新社長はベイシアをどう「尖らせる」のか。ベイシア社長 相木孝仁氏に立教大学ビジネススクール田中道昭教授が迫る【前編】

ホームセンターのカインズにワークマン、東急ハンズなどをグループ会社に持つベイシアグループ。その中核をなすのが東日本をメインに展開する食品スーパー大手のベイシアです。広大なワンフロアの店舗で地域住民のニーズに応える圧倒的品揃えと価格を実現し、その動向は常に業界内での注目を集めています。今回の対談では、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授と、今年7月にベイシアの新社長に就任された相木孝仁氏の二人が、新体制となったベイシアの独自戦略について意見を交わします。

前編は相木社長の経歴と社長就任までの経緯、ベイシアグループが標榜する「ハリネズミ経営」、高品質なプライベートブランド(PB)の開発および販売戦略、今後の出店戦略などについてお話をうかがいます。

異業種での経験や変革力を評価され、業界未経験で社長に就任

田中:デジタルシフトタイムズ田中道昭です。本日はベイシアグループの中核企業であるベイシアの前橋本部にお邪魔しておりまして、2022年7月に社長に就任されたばかりの相木 孝仁社長にお話をうかがいます。本日はよろしくお願いいたします。

相木:どうぞよろしくお願いいたします。

田中:まずは簡単に、私から相木社長と会社についてご紹介いたします。ベイシアグループといえば最近は飛ぶ鳥を落とす勢いですが、傘下にはカインズやワークマンが並び、最近では東急ハンズも買収されました。相木社長は、大学卒業後にNTTに入社し、コンサルティング企業のベイン・アンド・カンパニーを経て、ツタヤオンラインに転職されています。ツタヤといえば日本を代表するデータドリブン企業です。その後、フュージョン・コミュニケーションズ(現楽天コミュニケーションズ)の社長、楽天の常務、鎌倉新書の社長などを歴任されたプロ経営者でいらっしゃいます。相木社長、補足があればお願いします。

相木:ご紹介ありがとうございます。これまで国内外を問わず、急成長中の企業やターンアラウンド局面にある企業から、インターネット企業、伝統ある大企業までさまざまな企業を経験してきました。私のように一つの業界に長くいない人間には、どうしても業界のしがらみを超えた大きな改革が求められます。その都度綱渡りですが、仲間と運に恵まれてなんとか結果を出し、今日に至っています。

田中:小売業はツタヤで経験されたと思いますが、スーパーは初めてのご経験ですよね。

相木:そうですね、まったくの初めてになります。

田中:私は6月にもベイシア本部におうかがいさせていただきましたが、その時、土屋(裕雅)会長も相木社長のことを非常に高く評価されていました。スーパーは未経験ながらも、プロパー以外から初めて社長に抜擢されています。今年の1月に副社長としてベイシアに入社されて、かなり早いタイミングで社長に就任されました。ご自身としては、その抜擢の理由をどのように分析されていますか?

相木:1月にベイシアに参画する前の半年間は、週1回のペースでお手伝いをしていました。十分とはいえませんがその中で予習を行い、会社の持つポテンシャルや店舗の強み、従業員のホスピタリティーなどの理解に努めてきました。その姿勢が評価されたことに加えて、ベイシアで働いてきた仲間たちから「一緒にやりましょう」というメッセージをもらい、良い仕事ができると考え1月に参画する運びとなりました。半年間じっくりと店舗を見ていく中で、少しの自信が確信に変わり、そんな話をする中で土屋が判断したのだと思います。

田中:あえて異業種出身で、業界未経験の相木社長が選ばれた最大の要因や期待されていることはどこにあると思われるでしょうか?

相木:想像ではありますが、土屋には強い危機感があると思います。小売とは商品を仕入れ並べて販売することです。当然そこにも価値がありますし、簡単ではありませんがさらにその先を見据えて、ものづくりにまで踏み込む必要があります。商品を置くだけ、店舗を持つだけではなくさまざまな購買体験を提供していく。そういったことを考えると当然小売のことを知っていなければいけない。それだけではなくて異業種の経験や、ビジネスモデルの改革を思い切ってドライブする力、そういったものに対する期待が大きいと考えています。

田中:一方、相木社長があえて前橋に本部のあるベイシアを次の自分の働き先に選んだポイントはどこにあったのでしょうか?

相木:私も50歳になりまして、社会に対してインパクトの大きな仕事をしたいと思っています。そういう意味でベイシアは北関東中心ではありますが、地域住民の衣食住すべてを支えています。郊外型の大きな店舗が多いですから、地域にとって本当になくてはならない存在ですし、店舗をまわる中でそのことを非常に強く感じました。同時にリテールテックなどの技術が入ってくることで、この業界は大きく変わるタイミングにあることも感じていました。ただ、日々のオペレーションがあるのでこのインプリメンテーション(実行)はそんなに簡単ではありません。そのチャレンジの大きさに惹かれました。

グループ内での競合化も厭わず、それぞれの強みを伸ばす「ハリネズミ経営」

田中:アメリカでもウォルマートやアマゾンをはじめとして、小売はDXが大きく進んでいますし、非常に面白い業界を選ばれていると思います。デジタルシフトタイムズの対談は、直近でイトーヨーカ堂の山本社長にお話をうかがっていますので、今日の対談も業界内で注目されるのではないかと思います。

ベイシアグループというと「ハリネズミ経営」が非常に有名です。それぞれの会社の良さや、業態によって顧客から求められるものは違うので、あえてグループで統一するのではなく、それぞれがハリネズミのように尖った経営をすることで有名ですが、グループの中核企業であるベイシアのハリネズミ経営ではなにを一番尖らせたいと考えていますか?

相木:そんなに即効性のあるレシピはないと思います。基本に忠実にやるべきことをやり続ける。これがやりきれていないので、本当の意味でナンバーワンになれていないのだと思います。商品から物流、eコマース、ネットスーパーにおいてやるべきことをしっかりやろうと思っています。

田中:社長に就任されて、これからさらに尖らせていくことが使命かと思いますが現状、他のスーパーと比較してベイシアグループのハリネズミ経営にはどんな特徴がありますか?

相木:ベイシアグループは「For the Customers(すべてはお客様のために)」という経営理念を持っています。この理念が一人ひとりの社員に深く浸透していることが強みだと思います。店舗はスーパーセンター、すなわち大きなスーパーで豊富な品揃えとお買い得な店舗を目指しており、さらに今は商品の鮮度を強化しているところです。コロナ禍で一つの店舗で買いものを済ませたいというお客さまのニーズに応えるための施策です。

田中:6月におうかがいした際に、日本最大級の店舗の視察をさせていただきましたが、非常に特徴的だと思ったのは同じグループの中でも同じ業態が並び、互いに忖度せずに競合しあっている点です。他のグループであればMD(商品戦略)を組み直すなどの対策をしているかと思いますが、そこもベイシアならではの特徴でしょうか。

相木:そこもハリネズミ経営の考えに近いと思います。グループ内においても、経済合理性が高くない名ばかりのシナジーは追い求めていません。むしろ、自由にのびのびと一社一社が尖っていくことがグループの教えです。ですので、場合によっては商品が重複することもあります。お客様にとって一番良いものを磨き続ける。それによってハリネズミとして強い企業グループを作っていけるのだと思います。誤解のないように申し上げますと、先端技術やセキュリティなど、グループで連携した方がいいことはいろいろな形でトップが集まり、情報共有を進めています。

田中:では相木社長のツタヤオンライン時代のことについてお話をうかがいます。もともとDVD業界はリアル店舗を展開していましたが、Netflixがオンラインで顧客とつながり、話題作・人気作だけではなく、過去の名作も含めてロングテールで倉庫から顧客にDVDを届けるようになりました。それがNetflix1.0の時代です。当時のツタヤやブロックバスターが行っていたようなデータドリブンの日本企業は、現在でも少ないでしょう。当時のツタヤは、顧客とオンラインではつながっていませんでしたが、顧客の情報をもとにデータドリブンによるマーケティングを展開していたと思います。ツタヤの創業者のお一人は、ツタヤでの経験を元に、スーパー銭湯業界に会員制を導入し、「極楽湯」をフランチャイズ展開されていますよね。では、相木社長にとって、ツタヤで培ったデータドリブンの経験にはどのようなものがありますか?

相木:もう20年ほど前の話ですし、私の貢献はごく一部ですが、私はツタヤオンラインで経営企画やマーケティングを担当していました。先進的だったのは、顧客のオンライン会員化を店舗で推進していたことです。今でこそ当たり前ですが、当時これをやっている企業は他にはありませんでした。そのロジックは、オンライン会員化によって、会員のみに半額クーポンを発行するキャンペーンを打つことができ、会員の来店頻度が上がることです。そのために携帯電話を持っているお客様に入会を促進したり、入会に手間取るお客様のサポートをして、店舗としてオンライン会員化を推進していました。それを徹底することで会員規模を増加させ、来店頻度とレンタル本数を大きく伸ばすことに成功しました。

この体験はもの凄いことだと思います。当時のツタヤは店長の裁量で個別にクーポンを配信できる仕組みになっていましたが、現状のベイシアではまだ実現できていません。20年前からその仕組みを持っている企業はほぼなかったと思います。店舗の人間がオーナーシップを持って、販促活動にコストをかけてクーポンを配信できることは凄いことです。ツタヤで学んだことは意識しなくとも、自分の血と肉になっていると思います。

経営者として「人と組織を元気にする」ことが信条

田中:20年前とはいえ、当時のツタヤが実現できていることを今実現できている会社は非常に少ないと思いますし、Netflixと比較するともう一手、二手打っていただきたかったと思いつつも、そこで培ったデータドリブンのノウハウは、その後の仕事に役立っているかと思います。その後、楽天に移って現在の楽天コミュニケーションズの社長、楽天ヨーロッパの社長を歴任されています。楽天での経験について教えてください。

相木:楽天というと多くの人は楽天市場や楽天カードを思い浮かべると思いますが、私はそういった楽天のメイン事業を一度も経験していません。常に楽天で一番大変な事業にアサインされてきました。最初にフュージョン・コミュニケーションズを担当したのですが、そこが大きく成長して業績も改善したため、私に難易度の高い事業を任せれば再び成長するというブランドイメージができたのかもしれません。ですから、楽天の中でも厳しい事業を一手に引き受けてやってきた10年間でした。

田中:楽天での経験を、今後のベイシアにどのように活かしていくのでしょうか?

相木:楽天で働いてきた10年間は、私にとって最も経営者のベースと自信が身についた期間です。さらに私の経営スタイルは、大学時代までずっと続けてきたテニスが大きく影響しています。人と組織を元気にすることが私の一番のバリューです。人に熱く向き合って徹底的にコミュニケーションをとり、組織を鼓舞して山の頂上を示して一緒に歩いていくというアプローチが好きです。それは楽天でも鎌倉新書でも磨いてきましたので、大きなベイシアという組織の中でもぜひ実行していきたいと思っています。

田中:人と組織を元気にするという素晴らしいキーワードが出てきましたが、人と組織を元気にすることに対する思いやこだわりの原点はどこにあるのでしょうか?

相木:やはり、小学校から大学、実業団までやっていたテニスにあります。私は日本で一番厳しいといわれている明治大学のテニスチームに所属していました。インターハイの上位選手しか入れないようなチームでしたが、そこにインターハイにも出てない自分が入部して、リーダーシップからチームワーク、最後までやり切る力、コミュニケーション力などのすべてが身につきました。

厳しい4年間でしたが最後はキャプテンを任されて、それなりに自信をつけることができました。その経験と、ビジネススクールやコンサルティングで学んだ構想力や論理構築力、つまり体育会系のリーダーシップとロジカルシンキングが合体して今の私になっているのではないかと思います。

田中:天下の明治大学の庭球部のキャプテンでいらっしゃったのですね。私も体育会系だったのでよくわかりますが、時代も違い、今ではNGなことも多かったと思います。当時の体育会系のキャプテンとしてのリーダーシップに比べて、今の相木社長のリーダーシップは大きく進化していると思いますが、庭球部キャプテンとしてのリーダーシップと、今のリーダーシップの発揮の方法と比べると、どのように進化しているのでしょうか?

相木:体育会時代も偉ぶったリーダーシップではなかったと思いますが、その後22歳から50歳まで経験を積んでいますので、ファクトをしっかり見極める力、構想する力、一を見て十を知るような力は失敗や経験を重ね、多くの会社を経営する中でバージョンアップしてきたと思っています。

「マーケティングコミュニケーション」を強化し、PB商品の魅力を伝えていく

田中:「人と組織を元気にする」以外に、相木社長が大切にされている信条や言葉を教えてください。

相木:今も実践していますがとにかく現場、お店とお客様に向き合うことです。現場に入って課題を一緒に解くことだけが経営者の仕事でないことはわかっています。自分なりの仮説を持って現場に赴き、現場で起きている課題を見つけ、それがどうすれば全社の大きなレバーになるのかをずっと見ています。頻繁に店舗に足を運びお客様と向き合い、商品が売れない理由、売れた理由を観察して、それを全体の戦略に反映させることを心がけています。

田中:大きな仮説と日々の仮説から独自の仮説を設定して検証されているかと思います。現時点で検証に入っている仮説はありますか?

相木:ベイシアはもともと価格優位性で業績を伸ばしてきました。加えて品揃え、買いやすさ、店舗の大きさなどが強みです。数年前からは「鮮度」と「おいしさ」にこだわっています。ただ、いろいろな調査を見ても両方ともお客様には伝わっていませんから、そこをうまく伝える必要があります。商品が全てを語るという見方がありますが、私はそれだけではなくお客様の買い物スイッチがどうしたら入るのか。行動心理学やマーケティングなども含めて、もう少し研究していきたいと思っています。

ベイシアは商品が良いから素のままでもお客様に伝わるはず、というアプローチだけではなくて、欲しいモノやお買い得なモノがどこにあるのかすぐ分かり、毎日の献立づくりのヒントになるような、お客さまの課題を解決できるマーケティングコミュニケーションを練っていきたいと思います。
ベイシア プライベートブランド商品「別海のおいしい牛乳3.7」

ベイシア プライベートブランド商品「別海のおいしい牛乳3.7」

田中:6月にベイシアの店舗にうかがって思ったのは、競合他社と比較したときに品揃えが豊富で、クオリティに対する値段にも合理性があることです。一番驚いたのは積極的なPBの開発です。もし競合同士が並んでいたら圧倒的な魅力があると感じました。しかし、その魅力がまだお客様には伝わってないということでしょうか。

相木:そうですね。オリジナルのPBについても多くの商品をこだわって開発しています。しかしこちらも、売り場の中で埋もれている傾向があります。表面的なことでいうとパッケージやロゴの統一感が十分ではなかったり、他社と比べると質も良く価格優位性もあるにもかかわらず、その側面を前面に押し出してきませんでした。いろいろな面で控えめだと思っています。もう少し統一感を持って強く打ち出していくこと、中身のクオリティチェックも含めてもう一回PBを見直すプロジェクトを進めています。これが徹底できれば、お客様にベイシアのこだわりが伝わっていくと思います。

田中:これまで企図せずに訴求してこなかったおいしさについて、きちんとマーケティングの手法で伝えるということになると、強力な一手になりそうですね。

相木:もちろん中身についても努力をしています。コールドチェーンを使って鮮度を保ったまま輸送したり、商品開発にも取り組んでいます。昨年、大きく販売数を伸ばした「ブリ」と「ヒラマサ」のハイブリッドである「ブリヒラ」は、近畿大学水産研究所が長年にわたる研究の末に生み出した完全オリジナルの交雑種です。当社が販売を担当することでここ数年で養殖量を増やし、昨年、当社の全店舗で販売できるまでになり、事業ベースに乗った世界で初めての取り組みとなりました。近大の技術により生み出される人工種苗から育てるため、天然の資源を減らすことがなく、SDGsにも貢献する養殖魚でお客様からの人気も高い商品です。今後は、商品開発に積極的にさらに力を入れていく予定です。

積極的な出店と店舗改装を並行で進め、売上高を伸ばしていく

田中:商品のおいしさも見せ方も訴求するということですが、それ以外にはどんな打ち手を考えていますか?

相木:一番やらなければいけないのはグロース、成長です。ベイシアは業界平均と比べると利益率は高い方だと思いますが、この数年は既存店のブラッシュアップのために出店ペースを抑えています。小売は出店をしないと売上高は伸びません。この3年で足元が非常に強くなりましたので、これからは出店を加速していきます。重点エリアを中心に少なくとも6~7店の出店をしたいと思っています。

そして、店舗の改装も継続して行っていきます。改装も成長のドライバーとして非常に確率の高い手法であり、売上を伸ばしている店舗のほとんどが直近に改装しています。これからは収益性の高いスーパーから、グロースも高い会社になっていきたいと思っています。

田中:実際に店舗を拝見して近くにあったらいいなと感じましたので、ぜひ東京にも出店していただきたいと思います。さらに店舗の改装についてうかがいますが、改装して成長させるポイントをどこに置かれていますか?

相木:インターネットビジネスと大きく異なるのは、店舗のレイアウトや棚割りはそう簡単に変えられないということです。設備は必ず老朽化するので、15年~20年が経つと冷蔵ショーケースの調子も悪くなりお客様の買いものスイッチが入りにくい空間になってしまいます。そこをリフレッシュします。設備を入れ替えるとともにレイアウトをお客様の嗜好に合わせます。過去の購買データは分かるので、地域のお客様に合わせた商品を補充していきます。

近年ですと時代の流れから、調理にあまり時間がかからない惣菜や、レベルが上がりおいしくなっている冷凍食品を充実させています。大規模なスーパーセンターでは衣食住すべてを扱っていますので、売り場によっては販売効率が良くないエリアもあります。検討は必要ですが、場合によっては自社だけで販売効率を高めるのではなく、他社の優れたテナントに入ってもらうことも視野に入れています。今、100円ショップのセリアには30以上の店舗にテナントとして入っていただいています。販売効率や収益性の向上はもちろん、私たちとは異なる層のお客様を集客してくださるメリットもあります。そういった意味での改装を積極的に進めていきたいと思います。

田中:衣食住の話が出ましたが、いうまでもなくGMS(総合スーパー)、特に大手総合スーパーの課題は食料品部門以上に非食料品部門にあるといわれています。ベイシアの場合、非食料品部門はどのような状況でしょうか。

相木:店舗によって違いますが売上の85~90%くらいは食料品が占めていて、衣料品の占める割合はそれほど大きくはありません。しかしベイシアはさかのぼると呉服から始まっていますので衣料品はなんとかしたいと思っていますし、出店エリアでは衣料品をお求めになるお客様がご年配の方からファミリー層までたくさんいらっしゃいます。ここの磨き込みを本気でやりたいと思っています。ただ、ベイシアに入社するときに衣料品部門を希望する人は少なく、売上構成比率から考えてもそれほど大きくはありません。そのため、人材を育成するとともに外部人材の登用にも力を入れます。非常に優秀な人材がこれから入社してくることも決まっておりまして、もう一度衣料品を立て直し、伸ばしていきたいと思っています。

GMS全体が厳しい状況ですが、私たちが提供するのはワンフロア型の2,000~3,000坪の大きなスーパーセンターです。ここに効率的に買える衣料品ゾーンがあることは、お客様の利便性にとってもプラスでしょう。

田中:衣料品については仕入れだけではなくて、自分たちで商品開発をするところまで目論んでいらっしゃるのでしょうか?

相木:そうですね。品質と機能性にこだわった下着や肌着、ワークマンの担当者から見ても強力だといわれるようなチノパンをはじめ、一点一点見ていくと非常に良い商品が揃っています。ただ、店舗展開という意味ではワークマンには全く敵わない状態です。グループ内に良いお手本がいますので、しっかり勉強してキャッチアップしたいと思っています。

田中:グループ内にワークマンがあり、さらにそれ以上の品質の衣料品をつくるというのは、それだけでも凄く志が高い話ですよね。

相木:そうですね、全体のポートフォリオもありますので、どこに9割のリソースとエネルギーを割くかとなると、やはり食料品で磨き上げていくことが最優先になりますが、衣料品にも力をいれていきます。

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