「ESG×スタートアップレポート:国内スタートアップの現状と、国内外の先進事例に基づいたESGへの取り組み意義/方法」が公開

MPower Partners Fund(以下、MPower)とボストン コンサルティング グループ (以下、BCG)は、「ESG×スタートアップレポート:国内スタートアップの現状と、国内外の先進事例に基づいたESGへの取り組み意義/方法」を発表した。

ESG(環境・社会・ガバナンス)への関心が世界的に高まるなか、日本でも大企業を中心にESGを重視する動きは少しずつ進んできた。その一方で多くのスタートアップは、限られたリソースのなかでESGに取り組む方法を模索しているという。

そうした中、スタートアップがよりスムーズにESGへの取り組みを実践できるよう、レポートでは国内スタートアップ50社に対する調査をもとに、ESGへの取り組みで実感する効果やボトルネック、さらには領域ごとの具体的な取り組み実態を定量的に整理。さらに国内外の先進的なスタートアップ10社へのインタビューから、ESG関連施策を実践する3つの意義と7つのポイントがまとめられている。

まず調査から見えてきたのは、ESGへの取り組みの効果を人材面で実感する企業が多い一方で、いざ取り組みを始める際にはリソースや知識の不足、さらには社内の合意形成がボトルネックになっている現状だ。

・回答企業の90%がESGに関連する取り組みを実践。そのうち、93%が効果を実感
・特に実感する効果は「人材の採用・定着」:ESGへの取り組みが自社の事業運営や業績に与える効果を最大3つまで選ぶ項目において、46%が「従業員の定着化・採用促進」を選択
・主なボトルネックは「リソース・知識不足」と「合意形成」:ESGへの取り組みを阻害するボトルネックを最大3つまで選ぶ項目では、「ESGにリソースを配分する余裕がない」が42%、「ESGへの知識不足」が16%、「社内でESGへの重要度の認識が人によりバラバラで、取り組み実施の合意形成が難しい」が6%という結果に
出典元:プレスリリース
出典元:プレスリリース
また、領域ごとの取り組みでは次のような実態がわかった。

・環境​
温室効果ガスの測定・削減の取り組みは限定的:74%が排出量未測定、64%が削減の取り組みなし

・社会
女性の従業員比率に比べて管理職比率は極端に低い:女性従業員比率が2割以上の企業は78%にのぼる一方、女性管理職比率が2割以上の企業は26%。また42%の企業がDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取り組みに未着手
リモートワーク制度の導入率は85%以上

・ガバナンス
女性・外国国籍者の取締役への登用は限定的:社内・社外ともに取締役に女性がいない企業は50%、外国国籍者がいない企業は88%
レイターステージ企業の過半数が内部告発プロセスを活用:レイターステージ企業の97%に内部告発の仕組みがあり、53%が実際に活用
過半数の企業がインシデントを測定:64%がデータ・プライバシー・インシデント追跡システムを導入しており、その企業の53%が実際にインシデントを測定
成長ステージの後期段階の企業ほどデータプライバシーを強化:レイターステージ企業の97%がプライバシーコンプライアンスを維持し、情報端末のセキュリティ管理を実施

またレポートでは、国内外の先進的なスタートアップ10社へのインタビューをもとに、ESGに取り組む意義とその具体的方法をまとめている。

・スタートアップがESGに取り組む3つの意義
VC(ベンチャーキャピタル)の投資要件としてESGの重要性が増しており、今後の資金調達が有利に
消費者の意識や企業への社会的要請の高まりを受け、売上が(短中期的に)増加
ESGの取り組みによって成長を阻むリスクを回避できるため、成長が(中長期的に)持続

・ESGの検討や取り組みにおける7つのポイント
ESGを自社戦略の一部にする
自分たちが大切にしたい価値観を従業員の評価や採用条件に組み込む
柔軟なガバナンス体制を備える
多様な人材が能力を発揮できる環境を整える
リスクを軽減し、リスクの芽にすばやく対処できる仕組みを作る
自社の現状を定量的に把握して課題を洗い出す
「今できること」から始める

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