茨城県鹿嶋市、106件の行政手続きを電子化し市民への電子申請サービスの提供を開始

xID株式会社は、茨城県鹿嶋市が、同市役所における行政手続き106件を電子化、市民への電子申請サービスの提供を開始したと発表した。一部の申請には同社が提供するマイナンバーカードに特化したデジタルIDアプリ「xID」が活用される。

■106件の手続きを電子化

2021年7月〜12月にかけて鹿嶋市と同社の共同で実施されたDX推進事業の一環として、茨城県鹿嶋市役所における行政手続のうち、106件(2022年5月時点)が電子申請に対応した。今後も電子申請対応手続きを順次拡大していく予定だという。同市役所にて電子申請サービスとして採用されたのは、株式会社トラストバンクが提供する「LoGoフォーム」だ。今回の取り組みを通して、以下のような行政手続が電子化された。
・図書カード利用申し込み
・介護特別給付申請
・道路・公園補修要望 など

■申請業務の棚卸、対象申請業務の検討・決定

一般的に電子申請プロジェクトの推進においては、一度市が取り扱う申請を棚卸し・一覧化した上で、評価軸に応じて電子申請化の優先順位を定め、BPRの検討・実施後、電子申請フォームを作成する。

鹿嶋市においては、押印規定の見直しを目的としたヒアリングを既に実施していたため、手続きの根拠法令や押印の見直し方針が整備されていた状況だった。そのため今回は、これらの手続き一覧をマスターデータ(全体)とした上で、現状の窓口申請数、マイナポータルやコンビニ交付の対応有無、電子申請の要望度合いなどを追加でヒアリングした。優先度を設定する上では、主に
・申請数(年間の申請が120件を超えるか)
・電子申請の要望度合い(強く要望する、どちらでもない、要望しない)
・主な利用世代
・関連システムの有無
などを基準として策定し、優先度の高いものから着手する方針を定めたとのことだ。

■3段階の保証レベルに対応した電子申請サービスを展開

今回鹿嶋市において実施されたDX推進事業の取り組みの一つとして、市役所で取り扱われている各申請のリスクの洗い出しと評価を実施した。この取り組みにより、庁内で各申請ごとに必要な本人確認強度を判定し、適切なオンライン本人確認手法を適用するための体制を構築することができたという。

具体的な評価の手順は以下の通り。
1.当該申請に個人に紐づく情報が必要か否かの確認
2.当該申請を完了するために申請者の個人情報を検証する必要があるかどうかの確認
3.当該申請の6種のリスクの評価
4.リスク評価に基づき、身元確認保証レベルの判定
5.当該申請によって個人情報へのアクセスが可能になるかどうかの確認

3においては、経済産業省が公開している「オンライン手続におけるリスク評価及び電子署名・認証ガイドライン(2010年)」において想定されている以下の6種類のリスクについて、各申請ごとに評価がなされた。
・金銭的損害に関わるリスク
・機微情報の漏えいに係るリスク
・身体の安全への被害
・サービスの継続への被害
・不便さ、苦痛又は地位の毀損
・違反行為の実施

この手順によって各申請ごとに求められる本人確認の強度を精査し、それぞれの申請でどのようにオンライン上で本人確認を実施するかについて、以下のような整理がなされた。
・6種類のリスクのうち一つでも高いと判断された場合には、公的個人認証を実施する(xIDアプリの公的個人認証機能を活用する)
・リスクが中程度と一つでも判断されたものについては、xIDアプリによる本人確認を実施する
・リスクが低いと評価されたものには「LoGoフォーム」を使用し、本人確認は行わない

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