DNP、自動車向けの「デジタルキープラットフォーム」を提供開始

大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、スマートフォンで自動車の施錠・解錠を行うデジタルキーの配信・管理のためのプラットフォームを提供すると発表した。

DNPは、ICカード事業で培った情報セキュリティ関連の技術・ノウハウを活かし、業界横断の団体Car Connectivity Consortium(CCC)が策定するグローバルな標準仕様に準拠した、安全なプラットフォームを提供する。まず、2020年10月から自動車メーカーやデジタルキー用車載機メーカーなどに開発環境を提供し、2023年頃を目処に共同利用可能なデジタルキーセンターの構築を目指すという。

また、自動車デジタルキー用の車載セキュアエレメント(セキュリティ機能がある半導体製品)、バックアップキーとして利用可能なICカードの提供も順次開始し、レンタカーやカーシェアリングなどのMaaS(Mobility as a Service)の拡大やスマートシティの実現を推進していくとのことだ。

■本プラットフォームの概要

自動車のデジタルキーにとって重要とされる暗号鍵や電子証明書を生成し、安全・安心に車載機やスマートフォンなどに配信するためのプラットフォームです。以下の4つの機能を提供する。

①デジタルキー用のサーバー構築・運用
②車載機のNFCデバイスやセキュアエレメントの開発・提供、車載ソフトウェアの開発支援
③スマートフォン用デジタルキーライブラリの開発・提供
④バックアップキー用ICカードの開発・製造・提供
出典元:プレスリリース

■本プラットフォームの開発の背景

生活者のライフスタイルやモノの所有に関する意識の変化により、シェアリングエコノミー(共有経済)への移行が予想されている。自動車関連では、2019年10月に国土交通省により道路運送車両法の保安基準が改正され、自動車のシェアを前提として、スマートフォンによるドアの施錠・解錠やエンジン始動が認められるなど、デジタルキー導入への流れが加速している。

CCCのデジタルキーの仕様は、高度化する自動車の盗難手口やサイバー攻撃に対応すべく、ICカードやNFC等をベースとした高度なセキュリティ技術が盛り込まれており、グローバルな大手企業がスマートフォンや自動車への適用を発表するなど、注目を集めている。

DNPは、長年にわたる国内トップシェアの発行実績を持つICカード関連事業で培った高度なセキュリティ技術のほか、決済ゲートウェイサービスや本人確認サービス等を支えるシステム構築・運用力、NFC関連サービスのノウハウ等の総合力を活かし、安全・安心なプラットフォームを提供する。

■本プラットフォームの特長

1.高セキュリティな鍵管理
・高セキュリティなDNPのデータセンターで暗号鍵や電子証明書等の重要データを生成・発行。暗号鍵はデータセンター内で厳重に管理し、車載機に書き込むデータを製造工場に安全に配信する仕組みを提供する。個人情報の安全な取り扱いとデジタルキーの利用状態を管理する。
・車載機やスマートフォンに対し、遠隔で安全に電子証明書等の更新データを配信する。

2. ICカードや多様な形状のNFCモジュールをデジタルキー向けに応用
・車載機用のセキュアエレメントはCCC準拠のアプリケーションを搭載しており、車載機側で複雑な処理を行う必要がない。また、デジタルキーを含む各種サービスのトラストアンカー(電子的な認証手続きの基点)として利用できる。
・NFCのリーダに搭載するアンテナのチューニングや回路形成等のノウハウを基に、ドアハンドル以外にも実装可能な多様な形状のNFCモジュールを提供する。セキュアエレメントとの連携も可能。
・NFCとワイヤレス充電器Qi(チー)の一体型モジュールの提供も検討している。

3. オプションサービス
・車の予約から本人確認、決済、鍵の授受や廃棄までの一連の手続きを、非対面かつ利用者自身の操作のみで完結できる新サービスが求められるなか、DNPの本人確認(eKYC:electronic Know Your Customer)や決済関連サービスなどと本プラットフォームを組み合わせることで、セキュリティと利便性を両立させたサービスを提供する。

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