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ワーケーションの効果を検証する実証実験を実施 従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与するという結果に

株式会社NTTデータ経営研究所、株式会社JTB、日本航空株式会社(以下、JAL)は、慶應義塾大学島津明人教授の監修の下、新しい仕事のスタイルである「ワーケーション」の効果検証実験を実施した。
結果、ワーケーションが生産性・心身の健康にポジティブな効果があることが分かった。

結果のポイント
ワーケーションは、
1.経験することで、仕事とプライベートの切り分けが促進される
2.情動的な組織コミットメント(所属意識)を向上させる
3.実施中に仕事のパフォーマンスが参加前と比べて20%程度上がるだけでなく、終了後も5日間は効果が持続する
4.心身のストレス反応の低減(参加前と比べて37%程度)と持続に効果がある
5.活動量(運動量)の増加に効果がある(歩数が参加前と比べて2倍程度増加)

今後、企業や自治体等と連携し、ワーケーションの科学的な効用研究を通じて、企業の生産性の向上、従業員の健康、地域の活性化、旅客需要の再興に貢献するという。

■背景

近年の働き方改革の推進により働き方は多様化し、自宅やコワーキングスペース等オフィス以外の環境で働くスタイルは定着しつつある。そのような中でコロナ禍を経験し、多くの企業において在宅を中心としたリモートワークが急激に普及し、終息後も在宅勤務にシフトすることを表明する企業も出てきている。

その一方で、従業員の心身の健康、および生産性を考慮しない働き方施策は特に健康経営を推進したい企業にとってリスクと成りえる。米国の調査では、パンデミック後のステイホーム・在宅勤務の強制などにより孤独感が急上昇していることが明らかになったという。実に43%の人が「高孤独」状態と評価され、抑うつ傾向と高い相関を示すなど、慢性的な社会的孤立が招く精神的健康への重大な影響が懸念されているとのことだ。しかしながら現状では、多くの企業がそうしたリスクを正確に把握できておらず、解決策が見えないまま働き方施策を試行錯誤している状況だ。

そうした状況の中、テレワークと心身の健康・生産性を両立できる働き方として同社が注目しているのが「ワーケーション」だ。ワーケーションとは、リゾート地や地方等の普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得等を行う仕組みであり、環境省からも設備・環境の整備を進めるなど新たな観光需要の創出が期待されている新しい働き方だ。

しかし、ワーケーションが実際の労働生産性や心身の健康に与える効果・効用に関しては定量的研究が存在しないことから、経営者や人事担当者はエビデンスに基づいてワーケーションの推進判断を行うことが困難で、制度や支援の普及も進んでいない状況にあるという。

そこで、ワーケーションの効果・効用に関するエビデンス獲得並びに効果的なワーケーション施策の策定・普及を目的として、脳科学の見地から科学的な労働生産性向上のコンサルティングを行うNTTデータ経営研究所、ニューノーマル時代のワーケーションを提案するJTB、従業員向けのワーケーションをいち早く制度として取り入れてその社内外への普及と地域活性化を目指すJALが連携し、ワーケーションの科学的研究を開始することになったとのことだ。実証研究の第一弾として、株式会社カヌチャベイリゾートが運営するカヌチャリゾートでワーケーション実証研究を行った。

■実証実験の概要

目的:ワーケーションの効果・効用に関するエビデンス獲得

実験場所:カヌチャリゾート

参加者:研究チーム企業の所属メンバーを中心とした男女18名

実験の期間と流れ:
1.プレワーケーション期間:2020年6月19日(金)~6月25日(木)
ワーケーション実施前の対象者の状態・行動の把握を目的として、対象者の状態や仕事に対する姿勢等を問うWEBアンケートを計2回実施するとともに、ウェアラブルデバイス「Fibit Charge3 HR」といったリストバンド型の活動量計を常時装着し、活動量や睡眠時間等の行動データを収集

2.ワーケーション期間:2020年6月26日(金)~6月28日(日)
6月26日(金)を勤務日、6月27日(土)・28日(日)を休暇日とし、ワーケーション中の対象者の状態・行動の把握を目的として、対象者の状態や仕事に対する姿勢等を問うWEBアンケートを計11回実施するとともに、ウェアラブルデバイス(Fibit Charge3 HR)を常時装着し、活動量や睡眠時間等の行動データを収集

3.ポストワーケーション期間:2020年6月29日(月)~7月3日(金)
ワーケーション後の対象者の状態・行動の把握を目的として、対象者の状態や仕事に対する姿勢等を問うWEBアンケートを計2回実施するとともに、ウェアラブルデバイス(Fibit Charge3 HR)を常時装着し、活動量や睡眠時間等の行動データを収集

■結果

①項目全体の相互相関 ~「公私分離とリカバリー経験」が「生産性と心の健康」にポジティブな影響
今回の全実験期間のデータを対象に、それぞれの指標間の相互関係を知るために、相関係数を算出した(個人内の相関分析の結果を全参加者間で平均化)。「ワークエンゲイジメント」・「仕事のパフォーマンス」・「メンタルストレス」(図赤枠)と、「Segmentation preference(公私分離志向)・「リカバリー経験」(図青枠)の間が高い相関を示した。
出典元:プレスリリース
公私分離志向が強くなり、リカバリー経験を持つことで、仕事の生産性が上がり、メンタルの健康状態の改善につながることが示唆されました。

② ワーケーションを経験することによるSegmentation preference(公私分離志向)の促進
ワーケーションの前後でSegmentation preferenceを比較したところ、ワーケーション後にスコアが上昇していた(初日→終了後5日目+25.0%)。ワーケーションの経験を通し、公私を分離する志向が促進されたことが示唆される。ワーケーションは、表面的に見ると公私が混ざり合う取り組みながら、むしろ逆の結果(仕事とプライベートのメリハリがつくようになる)となることが分かったという点で新しい発見だという。
出典元:プレスリリース
③ ワーケーションを通して情動的な組織コミットメントが12.6%向上する
ワーケーション期間中に、情動的な組織コミットメントが上昇し、期間終了後もその上昇が維持された(初回→期間後2日目+12.6%)。情動的なコミットメントはワークエンゲイジメントと高い相関を示しており、ワーケーションが、従業員の会社に対する情動的な愛着や帰属意識を促進し、結果的にパフォーマンス向上にも寄与することが期待される。また、開始時に一時的に規範的コミットメントが上昇しており、「ワーケーションを許可してくれた会社に対する規範的な帰属意識」が反映されたことを示唆するものだという。
出典元:プレスリリース
④ ワーケーション実施中は仕事のパフォーマンスが20.7%上昇し、終了後も5日間効果が持続
ワーケーション開始後、仕事のパフォーマンスは向上していた(図, 特にWHO-HPQが、初回→ワーケーション初日+20.7%)。興味深いことに、その向上はワーケーション終了後1週間も持続しており、ワーケーションは実施中の短期的な効果だけでなく、その後の残存効果も期待できることがわかったという。
出典元:プレスリリース
⑤ ワーケーションは仕事のストレスを37.3%低減させ、期間後も5日間持続する
職業性ストレス(心身のストレス反応)は、全般的にワーケーション開始後、低減していた(図、初回→ワーケーション最終日の朝 全指標平均37.3%改善)。特に「活気」が上がり、「不安感」は期間終了後も低減が持続していた。このことから、ワーケーションは心身のストレスを低減させ健康状態を改善させる効果が期待される。ただし、「疲労感」は下がりにくい傾向も見られ、ワーケーションは活動が増える分、身体的疲労感を伴うことが確認された。
出典元:プレスリリース
⑥ ワーケーションは活動量の増加に効果がある(歩数が2倍に)
活動量(歩数)の分析の結果、ワーケーション期間中は運動量が2倍程度に増えていた(図, 初回(6/24)6568歩→ワーケーション2日目(6/27):15653歩 2.38倍)。残念ながら、期間終了後、通常業務に戻ることで活動量は減っていってしまったが、コロナ禍における在宅テレワークの強制は、運動量の大幅な低下及び、それ伴う糖尿病や循環器系の重大疾患へのリスクが指摘されており、ワーケーションの取り組みは身体的な健康にも寄与することが期待されるとのことだ。
出典元:プレスリリース

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