福島県磐梯町、地域デジタル通貨「ばんだいコイン」の運用を実施へ

「ばんだいコイン」は磐梯町内の加盟店舗でのみ利用可能なデジタル通貨だ。1コインを1円相当として利用でき、チャージ金額に対して10％のポイントが付与される。町民だけではなく、町外の人も利用可能だ。導入初年度となる2022年は、1億円の「ばんだいコイン」を流通させ、地域経済の活性化を目指す。愛着をもって使用されるように、デザインや名称は住民参加型で決定した。2022年度は実証事業としての導入だが、今回の結果を検証しながら、来年度以降の継続的な運用を目指す。

磐梯町は、人口3400人程度の小さな町だ。「誰もが自分らしく生きられる共生社会の共創」を掲げ、地域のさらなる価値創造、共生社会の共創のための手段として、デジタル変革に積極的に取り組んでいる。2021年度には、利便性の向上と、行政コストの削減、そして地域経済のさらなる活性化を目的とし、町民向けの地域振興券「磐梯町プレミアムとくとく商品券」のデジタル化に踏み切った。町内には高齢者も多く、企画当初はどこまで町内に浸透するか心配する声もあったが、販売と共に即日完売となり、多くの人が利用したという。アプリ決済に対する町内事業者の経験値が高まったこと、デジタル商品券の利用やスマートフォン教室を経て、町民のデジタルリテラシーが向上したことなどを受け、2022年度は次のステップとして、町民だけではなく町外の人も利用できる地域デジタル通貨「ばんだいコイン」を発行するとのことだ。

「ばんだいコイン」は磐梯町内の加盟店舗でのみ利用可能なデジタル通貨だ。現金を専用アプリにチャージし、コインに変換できる。1コインを1円相当として利用できる。チャージ金額に対して10％のポイントが付与され、1ポイントあたり、1コインとして利用可能だ。チャージは全国のセブン銀行ATM、磐梯町内に設置されたチャージ機から行える。

・ポイント1　1億円の「ばんだいコイン」を流通させ、地域経済の活性化を目指す
磐梯町は、人口3400人の小さな町ながら、ゴルフ場やスキー場、道の駅、複数の宿泊施設などがあり、年間約120万人の観光客が訪れるという。また、複数の企業と共創事業を行っており、ビジネス目的での訪問も多い。そのような中、2021年のデジタル商品券は、町民と町内勤務者への販売だったため、利用者は限定的だった。町外の人の利用を可能にすることで、より経済活動が活性化すると考え、町外の人も利用できるデジタル通貨の発行に踏み切ったとのことだ。初年度となる2022年は、1億円の「ばんだいコイン」を流通させ、地域経済の活性化を目指す。

・ポイント2　町民からの意見や町外利用者の利便性を考え、システムを一新
2021年に発行したデジタル商品券の施策を受けて、町民、事業者から多くの意見があったという。それらの課題も解決しながら、町外の人にも利用しやすいシステムとするべく、改めて磐梯町のデジタル通貨に必要な要素を整理し、システムを一新。新たに採用したのは、株式会社フィノバレー社のデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」だ。このシステムを活用しながら、購入時のチャージ方法や、事業者の経理処理など様々な面で利便性が向上する予定だという。

・ポイント3　住民参加型でデザインや名称を決定

通貨の名称やアプリのデザインについては、利用者の声を反映させたものにこだわった。名称とアプリのデザインを検討する際は、地元小・中学生を含む町民や観光客650名からの投票を実施。「ばんだいコイン」名称と磐梯町のシンボルでもある「磐梯山」をイメージしたデザインに決定した。その他にも、より愛着を持って利用されるよう、アプリの決済音に町内の幼稚園の子供たちの声を採用するなどの取り組みを行っている。