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なぜビザスクは、日本最大級のスポットコンサルティングサービスになれたのか。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、各企業はリモート対応を進めている。株式会社ビザスクは新型コロナウイルスの流行以前から非対面式のサービスを提供する会社の一つ。提供しているのは約10万人の専門知識を持つ人の中からアドバイザーを選び1時間からアドバイスを受けられる、スポットコンサルサービスだ。日本最大級のスポットコンサルサービスは、どのようにして生まれたのか。創業者であり代表取締役CEOでもある端羽 英子氏とCEO室長兼ビザスクlite事業部長の宮崎 雄氏にお話を伺った。

新規事業の仮説検証やユーザーヒアリングとしての活用も

―まず、御社の事業内容を教えてください。

端羽:株式会社ビザスクはさまざまなビジネス領域の経験者に電話・Web、対面で相談ができるスポットコンサルティングサービスを提供しています。マーケティングや人事、採用、海外進出など、さまざまな課題について知見のある経験者の方々に個別に相談できます。登録者は10万人を超え、相談可能な領域は500以上あります。

利用手順としては大きく2つで、まず依頼者がアドバイザーを選び、抱えている課題やその背景についてメッセージを送るところから始まります。その後、アドバイザーとコミュニケーションをとり、課題解決ができそうだと判断したら正式に依頼し、日時を決め、スポットコンサルティングを実施します。最初に課題感をすり合わせることで、適切なアドバイザーとのマッチング精度が上がると考えています。

宮崎サービスのリリース当初から専門的な知見やアドバイスを得る目的で利用するユーザーが多かったです。さらに今は新規事業開発を担当する方が仮説検証を目的とした業界調査や顧客のニーズヒアリングに活用するケースが多いです。何が正解かわからないことに取り組む人が、外の声を聞くために使っている形です。

端羽:「スポットコンサル」というサービス名もあり、コンサルティング会社と間違われることもありますが、あくまで我々は知見をおもちの登録アドバイザーとマッチングするサービス、情報サービスという認識です。また企業のトップや経営企画の方に限らず、現場の事業部の方が直接利用されることが増えています。

宮崎:新規事業のように社内に知見がない時に、適切な情報が得たいときの受け皿になれていると思います。一つひとつのアイデアに対して予算がかけられないタイミングにこそご利用いただき、成功確率を高めていただきたいです。また、時間が限られているなど、スピード感を持って新しいことを始めたいときもご利用いただくと良いのではと思っています。

知見をシェアするサービスはどのようにして生まれたか

―サービス立ち上げまでの経緯を教えてください。

端羽:社会人になってすぐ、起業したいと思うようになりました。きっかけは新卒入社した会社を1年で出産のため退職し、キャリアの築き方について考えるようになりました。もともと、人生で一度は一国一城の主ではないですが、起業してみたいという気持ちもありました。その後のビジネススクールへの留学でその思いは強くなり、帰国後投資ファンドを経て、起業のために独立しました。

事業内容を模索するなか、目をつけたビジネスモデルの一つにシェアリングサービスがありました。当時ちょうど「SHARE」という本が出版され、SNSの時代においてソーシャルな信頼を貯めることで、個人が売り手になれるという世界観に感動したんです。また、テクノロジーの発達により、知らない人同士であっても信頼でき、取引が生まれる世界にワクワクしたんですよね。

一方で、個人同士で繋がるにはお互いのニーズに出会える場所が必要です。そこで、プラットフォームを作り、新しいマーケットを生み出そうと考えました。

ただ、当時日本に同種のサービスが少なく、何をシェアすべきかが見つけられませんでした。そんななか、たまたまスペースシェア事業を運営されていた軒先株式会社の西浦 明子さんに出会い、アドバイスを受けることができました。非常に有益なご指摘をいくつもいただき、もっと早くこの人に出会いたかったと思いました。

そんな経験から、課題を抱えている人に知見をシェアできるサービスがあれば良いのではと思い至りました。その結果、生まれたのがスポットコンサルティングサービス、ビザスクでした。

登録者、利用者それぞれのユーザビリティにこだわり抜く

―ビザスクは今や10万人近くのアドバイザーが登録し、日本最大級のスポットコンサルティングサービスになっています。スケールさせる上で気を付けたポイントなどあれば教えてください。

端羽:2012年の立ち上げ当初は、世の中的にまだ働き方改革や副業という概念がなく、パラレルワークに対する意識も低かったためアドバイザーを集めることに課題感がありました。そこで最初に、どうすれば登録者を増やせるのかを徹底的に考えました。

たとえば、今は少し仕様が変わっていますが、何についてアドバイスが可能かを登録する画面で、大きなカテゴリー中から一つを選ぶのではなく「○○における○○」と2つのキーワードを組み合わせて登録できるようにしました。それによって、登録者が自分のできることを見つけやすくしました。

アドバイザー一覧ページの見せ方にも工夫をしました。たとえば、あえて登録者として有名人をPRしないようにすること。ネームバリューのある人というよりは、日々仕事をして現場のことをよく知っている人にこそ登録いただきたいと思い、登録のハードルを下げて仕事をしている人ならだれでも登録いただくようにするための工夫でした。

宮崎:また、同じくアドバイザー一覧ページにおいて、幅広い分野のアドバイザーが見られるようにもしました。Web登録だとどうしてもWebサービスやマーケティングに詳しい人の登録が増えます。短期的には、ニーズの大きい領域のアドバイザーを多く表示することでマッチングの数を増やすことができます。ただ、特定分野の知見をシェアするサービスではなく、あらゆる領域の知見が集まるプラットフォームを作りたかったので、製造、小売、IT、不動産など、なるべく多様な分野のアドバイザーが並ぶようにしました。

端羽:会社としてどんなメッセージを発信するのかにもこだわっています。「副業で稼ごう」よりは「あなたの知見をお借りできませんか」というメッセージを起用し、たくさんのお金を稼ぎたい、というよりも誰かの役に立ちたいと考えている層に登録してもらえるようにしていました。

―アドバイザーではなく、依頼者を増やすために工夫したことも教えてください。

端羽:とくに効果的だったなと思うのは、相談の時間を1時間からにしたことです。当時の日本には見ず知らずの人の知見を借りる文化がありませんでした。そのため、利用のハードルをできる限り下げることが必要だと考え、最低1時間からでも利用できるようにしたのです。

宮崎:また、実際に会わなくても電話やWebでスポットコンサルまで完結できるシステムを整えたこともユーザビリティの観点から良かったと思っています。最初は対面が良いと希望される方もいるので、最初だけ対面にして次回からは電話など一番使いやすい方法で利用いただければと思っています。最近は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点でスポットコンサル実施は電話・Webのみにしていますが、従来からWeb利用も多かったですし、特に問題なくサービス提供できています。

世界中に知見をつなぐことに挑戦していく

―新型コロナウイルス感染症は御社のサービスにどのような影響を与えたのでしょうか。

端羽:コロナの影響でデジタル化やリモート化が進み、企業の生産性は今より向上するのは間違いありません。そんななか、オンラインのスポットコンサルは、アドバイザーからすれば移動時間や場所に左右されないので知見を提供しやすくなります。依頼者としても効率的に業務を進める方法として、詳しい人から知見を借りる動きはますます当たり前になっていくと考えています。

―最後に、今後の事業展開について教えてください。

端羽ご登録いただいているアドバイザーの方々がもっと活躍できる機会を広げたいと思っています。そのためにも、1時間のスポットコンサルティング以外にも、オンラインサーベイや業務委託契約など協業スタイルの選択肢を増やしたいです。

宮崎:また、企業の中でスポットコンサルティングが起こるような仕組みの提供もしたいです。これからリモートワークが進むと、オフィスで「この仕事が得意な人はいますか?」と一斉に聞いたりできなくなります。そうなっても社内にどんな知見があって誰が得意なのかがわかり、簡単にmtgの設定などできれば効率的に仕事が進められると思うのです。

さらに、これまで蓄積してきたユーザーから受けた依頼内容やその結果マッチングしたアドバイザーの情報などを元に、課題解決に繋がる精度の高いマッチングを、我々からユーザーに提案する機能も開発しています。

端羽​:私は、ビザスクを通して世界中の知見を繋ぐことに挑戦しています。その思想の根底にはスティーブ・ジョブズがスピーチで語った「Connecting The Dots」の考え方があります。今自分が取り組んでいることは点に見えるかもしれないけど、後から振り返れば線になるという考え方です。まさに今自分の人生を振り返ってみると、今を築くため、全ての経験が繋がっていたなと思います。

ただ、点は自分の人生の中だけで探す必要はないと思います。誰かの点が自分の点と結びつき、線になることもあると思うのです。そんな「Connecting The Dots」を世界規模で起こしていくのが我々の目標です。
端羽 英子
株式会社ビザスク 代表取締役CEO
東京大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券にて投資銀行で企業ファイナンスに携わるも妊娠出産のため1年で退職。米国公認会計士資格を取得、日本ロレアルにて予算立案・管理を経験した後、マサチューセッツ工科大学に留学しMBAを取得。ユニゾン・キャピタルにてPE投資に5年間携わった後、2013年10月に「世界中の知見をつなぐ」をビジョンに掲げる、ビジネス領域に特化したスキルシェアプラットフォーム「ビザスク」を立ち上げる。
宮崎 雄
株式会社ビザスク CEO室室長 兼 ビザスクlite事業部事業部長
2006年よりリクルートグループに入社後、営業・新規事業開発などを経て、リクルートホールディングス、リクルートジョブズの経営企画部門の責任者として従事。2019年4月よりビザスクへ参画し、マーケティング活動を通じた顧客基盤の拡大を推進中。

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