ホンダが2021年に「自動運転レベル3」搭載車を市販化!自動運転時、読書やゲームは可能となるか!?
2021/1/18
ホンダが自動運転レベル3システムの型式指定を取得し、2020年度内にレベル3の機能を搭載した車種を発売するという発表が、大きな話題となっている。基本的には手動運転となるが、一定条件下で自動運転を可能にするシステムで、自家用車においてもついに自動運転時代が幕を開けようとしている。
レベル3における自動運転時、ドライバーの運転以外の行為、いわゆる「セカンダリアクティビティ」がどこまで認められるのか。ホンダのレベル3システムの概要や道路交通法などをもとに、レベル3でできること・できないことについて考察していこう。
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混雑した高速道路など、時速50キロ未満での走行で自動運転が可能に
TJPの作動には条件があり、一部区間を除く高速自動車国道や自動車専用道路において渋滞または渋滞に近い混雑状況であり、前走車と後続車が自車線中心付近を走行しており、自車の速度がTJP作動開始前に時速約30キロ未満、作動開始後は時速約50キロ以下であることを条件としている。
大まかにいえば、混雑した高速道路などにおいて時速50キロ未満で走行している際に自動運転が可能になるのだ。また、悪天候時や、高精度地図やGPSなどの全球測位衛星システム(GNSS)の通信状況が悪い場合などは作動しない。
自動運転時はスマホを見る行為が許容される!?
レベル3における自動運転時、ドライバーに許される運転以外の行為、いわゆる「セカンダリアクティビティ」については、自動運行装置を備えている自動車の運転者の遵守事項を定めた道交法第71条に「第71条第五号の五の規定は適用しない」と定められた。
第71条第五号の五は、「当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」を定めたもので、スマートフォンなどによる通話をはじめ、速度計などの計器類を除く画像表示用装置、つまりスマートフォンやカーナビなどを注視する行為を禁じる内容となっている。自動運転時は、これらの行為を許容されることが正式に定められたのだ。
逆を言えば、これらの行為以外は認められていないとも言える。ただし、できることとできないことを具体的に示す条文はなく、その線引きについては明確化されていない部分も多いのが現状だ。
手動運転切り替え要請に、即時に対応することが絶対条件
レベル3においては、システムからの手動運転要請を直ちに認知しなければならないため、睡眠は厳禁となる。また、手動運転を行わなければならない状況が必ず存在することから、飲酒も当然アウトとなる。睡眠・飲酒が禁じられるのは誰もが納得するところだろう。
では飲食や読書などはどのように扱われるか。スマートフォンやモニターを活用したゲームは、画像表示用装置の注視が認められることを踏まえると、許容される可能性が高い。この考えをもとに類推すると、読書も可能となる可能性が高い。
飲食については判断が難しいところだ。両手を使用する食事も、すぐに運転操作に戻れるケースもあれば戻れないケースもある。当面は黙認され、これに起因する事故が発生した場合などに改めて指針として禁止される――といった可能性もありそうだ。
警察庁の調査研究報告書における事例
具体的には、システムの性能によっては認められ得ると考えられる行為として、以下の5点が挙げられている。
①車体備付けの装置によるテレビ・映画鑑賞等
②持込み装置によるテレビ・映画鑑賞等
③携帯電話保持での通話
④携帯電話によるメールの送受信等
⑤両手をハンドルから離した状態での食事・読書・パソコン使用・会議・事務作業等
あくまで参考に留まるが、グレーゾーンを考える上で1つの基準になり得るだろう。
気になるグレーゾーンの線引き 警察庁の動向に注目
一昔前は緩かった走行中の携帯電話の使用が厳格に禁止されるようになったのと同様、運用状況などを踏まえ、グレーゾーンの線引きが行われていく可能性もある。警察庁の動向にしばらく注視したいところだ。
また、スマートフォンやカーナビなどのモニターが操作可能になることから、こうした機器を活用した新たなサービスが登場する可能性もありそうだ。本格的な自動運転時代を見据えた各方面における開発・サービス化の動向にもしっかりと注目していきたい。