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テレワークと長時間労働の関係|原因や対策をわかりやすく解説

新型コロナウイルス感染拡大により加速したテレワーク。そしてテレワークにより課題となっている「長時間労働」。本記事では、テレワークにより長時間労働が発生する背景と長時間労働によって生じる問題について解説していきます。

テレワークとは?

テレワークとは、「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語で、情報通信技術(ICT)※ を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。

※PCだけでなくスマートフォンやスマートスピーカーなど、さまざまな形状のコンピュータを使った情報処理や通信技術の総称で、ICT(Information and Communication Technology)はITにコミュニケーションの要素を含めたものです。

テレワークには働く場所によって3つの種類に分けられ、在宅で勤務する自宅利用型テレワーク、モバイルワーク、サテライトオフィスなどの施設を利用する施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)があります。

<テレワークの種類>
①在宅勤務
自宅にいながら、パソコンとインターネット、電話、ファクスで会社や同僚と連絡をとりながら働く方法。

②モバイルワーク
顧客先などの外出時の移動中に、パソコンや携帯電話を使って働く方法。

③サテライトオフィス勤務
勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用して働く方法。社内LANがつながるスポットオフィス、専用サテライト、数社の共同サテライト、レンタルオフィスなどの施設が利用され、都心にある企業は郊外にサテライトをおき、地方企業は都心部にサテライトを置くケースが多い。

テレワークと長時間労働の関係

テレワークに関する調査2020によると、テレワークにより通常勤務よりも長時間労働になったと回答した人の割合が半数超(51.5%)という結果もでています。「よくあった」が9.8%、「ときどきあった」が22.9%、「まれにあった」が18.8%と、半数以上の人がテレワークによる長時間労働を経験しています。そして、「テレワークで、残業代支払い対象の時間外・休日労働を行うことがあった」という人が全体で38.1%、10代・20代では51.6%と半数を超える結果となっており、若い層ほど仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちな傾向がみられています。

長時間労働の基準とは?

労働基準法では労働時間は原則として「1日8時間、1週40時間以内」と定められています。したがって、これよりも超える労働時間は長時間労働だと考えることができるでしょう。なお、あらかじめ「労働基準法第36条に基づく労使協定の締結」および「所轄労働基準監督署長への届出」を行うことで、時間外労働(残業)を従業員に課すことが可能になります。ただ、時間外労働で行う業務の種類や人数、日・月・年あたりの時間外労働の上限を決めておく必要があります。

テレワークで長時間労働が増える原因

仕事の効率化、生産性の向上を目的に取り入れられているテレワークですが、人によっては長時間労働になってしまうことがあります。ここでは、テレワークが長時間労働になりやすい要因として考えられることをみていきましょう。

オンとオフの境目がなくなりやすい

テレワークの課題としてよく挙げられるのが、仕事とプライベートの時間の区別がつかなくなることでの集中力の低下です。自宅で働くことになるため、仕事中に別のことに意識が向いてしまったり、集中できずにダラダラと働いてしまったりなど、集中力の低下により長時間労働となってしまうことがあります。また、自宅の環境が原因で仕事への集中力が下がり、仕事を終わらせるのに時間がかかってしまったという人もいるのではないでしょうか。一方で、周囲に人がいない環境なのでかえって集中でき、昼夜問わず仕事をしてしまうなど、テレワークでは仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。

成果で評価される傾向がある

テレワークは従業員の働いている姿が見えないため、成果で評価されるケースが増えています。会社にいた時と同じように成果を出せるか、成果を出さなければと不安に思う人は多く、結果を出すためについ働きすぎてしまうこともあるようです。

人によっては自己管理能力が困難になる

限られた時間で質の高い仕事をするためには、自己管理能力が必要です。オンとオフの切り替えは自分次第になるため、休憩時間を必ず取るようにする、業務終了時間を決めてそれ以降は仕事をしないようにするなどの自分自身でルールを決め、それをきちんと守るようにしていくことが重要です。働く側としても、時間管理や健康確保は労働者自身で行っていく時代になることを見据えマインドチェンジを行っていく必要があります。

コミュニケーションコストが高くなる

テレワーク時のコミュニケーションとして、ビジネスチャットツールやテレビ会議ツールを使うことになりますが、社内で会話するのと比べると、どうしても時間がかかってしまいます。文字のやりとりでは細かいことが伝わりきらないため、やり取りの回数が増えて相互理解に手間取った経験を持つ方も多いのではないでしょうか。また、会話にタイムラグが生まれ、対応までに時間がかかることや、遅い時間からの作業になってしまうなんてことも発生してしまいます。

隠れ残業が増えてしまう

テレワークでは各自が自宅など遠隔地で勤務するため、直接、業務を行っている様子を見ることができません。そのため、始業時間や就業時間、そして休憩時間をいつ取るのかを労働者の判断に委ねがちです。また、オンとオフとの境目がなくなることで、勤務時間外にメールの返信をしたり、少しの残業だし、申告の仕方もよくわからないと、隠れた残業が行われがちです。日本労働組合総連合会が2020年6月に実施した「テレワークに関する調査」でも、調査対象の半数以上が「通常の勤務よりも長時間労働になることがあった」と回答し、「勤務時間外に仕事に関する連絡をとること」もあったと答えています。

長時間労働によって生じる問題

長時間労働には、病気発症の可能性を高めるといったリスクや、生産性の低下といった問題が発生します。また、厚生労働省の過重労働とメンタルヘルスによると、時間外労働が50時間をこえると、睡眠時間が6時間を確保できなくなる傾向に、100時間を超えるとさらに短縮するという傾向も示されており、長時間労働により睡眠時間が確保できないこと、それに伴うメンタルヘルスに不調がでることも大きな問題ともなっています。

うつ病のリスクが高まる

長時間労働では、精神状態が悪化し、うつ病を発症してしまうケースがあります。仕事の効率が急激に下がり、やる気が起きなくなってしまいます。治療の必要もあり、出社できなくなってしまいます。原因はさまざまですが、本人に自覚がないまま病気が進行してしまうこともあり、周囲が変化や異変に気がつき、早期に業務を手伝ったり、心のケアをすることが大切です。

事故やケガのリスクが高まる

長時間労働をしていると、勤務中に眠気に襲われたり、注意力が低下して、事故やけがが発生するリスクが高まります。睡眠時間や休息が取れるような労働環境に整え、慢性的な睡眠不足に陥らないように、会社が労働時間の管理をすることが必要になります。

過労死のリスクが高まる

長時間労働が過度になると、命の危険も生じるようになっていきます。過労死です。とくに月に80時間以上の残業があると、健康被害が発生しやすくなると言われています。脳の疾患や精神疾患、心臓病のリスクが高くなり、体調を崩すことになります。また、ストレスによる自殺のリスクも高まります。

生産性が低下する

生産性の観点でも、労働時間が短いほど生産性も高いという相関関係が見られており、一人当たり労働時間が10%減少すると、一時間当たりの労働生産性は25%高まるともいう計算も発表されています。このことからも労働者の健康を確保するためだけでなく、生産性の観点からも長時間労働を是正していく必要があると言えます。
(参考:内閣府「平成29年度 年次経済財政報告」第2章より )

創造性が低下する

創造性は余裕がある状況下でないと発揮することは難しいと言われます。長時間労働が重なると、体力も精神もゆとりがなくなり、創造性は低下していきます。疲労によって、正常な判断力もなくなっていきます。創造性が低くなれば、業務に影響が出て、効率も低下します。

人材の流出/離職率が増加する

長時間労働が常態化する会社では、離職率を高め、さらに採用難を加速するという悪循環が発生する。特に若者の間では、勤務時間などの労働条件は、離職理由のなかでも大きなウェイトを占めています。平成30年版「子供・若者白書」によると、初職の離職理由は「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」が23.4%を占めており、長時間労働は人材の流出を助長することにもなる。

ワークライフバランスをとりにくくなる

長時間労働をすれば、自分のための時間が当然、減っていきます。すべてが仕事中心になり、知人や家族と過ごす時間が減っていきます。息抜きができる時間がなくなり、充実感や幸福感も感じにくくなっていきます。

残業代未払いによるトラブルが起こる可能性がある

テレワークに関する調査2020によると、今年の4月以降のテレワークで、残業代支払いの対象となる時間外・休日労働を行うことがあった人(381名)のうち、≪残業代支払いの対象となる時間外・休日労働をしたにも関わらず勤務先に認められないこと≫があった人は56.4%で、その中でも、よくあったが14.4%、ときどきあったが23.4%、まれにあったが18.6%という結果が出ています。時間外労働や休日労働をしても認められなかったケースも非常に増えているようです。

また、≪残業代支払いの対象となる時間外・休日労働をしたにも関わらず申告しないこと≫があった人については、65.1%となっており、申告しなかった理由として、「申告しづらい雰囲気だから」(26.6%)と「時間管理がされていないから」(25.8%)が高い結果となっています。「上司に申告をするなと言われたから」という理由も 11.7%入っており、長時間労働にも関わらず、申告しにくい、承認されないという状況も多く見受けられています。

テレワークにおける長時間労働を防ぐ対策

厚生労働省のテレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン「3.長時間労働対策について」によると、テレワークにおける長時間労働等を防ぐ手法として、下記の通り4つの手法が挙げられています。

メール送付の抑制

テレワークにおいて長時間労働が生じる要因として、時間外、休日又は深夜に業務に係る指示や報告がメール送付されることが挙げられます。そのため、役職者等から時間外、休日又は深夜におけるメールを送付することの自粛を命ずること等が有効です。

システムへのアクセス制限

テレワークを行う際に、企業等の社内システムに外部のパソコン等からアクセスする 形態をとる場合が多いですが、深夜・休日はアクセスできないよう設定することで長時 間労働を防ぐことが有効です。

時間外・休日・深夜労働の原則禁止

業務の効率化やワークライフバランスの実現の観点からテレワークの制度を導入する場合、その趣旨を踏 まえ、時間外・休日・深夜労働を原則禁止とすることも有効です。この場合、テレワークを行う労働者に、テレ ワークの趣旨を十分理解させるとともに、テレワークを行う労働者に対する時間外・休日・深夜労働の原則 禁止や使用者等による許可制とすること等を、就業規則等に明記しておくことや、時間外・休日労働に関する 三六協定の締結の仕方を工夫することが有効です。

健康管理体制を整える

身体的な疲労や精神面の疲労を、他人が判断するのは難しいでしょう。どのように社員に健康を維持してもらうのか? 企業は健康管理体制を強化していく必要があります。

長時間労働等を行う労働者への注意喚起

テレワークにより長時間労働が生じるおそれのある労働者や、休日・深夜労働が生じた 労働者に対して、注意喚起を行うことが有効です。具体的には、管理者が労働時間の記録を踏まえて行う方法や、労務管理のシステムを 活用して対象者に自動で警告を表示するような方法があります。

長時間労働による疾病発生時の対応

長時間労働が原因で従業員がうつ病などを患ってしまい、体調を崩してしまった。そんなときは、どうして長時間労働をすることになってしまったのか? どうすれば再発を防ぐことができるのか? 産業医などの専門家の助言をもとに原因を究明する必要があります。

テレワークでよくある労務管理に関する質問

コロナウイルス感染症拡大に伴い、テレワーク(在宅勤務)を会社から命じられた人も多いことと思います。急速に普及したテレワーク。実行するにあたって、残業代などの賃金の発生の有無、労働形態による勤務時間や休憩の取り方の違いなど、曖昧なままテレワークを活用しているという人も多いのではないでしょうか。ここでは、残業代や休憩の取り方など労務に関する解説を行っていきます。

残業代は出る?

「テレワークだと残業代が出ない」と誤解している人もいるかもしれませんが、テレワークで業務を行った場合でも、その労働時間が法定労働時間を超えるようであれば、基本的には残業代は発生します。

しかし、テレワーク勤務による労働時間の把握・管理が困難であることを理由に、会社からみなし労働時間制という特別な労働時間制度が適用されることもあります。

裁量労働制、事業場外労働のみなし労働時間制、フレックスタイム制の違いは?

テレワークに活用することがあり得る労働時間制度としては、「裁量労働制」「事業場外労働のみなし労働時間制」「フレックスタイム制」の3つがあります。

裁量労働制は、実労働時間に関係なく、決められた一定時間働いたとみなす制度で、労働者が労働時間の拘束なく業務に従事できる反面、その労働時間は一定時間とみなされます。そのため、使用者の指揮命令が希薄な在宅勤務とは相性のよい労働時間制度といえます。
事業場外労働のみなし労働時間制は、社外で業務を行う労働者の労働時間を把握することが困難な場合に、実労働時間にかかわらずその労働時間を一定時間とみなしてしまう制度です。実労働時間の多い・少ないに拘らず、勤務時間が一定時間にみなされることになるため、実労働時間に対応する残業代が発生しないということもあり得ます。
フレックスタイム制は、業務の始業・終業の時刻を労働者の裁量的判断に委ねる労働時間制度です。在宅勤務の場合、出社・退社という概念がなく、業務の開始と終了を従業員に委ねる方がスムーズな場合も多いため、テレワークとは相性が良い制度といえるでしょう。フレックスタイム制を導入することで、始業・終業の管理を柔軟に行うことができます。

中抜け時間は休憩にカウントされる?

テレワークに際しては、従業員が業務から離れる時間、いわゆる中抜け時間が生じやすいと考えられます。
中抜け時間に使用者からの業務の指示をしないこととし、従業員が労働から離れ、自由に利用することが保障されている場合は、その開始と終了の時間を報告するなどにより、休憩時間として扱い、始業時刻の繰り上げや終業時刻の繰り下げが可能です。また、時間単位の年次有給休暇として取り扱うことも可能です。

テレワークでも、深夜に労働した場合は割増賃金が発生する?

実労働時間やみなされた労働時間が法定労働時間を超える場合や法定休日に労働を行わせる場合、時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)の締結、届出及び割増賃金の支払が発生します。深夜に労働した場合は、深夜労働に係る割増賃金の支払が必要となります。

健康的に働き続けられる職場を維持しよう

テレワークにより起こりがち長時間労働を防ぐことは会社にとって重要な課題です。しかし、長時間労働を危惧するあまり、不適切な勤怠管理になってしまうのは本末転倒です。

申告しにくい雰囲気があるから残業を申告しない、勤務管理ができないから残業を承認しないという状況では、きちんと長時間労働を防ぐための対策をとることができません。勤務形態と正しい勤務条件を理解し、労働者は時間管理や健康確保を自分自身で行っていき、会社はそのための環境を構築していくことで、いまよりもさらに効率的にテレワークを活用していくことができるのではないでしょうか。

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