色や縦スクロール化などの機能開発や体制構築を進め、MOESを軸とした海外版マンガの制作・製造体制を強化していく。また、雑誌制作~単行本制作~海外版制作~電子コミック配信といった一連のプロセスをトータルにサポートし、海外のマンガファンが多くの作品に触れる機会を創出する。DNPは、高い品質を確保しながら海外向けマンガ制作のコストと負荷を削減することで、出版社が保有するマンガコンテンツの海外展開を支援するとともに、海外に向けた公式コンテンツの流通を促進し、海賊版の流布防止に貢献するという。また、拡大するコミック市場で求められる多種多様なコンテンツの表現方法にも対応していく。そのほか、サプライチェーン全体の最適化にも取り組み、コンテンツの持つ価値を最大化し、国内外の生活者へ新たな価値を提供していくとともに、生み出した利益をコンテンツホルダー等に還元してくことで、出版業界の継続的な発展に貢献するとのことだ。DNPは本システムをはじめ、国内外のマンガ制作関連事業で、5年後までに120億円の売上を目指す。

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