ビッグデータ・AIシステム活用で医薬品・食品等の効果や副作用を高精度予測へ 新薬開発のプロセス短縮を目指す

長瀬産業株式会社は、ビッグデータやAI技術を活用して医薬品・食品・農薬などの人体への影響を予測するサービスを開発・提供するKarydo TherapeutiX 株式会社(以下、カリウド社)との業務提携を開始したと発表した。

長瀬産業は、医薬品業界向けに医薬品、医薬品原体、合成用中間体や添加剤、食品業界向けに機能性食品素材などを提供しており、幅広い顧客ネットワークを有している。これらの業界では、新しい有効成分や機能性につながる新規化合物の承認にかかる期間の長期化、それに伴う開発費用の高コスト化が、課題の一つとなっているという。カリウド社は、医薬品や食品を摂取した際に生じる、生体の多次元的な多臓器間クロストークネットワークを解析するアルゴリズムをコア技術としている。例えば医薬品を投与した際に、生体内の様々な臓器で起きる反応(数値変化など)を入力して数理・情報・AI解析することで、医薬品の構造情報がなくても効果や副作用を予測することができるという。結果が導き出される過程が見えないブラックボックス型のAIと異なり、データと結果の因果関係、医薬品の効果や副作用が生じるメカニズムを“見える化”できるホワイトボックス型の技術であることも強みとのことだ。

同技術により、新薬のターゲット(作用点)をより短期間で予測したり、新薬の臨床試験での成功確率を上げたりすることで新薬開発のプロセス短縮に寄与することが期待される。また、診断のための新たなバイオマーカーやターゲットの探索がより短期間で進めば、病気の予防・未病(症状の軽い状態)への新たな医学的アプローチの可能性が広がる。長瀬産業は今回の業務提携により、カリウド社が開発した基盤技術を国内外で独占的に営業する権利を得る。

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