DICとSAP、ブロックチェーンを活用した廃プラスチックのトレーサビリティシステム構築の実証実験を開始

DIC株式会社は、プラスチックの資源循環を促進するため、SAPと連携しブロックチェーン(分散型台帳)技術を使用した廃プラスチックのトレーサビリティ(生産流通履歴の追跡)システム構築の実証実験を開始したと発表した。

DICは、プラスチックの食品容器をはじめ幅広い用途で使われる合成樹脂であるポリスチレンの製造・販売をしている。同社はサステナビリティ戦略の重要施策として、注力市場である食品パッケージ市場における循環型社会の実現を目指している。2020年11月には、パートナー企業と協働でポリスチレンの完全循環型リサイクルの取り組みの開始を発表し、両社が保有する技術および回収・リサイクル体制を最大限に活用する新たなモデル構想を打ち出した。

同取り組みでは、マテリアルリサイクルに適していない市場回収品を再生するため、ケミカルリサイクル技術を用いてポリスチレンを原料であるスチレンモノマーに還元する完全循環型リサイクルの実現を目指す。

昨今、サステナビリティの観点で世界的にプラスチック素材のリサイクル需要が高まっている。リサイクル原料を使う際に求められるのが、リサイクル原料の出自や含有物質の情報だ。

今回の実証実験は、SAPのGreenTokenシステムを利用して、生産の初期段階からサプライチェーンに沿って原材料を追跡し、リサイクル原料の製造工程や検査工程、物性情報や品質情報などを可視化することを目指す。これにより、顧客が再生プラスチックを使用する際、その製品にどの程度のリサイクル原料が含有しているか提示することが可能になる。

GreenTokenはプライベートブロックチェーン技術を活用することでサプライチェーンの透明化を図るとともに、プラスチック素材の原材料から製品の製造・販売・使用、回収、粉砕を経て再利用されるまでの資源ライフサイクルにおける過程を追跡するシステムだ。同システムではデジタルツイン技術を活用し、原材料の出自に関連する固有の属性や、カーボンフットプリント、市場回収品の出自、サステナビリティ認証データなどの情報をトークンに記録する。トークンを発行することで、リサイクル原料が他の原材料と混合して新たな製品を生産した場合でも、そのリサイクル原料を追跡することが可能だ。
出典元:プレスリリース

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