スペースデータ、地球全体のデジタルツイン化を目指し衛星データからバーチャル空間にニューヨークをAIで自動生成

株式会社スペースデータは、衛星データと3DCGを活用してバーチャル空間に世界を自動生成するAIを開発し、アメリカ合衆国のニューヨーク市の自動生成を実施したと発表した。これまでは日本の都市部を中心に生成を行ってきたが、今回の実験によりグローバルに対応できるようになったという。今後はAIによって自動生成された様々な地域の3Dモデルを公開していき、誰でも無料で使えるように無償提供していく予定とのことだ。

■衛星データとAIと3DCGを融合させたデジタルツイン生成技術

「宇宙 × データ」をテーマとした研究開発を行う宇宙スタートアップである株式会社スペースデータは、衛星データと3DCG技術を活用してバーチャル空間にもう1つの世界を自動生成するAIを開発している。今回は世界で最も高層ビルが密集するアメリカ合衆国のニューヨーク市のマンハッタン地区の自動生成に成功。今後は日本のみならず地球全体のデジタルツイン化に向けて、アルゴリズムの改善を行うとのことだ。
出典元:プレスリリース
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本技術は、人工衛星から取得できる地上の静止画像と標高データ(DEM・DSM)に機械学習を行い、地上の構造物を自動で検出・分類・構造化した上で、AIに地上の3Dモデルを自動生成させ、3DCG技術によって石・鉄・植物・ガラスなどの細かな材質も自動的に再現。これらを一つのシステムとして統合することで実現しているという。

Google Earthに代表される従来の3D地球儀は衛星写真や航空写真を3Dモデルに貼り付けた形で提供されることが一般的だったが、俯瞰的な視点での地上を再現するには向く一方で、人間が歩く一人称視点では写真の解像度が足りず劣化してしまい、VR・ゲーム・映像制作・自動運転など高度なビジュアルが求められる領域では活用が進んでいなかったという。

今回開発したAIアルゴリズムは、従来の3D地球儀が苦手とする人間視点(一人称視点)での3Dモデルを自動生成することを得意とし、近い距離でも景観が劣化しにくいためVRやゲームや映像制作といった三次元空間を人間の視点で動き回るような用途にも活用しやすい利点がある。これは、衛星データに機械学習をかけて地上の構造物の意味(物体の種類・形状・色・材質・高さ・広さ・役割など)をシステムに一度理解させた上で3Dモデルに再変換をかけているため、物体に近づいても景観を劣化させずに表現することが可能になっているとのことだ。

また、従来の3D地球儀だと写真に写り込んだ看板や広告などの肖像権や著作権を犯した状態で提供されることが大半で、企業がそのまま活用するのは法的にグレーな状態が続いていたという。今回は地上の構造物を学習させた上で、AIによって看板などを除いた確率的に最も近い3Dモデルを自動生成させる手法をとっているので、従来のグレーゾーンの問題も気にせずに利用できるというメリットがあるとのことだ。

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