オンライン音楽ストリーミングの市場調査結果が発表 ブランドシェア1位は「Spotify」で35%
2020/4/15
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、オンライン音楽ストリーミングの会員数は世界中で、2019年に前年比32%増加し、3.58億人に達したという調査結果を含む最新調査を発表した。
本市場の全体像について、リサーチアナリストのAbhilash Kumar氏は以下の通りコメントしている。
「有料会員数は前年比32%伸びており、またMAU(月間アクティブユーザー数)は前年比23%伸びている。つまり、面倒なしに手軽に音楽を楽しむためなら、消費者は音楽ストリーミングにお金を払う、ということである。しかし、この成長は、必ずしも消費者の行動の変化だけによるものではない。音楽ストリーミングのプラットフォームを運営する各社は、会員獲得のために2ステップのアプローチを取っている。まず、洗練された広告キャンペーンで惹きつけて無料会員として登録してもらい、その後、登録した会員に対して様々な特典を提供し、有料会員に切り替えてもらっているというアプローチ方法である」
Spotifyは2019年にグローバル市場でトップの座を獲得し、売上で31%のシェア、有料会員数で35%のシェアを獲得している。これに続き、Apple Musicは売上シェアで24%、有料会員数シェア19%を獲得している。AppleはApple Musicを含むサービス事業に注力していることもあり、会員数は2019年に前年比36%増加している。また、Amazon Musicの会員数シェアは2019年に15%となり、2018年の10%から増加している。
シェアトップ各社に関して、Kumar氏は以下のように付け加えた。
「Spotifyはトップの座を維持した。同社は、3か月無料のSpotify Premiumの提供、料金の値下げ、Shopifyらしいカスタマイズプロモーション、そして、独自コンテンツへの注力といった施策が当たった。ハイテクの巨人であるAmazon、Apple、Googleも音楽ストリーミングに注力し始めており、潤沢な資金を武器にSpotifyと熾烈な競争をしている。Apple Musicはナイトモード、対象グループごとのおすすめプレイリスト等の改良をアプリに加えている。また、Amazon Musicは非圧縮(ロスレス)ストリーミングを手掛けつつあり、このニッチ市場で先行するTidalと戦おうとしている」
OTT業界(ストリーミングを始めとするコンテンツサービス)へのCOVID-19(新型コロナウイルス)の流行の影響について、Kumar氏は以下のように述べている。
「OTT業界は上向くと予測している。その理由は、人々が自宅にいながら最新状況を追いかける状況下にあることが挙げられる。ウイルス流行の最中では、オーディオストリーミングの主流コンテンツは、音楽からラジオへと切り替わった。感染が拡大する地域では、大流行を懸念する人々が最新情報を得ようと、テレビ・ラジオのニュースをつけっぱなしにしていることから、ニュースのチャンネルやポッドキャストは好調になり、その分、音楽ストリーミングが減っている状況である」
地場のストリーミング企業、グローバル企業のどちらも独自コンテンツ制作に注力している。有料会員数を伸ばす上では往々にして独自コンテンツが必要となる為、ポッドキャスト企業を買収し、独自のチャンネルを作る動きは至る場所で起きている。
音楽ストリーミングの売上の8割以上は有料会員からであり、残りは広告や提携する端末やキャリア企業からの売上といった構成だ。その為、有料会員数を伸ばすことは音楽ストリーミングのプラットフォームを運営する各社にとって最優先課題となっている。
同社は包括的で詳細な一連のレポートGlobal Online Music Streaming Market Q4 2019を提供している。ストリーミング市場について、各地域のMAU、各地域の有料会員数、売上、ARPU(機器一台あたり平均売上)の観点でまとめている。また、グローバル視点での会員数、売上、ARPUに関するレポートは、こちら。MAUと有料会員数の地域別分析については、こちら。