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「リノべる。」のプラットフォーム戦略とは?デジタルと異業種協業でかなえる自分らしい暮らし

マンションや戸建てのリノベーションをワンストップで手掛けるリノべる株式会社は、リノベーション業界のバリューチェーンを再構築し、テクノロジーを導入することで業界の負を解消してきた。今やそのサービスは、リノベーションにとどまらず暮らし方を提案するまでに広がっている。同社が提唱するリノベーション・プラットフォームとはどんなものなのか?代表取締役の山下 智弘氏に話を伺った。

――まず、リノベーション・プラットフォームという構想を持つに至った経緯を教えてください。

最初は住宅業界のバリューチェーンに課題を感じていたんです。実は住宅業界というのは、細分化された世界で、不動産屋さんがあり、設計会社や、施工会社がある。またローンを提供する金融会社なんかもあります。全く異なる業界の会社が繋がりあってできているんです。そんな中では、お施主様の思いもいろんな業者を経て伝わっていくうちに薄れていってしまう。ずっとそうした実情に課題を感じていました。全て一貫して引き受け、お施主様に伴走することで課題を解決できるのではないかと思い、ワンストップバリューチェーンを築こうと思ったんです。
代表取締役 山下 智弘氏

代表取締役 山下 智弘氏

――従来のバリューチェーンにあった課題とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

一番大きいのは介在する多様な業種が、それぞれ自分たちの取り分を最大化しようとすることでしょう。例えば弊社のようなサービスが無かったとして、東京に住む方が4,000万ぐらいのローンが組めるだろうと予測できた場合、1,000万のリノベーション費用を見込んで3,000万の物件を求めます。しかし、不動産屋にしてみれば4,000万程度の新築や築浅物件を提案するでしょう。当然そのほうが手数料は高くなります。また個人と個人で取引する中古物件は、瑕疵(かし)の問題など売買後にトラブルがあった場合の対応も面倒。築年数の経った物件の紹介を避けたいという心理も働くんです。

また、さらにその先の問題もあります。良い物件を見つけられたとして、「ではこれを買います」となかなか決断がしにくいですよね。なぜかというと、リノベーションにどれぐらいお金が掛かるかわからないし、自分好みにできるかもわからないから。設計事務所や工務店さんと様々な調整をして、打ち合わせを重ね、やっと見積もりが取れる。その間物件が売れてしまうなんてこともよくあるんです。

――そうした課題に対し、すべての工程を一手に引き受けるというモデルの必要性を感じたというわけですね。一方で、リノベーションのプラットフォームになるという考え方はどのように生まれたのでしょうか?

日本のマンションというマーケットでいくと、新築マンションのトップの会社は、6,000から7000戸を年間で販売しています。そうした数値を前提に、私達は「したい暮らし」にあわせて家をつくるという文化を根付かせる具体的な目標として年間1万戸を掲げています。

僕ら自身も、バリューチェーンを内製化していますが、単独では到底達成できない目標です。プロの集団をつくり最適化することで、この目標を実現しよう考えているところが大きいですね。自分たちですべてやるんじゃなくてプラットフォームになり、いろんな会社さんたちに助けてもらいながら、一緒になってやるって形が、本当の意味で価値を最大化するのだと思います。

また、私達が描くバリューチェーンは、不動産や工務店、金融だけではないんです。家具メーカーやアパレルメーカーさんと一緒に取り組みを行うこともあります。というのも、僕たちが素敵にしたいのは、住まいだけではなくて暮らしなんです。暮らしをかしこく素敵にする会社さんと一緒にやっていきたいと思っているんですね。暮らしって結構領域が広くて健康もそうかもしれないし、旅行もそうかもしれない。食べるとか働くとかもあります。そうした意味でも僕たちがプラットフォームになる必要性を感じています。

――リノべるは、伺ったようなワンストップバリューチェーンや、リノベーション・プラットフォームを実現するうえでテクノロジーを重視されている印象がありますね。

もともと住宅業界とテクノロジーが遠い存在であることに違和感を持っていました。そのため僕が事業を始めるにあたって、まず取り組んだのがデータ化です。創業以来すべての情報をデータにし、集めてきました。例えばお客さまにヒアリングした内容や、どのコンテンツへいつ訪問したかといったウェブ上の行動履歴も。当初はそれがどう使えるか想像しきれていませんでしたが、蓄積され、いまデータベースとして整備されたことで、弊社のWEBサイトを通して来訪されたお客様に、どういった傾向があるか判断できるようになり、最適な提案をすることに繋がっています。

また、工務店さんやパートナーさんとお客さまとの相性を見たりもしているんです。
――データ活用だけでなく、独自のサービスも開発していますね。

例えば、「sugata」というアプリは、設計士とお施主様のコミュニケーションを円滑にするものです。設計者の仕事って僕もやっていたのでわかるのですが、実際のところ業務の60パーセントくらいは、お施主様へのヒアリングや提案なんですよね。そのコミュニケーションが上手くないと、最後にお施主様の期待値に達することができない。そこで「sugata」では、僕たちが今まで施工してきた事例写真の中から、お施主様が好みの内装を選んでいくと、お施主様の好みを分析して求められているであろうイメージをレコメンドすることができる。それをベースに設計士をマッチングさせます。設計士も、あらかじめ共有されたイメージをもとにお施主様とコミュニケーションが取れるようになりました。

また、設計士や現場監督が施工現場を遠隔管理できる仕組についても現在実証実験中です。移動時間が無くなり効率化するだけでなく、設計士ならよりクリエイティブな作業に時間を充てることができる。将来的には、職人不足が叫ばれる施工現場、例えば現場監督にも展開することで、一人でより多くの案件を見られたり、シルバー人材の方なども、経験や知識を活かした新しい活躍の機会を提供することができるのではと考えています。

人が不足する中で、デジタル人材じゃない人たちをどうデジタル化していくかということも業界の課題なんです。当社の場合も、最初は使いこなせない方ももちろんいるんです。でも、気づけばどんどん使いこなすようになったりして。そういうことが実現できればいいですよね。

一方、デジタルとリアルの良いとこ取りをすることも重要だと思っています。

先ほどのデータ活用で話したように、私達はオンラインでの集客にも力を入れていますが、オフラインで実際に体験を提供することにもこだわっているんです。全国に48の体感型ショールームを持っていて、そこでは実際の生活をイメージしていただくとともに、様々なIoT機器等を連携させたスマートホームも体験できます。

一緒に実物を見ながらカウンセリングすることで本当の答えが見つかるというのは、オフラインの力です。ただ、お客様にとっては聞きにくいような話もたくさんある。家を作るというのはセンシティブな話なので。例えば、ご夫婦であれば寝室が一緒の方がいいかどうかみたいな話ですね。そうしたヒアリングはデジタルを通すことで、聞かずとして答えを知ることができる。いわゆるOMOな顧客体験を作るよう心がけています。
――今後はどのような事業展開を考えていらっしゃいますか?

私達が追い求めるのは住まいではなく暮らしだという話をさせてもらったと思います。暮らしとなってくると他者との関わり合いも大きな影響を占めていきますよね。例えばマンションの中身がリノベーションされて自分好みになったとしても、隣に相性の悪い方が住んでいれば暮らしは良くならない。こういった問題もデジタルで最適化できるという可能性もあるんじゃないかと僕は思っているんです。

例えるなら、「街の雰囲気」があります。なんとなく雰囲気に応じた人が集まってくる。それをもっとデジタル化していくことで、エラーが起きにくくなるというイメージです。

最近ではNTT都市開発さんと僕たちは業務提携をしました。彼らは日本全国に8千以上のビルを持っています。それらを丸々1棟リノベーションし、デジタルを取り入れることで、隣人同士のストレスを緩和する仕組みだって創れるかもしれません。

いまのはあくまでジャストアイデアですが、NTT都市開発さんとは、実際に分譲マンション等におけるICTを活用した新たな商品・サービス開発を進めようとしています。自社で戦略投資プロジェクトも作り、必要なテクノロジーを外部と一緒になって育てる。そしてそれを実証実験できる場所を作る。そうすることで、住宅業界にイノベーションを起こし続けるプラットフォームをめざしていきたいですね。

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