VTuber領域で2社目、VTuber事務所「ホロライブ」運営のカバー上場。 〜IPOから読み解く、デジタルシフト #6〜
2023/4/27
多くの企業が目標の一つとして掲げ、憧れ、夢を見る言葉、「上場」。これを達成した企業は資金調達の規模が大きくなり、さらなる挑戦ができるとともに、社会的に認められたという箔が付く。何百万社とある日本企業のなかで、上場企業は約3,800社。非常に狭き門を突破した、選ばれし企業たちだ。
本記事では、デジタルシフトを実現しながら新規上場を果たした企業に焦点を当てていく。今回は、VTuber事業を手がける「カバー株式会社」を取り上げる。同社は、2023年3月27日に東証グロース市場に上場した。初値は1,750円で公開価格の750円を上回った。
VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営する、カバー株式会社とは
VTuberとは、「バーチャルYouTuber」のことで、2D・3Dのアバターを用いてYouTubeなどで活動する動画配信者のことを指す。カバー社のプロダクションでは所属タレントとして多数のVTuberを抱えており、動画配信やライブイベントを行っている。在籍するVTuberは70名以上で、関連する全てのYouTubeチャンネルの登録者総数は2022年12月時点で7,200万人を超えている。同様にVTuber事業を展開する企業としては、2022年6月にVTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR株式会社が東証グロース市場に上場しており、注目を浴びる領域となっている。
カバー社は、2022年3月期の売上高が約136億6,300万円で、営業利益は約18億5,500万円だった。2023年3月期は第3四半期累計で売上高が約128億200万円、営業利益が約17億3,400万円となっている。
急成長する事業と積極的な海外展開
また、カバー社は海外展開にも積極的だ。運営するVTuberプロダクションは、英語圏向けやインドネシア語圏向けのものもあり、北米ではYouTubeチャンネル登録者数431万人の「Gawr Gura(がうる・ぐら)」、東南アジアではYouTubeチャンネル登録者数199万人の「Kobo Kanaeru(こぼ・かなえる)」など、それぞれの地域で人気VTuberを抱えている。2022年12月時点で、YouTube配信における月間の海外再生数比率は41%だった。もちろん、VTuberの配信活動だけでなく、グッズ販売など付随する事業でも海外向け商品の開発や販売などを展開しており、今後もさらに拡大する予定とのことだ。