富士通と産学組織が9者で共創し、世界初の偽情報対策プラットフォームの構築を開始
2024/10/17
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■概要
富士通と産学組織の計9者は、偽情報に対する解決アプローチとして、真偽不明な情報に関連する様々な周辺情報を根拠としてインターネット上から収集し統合管理した上で、根拠としての整合性や矛盾を総合的に分析することで真偽判定を支援するとともに、社会への影響度を分析し評価することで偽情報の検知や対処を可能にする社会を目指す。これにより偽情報による社会への悪影響を解決し、信頼性の高いデジタル社会を実現する。
9者は、上記アプローチに基づき、偽情報の検知(技術1)、根拠収集・統合管理(技術2)、総合的な分析(技術3)、社会的な影響度評価(技術4)に関する各種技術の研究開発を開始するとともに、富士通がこれら技術を統合し、偽情報の検知から根拠収集、分析、評価までを統合的に行う世界初の偽情報対策プラットフォームの構築を進めていく。
富士通の役割
4つの研究開発技術と各者の役割
技術1:メディアデータごとの情報分析と偽情報検知(担当:NII、NEC)
• NECは、画像、映像、音声を含む内容について、例えばどのような出来事が発生しているかなどをテキストとして抽出するメディア理解技術を開発し、SNS投稿文との一致分析や、根拠情報の収集に活用する。
技術2:根拠、エンドースメント管理(担当:慶應義塾大学SFC研究所、富士通、大阪大学大学院情報科学研究科)
• IoTデータ解析の分野で実績を有する大阪大学大学院情報科学研究科は、根拠情報の一つとなるIoTセンサーデータの収集技術を開発する。真偽判定の対象エリアの情報を網羅的に取得できない場合に、近隣エリアの取得可能な情報群から、対象エリアの根拠情報を推定し、根拠情報として出力する技術を開発する。人が情報を集めて推定するように、システムが能動的に根拠情報を集める技術の開発は、先進的な試みである。
技術3:総合真偽判定支援(担当:富士通、名古屋工業大学)
• さらに富士通は、スーパーコンピュータ「富岳」を活用して日本語データを中心に一から学習したLLM「Fugaku-LLM」や、エンタープライズ向け日本語特化型LLM「Takane」の開発で培われた技術を活かし、偽情報対策に特化した日本語LLMを開発する。これは偽情報対策のためにニュースやSNSなどの多様なデータの理解能力を強化し、さらに論理的な推論能力を高めたLLMであり、真偽判定において高い精度を達成する高速な推論や、ハルシネーション(LLMの誤出力)の抑制を実現する。
• 富士通と名古屋工業大学は、ユーザーの心理的要因(誤情報持続効果など)を考慮した認知科学に基づくユーザーインターフェース、情報提供技術を開発する。これによりユーザーが正確に情報の真偽を判断し、不用意に情報を拡散しないようにするなど、適切な行動を促す。
技術4:偽情報影響度評価(担当:東京科学大学、東京大学、会津大学)
■今後について
本事業を進めるにあたり、2024年度は民間企業・公的機関向けユースケースの分析と機能要件の抽出を行うとともに、各技術の研究開発を行っていく。2025年度末までに、4つの技術を統合した偽情報対策システムを構築する予定である。
■商標について
■注釈
経済安全保障重要技術育成プログラム(通称“K Program”):
https://www8.cao.go.jp/cstp/anzen_anshin/kprogram.html
注2
「経済安全保障重要技術育成プログラム/偽情報分析に係る技術の開発」に係る公募について:
https://www.nedo.go.jp/koubo/CD2_100359.html
注3
9者:
富士通株式会社(本店 神奈川県川崎市中原区、代表取締役社長 時田 隆仁)
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(所在地 東京都千代田区、所長 黒橋 禎夫)
日本電気株式会社(本社 東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO 森田 隆之)
慶應義塾大学SFC研究所(所在地 神奈川県藤沢市、所長 飯盛 義徳)
国立大学法人東京科学大学(本部 東京都目黒区、理事長 大竹 尚登)
国立大学法人東京大学(本部 東京都文京区、総長 藤井 輝夫)
公立大学法人会津大学(本部 福島県会津若松市、理事長兼学長 束原 恒夫)
国立大学法人名古屋工業大学(所在地 愛知県名古屋市昭和区、学長 小畑 誠)
国立大学法人大阪大学(所在地 大阪府吹田市、総長 西尾 章治郎)
注4
エンドースメントグラフ:
対象とする情報に付加される発信者(人や組織とその属性)、位置、日時などの真偽判定の根拠となる情報のことである。