京都大学とasken、糖尿病の栄養食事指導を補助するアプリを共同開発

株式会社askenは、京都大学 稲垣暢也 医学研究科教授、幣憲一郎 医学部附属病院副部長、池田香織 同講師らの研究グループと、糖尿病の栄養食事指導を補助するアプリを共同開発したと発表した。また、本アプリの治療への貢献を検討する臨床研究を、京都大学医学部附属病院、京都桂病院、田附興風会医学研究所北野病院、神戸市立医療センター中央市民病院において実施する。なお、本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業 健康・医療情報活用技術開発課題」の支援を受けて実施される。

■本アプリ開発の背景

・糖尿病の治療における食事療法の重要性
近年、糖尿病治療は多様化し、糖尿病患者におけるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)・血圧・脂質の目標達成割合は改善傾向にあるが、肥満の程度を表すBMI(ビーエムアイ)については必ずしもそうではないという。国内外の大規模研究の結果からも、目標のHbA1cを達成するために積極的に薬剤を使用する際、体重を適正に保つことはとても難しいことがわかるとのことだ。これは、糖尿病の治療において、薬剤のみでは成し得ない「体重適正化」が、食事療法の効果的な実施にかかっていることを意味しているとのことだ。

■本アプリの特徴

同社は、管理栄養士の知見をAI化し、食生活改善・栄養指導を多くの人に個別対応で効果的に提供することができるAI食事管理アプリ「あすけん」を開発・運営している。スマートフォンで撮った食事写真から食事内容を判定し登録、登録されたメニューから摂取カロリーを含む14種類の栄養素バランスグラフも瞬時に表示、さらに、その内容についてAI栄養士からの食事アドバイスを受けることができる。「あすけん」は、ダイエットニーズのある健康な人を中心として、登録会員650万人が活用する食事管理アプリだ。今回、これらの特徴を活かし、新たに糖尿病の治療における食事療法に最適化した、栄養食事指導を補助するスマートフォンアプリを京都大学と共同開発した。

食事療法では、病院管理栄養士が患者一人一人、日々異なる「いつ、何を、どれだけ食べているか」ということを正確に評価し栄養食事指導を行うが、これは、患者にとって、日々の食事記録の負担が大きいと長続きすることが難しくなるという。また、一人一人異なる食事記録を評価する管理栄養士の、指導前の準備時間の負荷も大きくなり、一人の管理栄養士が対応できる患者の人数にも限界があるとのことだ。

そこで、同社は「あすけん」で培った技術を本アプリに活用。例えば、患者がスマートフォンで毎日の食事を写真撮影するだけで食事記録ができれば、手間がかかるために長続きすることが難しい日々の食事記録が継続しやすくなる。「あすけん」の食事記録は、食材の重さを量って記録する食事記録法と高い相関があり、病院管理栄養士の指導の根拠となる食事評価をより確かなものにし、栄養指導の準備時間を短縮することが期待されるという。

これに加えて本アプリでは、糖尿病の治療の現場における医師と管理栄養士それぞれの専門性や、その間の連携を考慮して開発したプログラムを備えており、医療機関の管理栄養士による栄養食事指導とともに使用することで、様々な状況にあわせて個別化された指導を患者の日常生活に届けられると期待されるとのことだ。

■今後の予定

令和3年度中に2型糖尿病患者を対象として本アプリの体重減少効果を検討する特定臨床研究を開始する予定だ。

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