リクルート、LiDARスキャナを活用した部屋の模様替えシミュレーションができるARアプリを一般公開

株式会社リクルートは、自社内の研究開発組織「アドバンスドテクノロジーラボ(ATL)」から、最新機種のiPhone13Pro/ProMaxやiPhone12Pro/ProMax、iPadProに搭載のLiDARスキャナ(LiDARセンサーを利用した3Dスキャン機能)を活用した、部屋の模様替えAR(拡張現実)アプリを、2021年9月22日より一般公開すると発表した。

本アプリは、起動後に室内へカメラを向けるとLiDARスキャナにより床や壁を認識し、壁紙や床材を張り替えてARで表示するもの。椅子や机を置いてみるなど、模様替えした室内の様子を簡単に素早くシミュレートすることができる。LiDARスキャナを身近な用途に活用できるAR体験の先駆けとして、アプリとして提供を開始するとのことだ。

■開発・一般向け公開の背景

LiDARセンサーとは「Light Detection And Ranging(光による検知と測距)」の略で、センサーからレーザー光を照射し対象物で反射してセンサー部に返ってくるまでの時間から、対象物との距離が計測できるセンサーだ。レーザー光を飛ばした各点の3次元位置が取得でき、その点の集合(点群データ)から3次元形状を計測することができる。この技術は巨大構造物や建造物の計測に利用されてきたが、近年では自動車の自動運転のセンサーとしても用途が拡大されている。このLiDARセンサーを利用した「LiDARスキャナ」が、2020年発売のiPadProおよびiPhone12Proからタブレット・スマホに搭載されるようになった。かつては大型で高額な機械を長時間作動させなければならなかった3次元形状の計測が、誰でも手軽にできるようになったのだ。しかしながら、スマホ利用で想定されるスケールでのLiDARセンサー活用は現時点で未開の状態だという。そこでATLでは、LiDARセンサー機能が個人レベルに普及し、誰もが3次元形状を計測できる時代が到来した時に、どのような価値が提供できるかの検証を行っていた。その結果、技術的に実現可能であること、さらにコロナ禍で「おうち時間」が増える中、生活の充実に役立ててほしいとの思いから、今回本アプリを一般公開するに至ったとのことだ。

■アプリ概要

【基本情報】
・アプリ名称:『AR Room Simulator』
・対応機種:iPhone13Pro/ProMax
      iPhone12Pro/ProMax
      iPadPro
・リリース日:2021年9月22日(水)
・提供場所:App Store
出典元:プレスリリース
【操作手順】
1) アプリを起動する
2) 室内にカメラを向ける
3) 室内の床や壁がくまなくスキャンできるようにカメラをゆっくりと動かす
4) サンプルの中から壁紙やフローリングなどの素材を選択する
5) 素材が入れ替わり、模様替えのシミュレーションが完了
出典元:プレスリリース
【アプリでできること】
ARによる以下のシミュレーション
・壁紙の変更(4種類)
・床材の変更(4種類)
・机、椅子の変更(各3種類)
出典元:プレスリリース
【技術ポイント】
壁紙や床材の貼り方が自然に見えるよう、方向の推定を行うことがポイントだったという。
・全体のスキャン結果をMesh化、オクルージョン用のマテリアルを設定
・ARKitでMeshに対しWall/Floorなどの属性を判別(カテゴリ判別は自動)、壁・床属性の位置に選択したデザインの専用Meshを配置
・平面認識は空間の上下関係を考慮していないためMeshの向きを修正
・床Meshの当たり判定を利用してモデルを配置

これらの工夫により、リアリティーをもって「部屋」と認識できる表現を可能にしたとのことだ。

Article Tags

Special Features

連載特集
See More