文科省、学校と保護者間の“ハンコレス”と連絡手段のデジタル化を推進
2020/10/21
現在、政府では、デジタル時代に向けた規制・制度見直しの一環として、書面主義、押印原則等に関する官民の規制・制度や慣行の見直しを進めている。
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今回、関係省庁において押印についての考え方が整理されたことを受けて、文部科学省において関係省庁の協力を得て、以下のとおり、学校における保護者等に求める押印の取扱い等について整理するとともに留意事項がまとめられたため、各学校や地域における実情を踏まえつつ、可能なところから、押印の省略及び学校・保護者等間における連絡手段のデジタル化に向けた取組を進めるようお願いしているとのことだ。
押印の省略や学校・保護者等間における連絡手段のデジタル化を進めることは、迅速な情報共有を実現するとともに、学校・保護者等双方の負担軽減にも大きく寄与するものであるため、教育委員会等においては、学校が円滑にデジタル化等に移行できるよう、必要な支援をお願いしているという。また、教育委員会等において、学校が求める保護者等による押印手続き等について教育委員会規則やガイドライン等で定めている場合には、本通知を踏まえ、必要に応じて見直しを進めるようお願いしている。
なお、本通知の対象校種として、特に義務教育諸学校を念頭に置いているが、幼稚園、高等学校、特別支援学校等(高等課程を置く専修学校を含む。)についても、本通知の考え方に準じて取組を進めるようお願いしている。都道府県教育委員会にあっては管下の各市区町村教育委員会に対して、都道府県知事にあっては所管の学校法人及び私立学校に対して、附属学校を置く各国立大学法人の長にあっては管下の学校に対して、厚生労働省にあっては所管の高等課程を置く専修学校に対して、周知するようお願いしているとのことだ。
■保護者等による押印の効力について
これらは、単に慣例として押印を求めている場合もあれば、後々トラブル等に発展した際に保護者等が文書作成者であることを学校側が主張・証明することを想定し、念のために保護者等に押印を求めている場合もあると考えられる。
一方で、押印の効果として、押印があることで当該文書が保護者等によって作成されたことが一定程度「推定」されることにはなるが、これは相手方による反証(例えば、印鑑の盗用等により他人や児童生徒がその印鑑を利用した可能性がある等)が可能なものであり、特に保護者等に多用されているいわゆる「認印」による押印の場合には、その認印が保護者等のものであることを認印自体から立証することは事実上困難であり、押印の効果は限定的であるという。
■押印の省略、デジタル化への移行について
■デジタル化した際の保護者等からの意思表示であることの証明について
また、これらの環境が整うまでの間は、各学校における整備状況に応じて、可能なところからデジタル化を順次進めるよう検討してほしいとのことだ。なお、この際、保護者等がID登録等の個人認証プロセスを得ていない場合や保護者等の回答フォームのURL等を学校から保護者等に直接メール等で知らせず誰もが知り得るような状況にある場合等には、例えば、児童生徒等の生命に関わるようなアレルギーや既往症の確認等に限っては自署で保護者等から回答を得ることも考えられる。個々の具体的な事例については、学校現場の実情に応じて判断してほしいとのことだ。