近年注目のサブスクリプションとは?メリットデメリットを徹底解説

近年、定額でサービスを利用できるサブスクリプションというビジネスモデルが広がっています。作品ごとに購入・課金するモデルとは異なり、多くの作品、サービスを享受できますが、デメリットもあります。そんなサブスクリプションを徹底解説します。

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サブスクリプションといえば、音楽配信や動画配信サービスを思い浮かべますが、ユーザーに利便性が広まったことで、さまざまな分野で導入が進んでいます。一定の月額料金を支払えば、追加の利用料が発生しないため、コスパの良さがウケていますが、一方でデメリットも指摘されています。果たしてどんなメリット、そしてデメリットがあるのか、サブスクリプションサービスの光と影を解説します。

そもそもサブスクリプションとは?

音楽配信や動画配信サービスでの成功を目の当たりにし、さまざまなビジネスへの応用が進んでいますが、サブスクリプションサービスのメリットとデメリットを指摘する前に、そもそもどんなサービスのことを指すのか、整理しておきましょう。

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商品やサービスを一定額で利用できるサービス

サブスクリプションサービスは定額の料金を支払うことで一定期間は追加の料金などを支払うことなく、サービス全般が利用できる権利を保証するものです。たとえば、従来の音楽配信サービスでは、1曲ごと、あるいはアルバムごとに販売・課金することで利用できましたが、サブスクリプションでは入会し、月額料金を支払うと、配信サービスと契約しているすべての楽曲を自由に聴くことができます。一般的には楽曲のダウンロードはできず、ストリーミングで楽しむといった制限が設けられていますが、膨大な量の作品が聴き放題になります。このような、ある商品やサービスを一定期間に渡って、一定額で利用できる仕組みがサブスクリプションです。

サブスクリプションと定額制の違い

「サブスクリプション」と「定額制」は、ともに一定期間に固定料金でサービスや商品を利用できるビジネスモデルのため、同じ意味で使用されることもあります。ただ厳密に言えば、違いがあると言われています。従来の定額制のビジネスモデルは料金を固定し、ある商品やサービスを定期的に提供するというものでした。あくまで定額で商品やサービスを購入してもらうことが目的なのに対し、サブスクリプションでは一度サービスに加入した顧客が解約しないよう、常に顧客満足度やニーズを重視して、商品やサービス内容を向上させることに重点が置かれていると言います。つまり購入はあくまでスタートに過ぎず、長く商品やサービスを愛用してもらうことに主眼を置かれています。サービスや商品が気に入らなければ、ユーザーは自由に解約ができるため、「顧客満足度の追求することをより意識している」という点が異なるわけです。

【ユーザー向け】サブスクリプションのメリットとは?

では、利用するユーザーにとって、その都度、課金するビジネスモデルから、サブスクリプションサービスに移行することで、どんなメリットがあるのでしょうか? ユーザー目線で考えるサブスクリプションのメリットについて取り上げます。

費用を安く抑えてサービスを利用できる

ひとつは費用を安く抑えつつ、サービスを利用できる点が挙げられます。どんなにたくさんサービスを利用しても、定額制のため、規定の料金以上を請求されることはありません。そのため費用を抑えながら、サービスを利用することができます。たとえば映像作品や音楽配信のサブスクリプションサービスの場合には、どんなにたくさんの作品を視聴したとしても定額です。利用の仕方や頻度によっては、DVDやCDを購入して楽しむ場合と比べて、費用を大幅に抑えることができる可能性があり、コスパに優れたサービスだと言えます。

モノを所有する必要がなくなる

現代はアーカイブや保存できる容量の大きなストレージサービスの普及により、モノを購入して所有するよりも、所有せずに利用する時代になったと言われることがあります。コレクターでなければ、手元に物理的な商品を置かない傾向にあるというわけです。サブスクリプションはそんな現代を象徴するようなサービスです。ひと時代前なら、音楽CDや映像作品のDVDに限らず、漫画や雑誌など、購入して所有するのが、一般的でした。そこで問題になるのが保管場所です。大きなスペースが必要になり、漫画や雑誌となれば重量も相当なものになります。ダウンロード作品を購入したとしても、データ量が増えていけば、無料のストレージでは足らず、有料のストレージサービスやハードディスクに保管しなければいけないでしょう。その点、サブスクリプションサービスでもダウンロードが可能な作品もラインナップされていますが、ダウンロードから一定期間が経つと自動消去される仕様になっています。また、最近は洋服をレンタルできるサブスクリプションも人気になっていますが、洋服は季節によって着用できるものが変化し、保管場所も必要です。サブスクリプションでは洗濯が不要のサービスもあり、手間がかからないというメリットがあります。

いつでも解約できる

サブスクリプションサービスは、気に入らなければすぐに解約できる点もメリットです。顧客満足度を追求する点が定額制と違うと指摘しましたが、その反面、満足できなければいつでも解約できる仕組みを用意しています。入会時も最初の1ヶ月は料金が無料になるなど、お試し期間を設け、サービスや商品が気に入らなければ、ユーザーが自由に解約できる点もサブスクリプションサービスのメリットのひとつです。

趣味や仕事の幅が広がる可能性がある

サブスクリプションサービスには多くの作品がラインナップされています。もちろんお目当ての作品だけを楽しんでも構いませんが、知らなかった作品や未知のジャンルに挑戦するハードルも低いと言えます。通常の販売サイトでも、購入前に予告編や試聴コーナー、プレビューボタンなどで内容を確認することはできますが、時間制限や回数制限があり、全体像を把握するのは難しいでしょう。その点、サブスクリプションサービスでは試しに視聴しても追加の料金がかかりません。パッケージやタイトルが気になる、そんな動機から作品を見ることで、自分の興味の幅を広められる可能性があります。普段は興味が沸かないサービスにも積極的に手を出すことが可能で、そこで得た知見は仕事においても、新たな役割や業務の幅につながるかもしれません。

【企業向け】サブスクリプションのメリットとは?

ユーザーにとってもメリットをあげてきましたが、サービスを定額制にすることで企業の側にはどんなメリットがあるのでしょうか? サブスクリプションに参加する企業が増える背景を考えていきましょう。

売上の見込みを把握しやすくなる

サブスクリプションでは、どんなにヘビーユーザーでもライトユーザーでも必ず一定の利用料を支払う仕組みです。そのため売上の予測が容易になります。加入者数×月額利用料を計算すれば、毎月の売上が把握できます。もちろん、通常の作品や商品であれば、ヒットすれば大きな利益につながりますが、事前に予測することは難しくなります。売上の正確な予測があれば、設備投資や商品開発にも積極的になれます。

新規顧客の獲得につながる

サブスクリプションは動画・音楽配信だけではなく、カーリースや家具のレンタルなどにも広がりを見せています。通常なら貯金をはたいたり、ボーナスで支払ったりと、最初に高額の出費が求められる商品ですが、定額課金になることで初期費用が大幅に低く抑えられます。そのためこれまでは購入やサービス利用に躊躇していた層にも広くアピールすることができ、新規顧客の獲得につながる可能性があります。

ユーザーの動向を把握しやすくなる

サブスクリプションはいつでも解約することができますが、毎月定額の利用料を支払うユーザーは継続利用の意思がある顧客になります。そんなユーザーの動向を細かく把握することができるのも大きなメリットです。どんなサービス・商品が受けるのか? どこに不満を感じるのか? 意見のヒアリングもしやすく、サービスや商品にその声を反映しやすくなります。また新規加入者の数、解約率、継続月数といったデータに基づき仮説を立てたり、改善のための施策を考えることができます。それぞれのユーザーにあったサービスを提供する1to1マーケティングも実現しやすいと言えます。

さまざまなビジネスに応用できる

サブスクリプションはお得感を十分に訴求することができれば、さまざまなビジネスに応用ができます。すでにおもちゃのレンタルサービスや、飲食店での月額ランチといった一風変わったサービスも生まれています。まだまだアイディア次第で、サブスクリプション型ビジネスに転換させることが可能です。

【ユーザー向け】サブスクリプションのデメリットとは?

サブスクリプションの利点の数々をご紹介してきましたが、当然デメリットもあります。ここからは事前に知っておきたいサブスクリプションのマイナス面をご紹介します。

サービスを利用しなくても料金が発生する

サブスクリプションサービスでは一度、会員になると利用の頻度にかかわらず、料金が発生する仕組みになっています。そのため、その月にまったく利用しなかったとしても、月額利用料を支払う必要があります。そのような人にとっては、むしろコスパが悪いサービスということになります。自分ならどれくらい利用するのか事前に計算すると良いでしょう。また、サービスを利用していない場合にはすぐに解約するのがおすすめです。

使用しない商品や興味のないサービスが含まれていることも

多くのサブスクリプションサービスでは、膨大な数の作品や商品を揃えることで、定額なのにさまざま商品・サービスを利用できるといったお得感を醸成させます。したがって、中にはまったく興味のない商品・サービスや、自分には向かないと思われる商品・サービス、あるいは利用しない機能が含まれることもあります。興味のある商品だけを利用したい人にとっては向かないサービスだと言えます。

解約すると商品やサービスが利用できなくなる

月額料を支払うことで、あくまで一定期間、商品やサービスを利用する権利を受け取るに過ぎません。したがって解約すれば、その時点で提供されているコンテンツやサービスは利用できなくなってしまいます。引き続き利用したいなら、加入し続けるしかありません。

契約数が多くなると料金負担が増える

定額制で割安感が魅力のサブスクリプションサービスには、さまざまな事業者が参入しています。そのため競争も激しくなっており、それぞれが魅力的な商品やサービスを提供するようになっています。したがって複数の事業者に加入している人も増えています。ひとつ一つは割安であっても、いくつも加入することで支出が負担になる可能性があるわけです。

意図せずサービスに加入していることがある

加入後、1ヶ月期間はお試し期間として月額利用料を無料にしているサブスクリプションサービスも多くみられます。自分には不要だと解約しても構わないのですが、最初にアカウントを開設してお試し利用をスタートする際に、クレジットカードもあわせて登録します。そのため自分で本加入しないための手続きをしなければ、そのまま本加入になってしまうサービスが大半です。1ヶ月に本加入するかどうかのアナウンスが届かないため、気づかないうちにサービスに加入していることがあります。

急に利用料金が値上がりすることも

サブスクリプションサービスでは料金規定の改定が行われ、突然月額の利用料が値上げされることがあります。値上げを承認するかどうかの確認が求められることもないため、値上げに気づかない人もいます。サービス側から届く通知メールなどは見逃さないようにしましょう。

【企業向け】サブスクリプションのデメリットとは?

ビジネスモデルとして優れたサブスクリプションですが、デメリットもあります。参入を考えているなら、どんなデメリットがあるのか、きちんと把握しておきましょう。

思ったように利用者数が増えないリスクがある

お試し期間を設けているサブスクリプションサービスが多いのですが、基本的には加入してはじめてサービスの提供を受けることができます。つまりクローズドなサービスだと言えます。したがって、未加入者にとってはサービス内容はもちろん、加入で得られるメリットが伝わりにくいという問題があります。知り合いに誘われたとしても、月額に見合ったサービスなのか実感が得られないわけです。知名度が乏しいと、思ったように利用者が伸びないというリスクを抱えることになり、ユーザーを獲得するために最初から魅力のあるサービスを目指して初期投資が大きくなりがちです。それでも加入者が増えなければ、売上は加入者数に比例するため、投資額を回収するのが困難になってしまいます。

常に魅力的なコンテンツをそろえなければならない

加入を促すために、サービススタート時から魅力的なコンテンツを揃える必要がありますが、加入者が集まっても、常に新鮮なコンテンツを供給する必要があります。利用料が定額のため、ユーザーには元を取りたいという心理が働き、より多くのコンテンツを楽しもうとします。すると、次から次へて新しいコンテンツを加え、ライブラリーを充実させ続けれなければ、ユーザーの飽きにつながり、サービスを離脱に発展してしまうリスクも高まります。

店舗によってはブランド力が低下することも

希少価値があり、誰もが欲するからこそ、ブランド力は向上します。しかし、サブスクリプションは定額制にすることで、ユーザーの敷居を下げるビジネスモデルです。たとえば高級車を安価な定額料金で提供するようなものです。すると、高嶺の花だったからこそ価値のあったブランド力が下がり、これまで築いてきた名声を傷つけてしまう可能性があります。

市場によっては価格競争になることがある

もともと安価な定額料金で高い付加価値を提供するのが、サブスクリプションの利点ですが、多くの事業者が参入すれば、価格競争が発生する可能性があります。過度に価格が下がれば、もし加入者が伸びたとしても、利益が残らなくなる可能性があります。とくにサブスクリプションに魅力を感じる事業者が増えていることから、価格競争に巻き込まれるリスクはあります。

導入するまでに時間がかかる

とくに新規参入する場合には、綿密なシミュレーションや事業計画を立てて、社内の意見や体制を整える必要があるでしょう。従来型の販売・課金のビジネスモデルが軌道に乗っているのなら、なおさらです。どうしてサブスクリプションに移行する必要があるのか? いまのままではダメなのか? 反対意見が出るのも当然です。それらをまとめるために時間がかかる可能性があります。

必要なサービスを絞ってサブスクリプションを利用することが大切

サブスクリプションに一度加入すると、魅力的なサービスだということが実感できます。したがって、二つ目のサービスに加入するハードルは下がります。気づいたら複数のサービスに加入し、負担になっているといった事態にならないよう、本当に必要なサービスなのか、吟味しながら利用することが大切です。

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