富士通と帝人、自転車フレームに用いられるリサイクル炭素繊維の「資源循環における環境価値化実証プロジェクト」を開始

富士通株式会社は、帝人株式会社と炭素繊維強化プラスチックを使った自転車フレームの製造・販売を行うV Frames GmbH(以下、V Frames社)ならびに自転車メーカーのE Bike Advanced Technologies GmbH(以下、Advanced Bikes社)とともに、自転車のフレームに用いられるリサイクル炭素繊維の「資源循環における環境価値化実証プロジェクト」を開始したと発表した。

本実証プロジェクトでは、帝人および富士通が2022年7月より構築を進めている「リサイクル素材の環境価値化プラットフォーム」を活用し、自転車フレームに使用される材料の資源や環境負荷に関する証跡データを収集・管理するとともに、そのプロセスの実現性を評価し、可視化したデータの価値を検証する。そして、環境への関心が高い自転車市場における、証跡データの開示によるトレーサビリティの実現やカーボンマネジメントへの活用による価値の創出を目指す。

■背景

世界的な環境規制の強化に伴い、企業には、より厳格なカーボンマネジメント対応が求められているほか、資源の循環利用に関する証明の活用を制度化する動向が見られるという。これに対応するため、帝人と富士通は、2022年7月より、バリューチェーン全体での環境負荷に関するデータの収集・分析や、リサイクル素材の出自の証明などの環境負荷情報を提供することによるリサイクル素材の利活用や環境配慮設計を促進する取り組みとして、「リサイクル素材の環境価値化プラットフォーム実現プロジェクト」を共同で進めている。

一方、欧州の自転車産業では、多くがアジアで製造されたフレームを使用し、また、使用済みフレームの多くをアジアで埋め立て処分している。加えて、材料や使用済みフレームといった資源の長距離輸送によるエネルギー消費量がかさむことから、資源が循環利用されずに処分されていることが大きな問題となっているという。そのような中、V Frames社は、ドイツ国内での資源活用や製品寿命を迎えたV Frames社製自転車フレームを再利用したフレームの製造に取り組み、温室効果ガス(GHG)排出量削減に貢献している。帝人と富士通は、V Frames社のGHG排出量削減の成果を可視化することで、環境に対する関心が高い自転車市場をはじめ、炭素繊維を扱う業界への意識付けを行う試みとして、V Frames社ならびにAdvanced Bikes社とともに、自転車フレームに用いられるリサイクル炭素繊維の「資源循環における環境価値化実証プロジェクト」を開始したとのことだ。

■「実証プロジェクト」の概要

・目的
自転車業界の資源循環における環境価値化のため、自転車フレームに使用される材料の資源や環境負荷に関する証跡データを収集・管理するとともに、そのプロセスの実現性を評価し、可視化したデータの価値を検証すること。

・各社の役割
帝人:各工程における環境評価の支援およびエコシステム構築に向けたステークホルダーとの連携。
富士通:ブロックチェーン利活用サービス「Fujitsu Track and Trust」によるプラットフォームの実装およびトレースデータの可視化ツールの開発。
V Frames社、Advanced Bikes社:自社内の各工程における環境負荷情報のプラットフォームへのアップロード、データの収集プロセスやプラットフォーム上で可視化されたデータのレビュー。

・期間
2023年1月~2023年3月(予定)

・「実証プロジェクト」の将来像
「実証プロジェクト」で確立するプラットフォームでは、自転車フレームのリサイクルから販売に至るまでの全工程における資源に関する情報(所在、状態、環境負荷など)が反映されるため、物理空間の資源の状況をデジタルで仮想的に表現(デジタルツイン)することができる。さらに、ブロックチェーンを用いることで過去の状況を遡って参照できるため、資源に対して「トレース可能なデジタルツイン」が実現可能となる。本プラットフォームのデータに基づき、自転車ユーザーに対するトレースデータの開示や、ステークホルダーのカーボンマネジメントなどに活用することで価値を生み出す。

本プラットフォームに蓄積されたデータは、自転車フレームの資源循環を実現していることを示すデータであることから、将来的には、ESG投資の評価やクレジットとしての活用に展開する。
出典元:プレスリリース

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