流行予測AIを活用した「感染症予報サービス」が提供開始

株式会社日立社会情報サービスは、流行予測AIを活用し、インフルエンザの流行状況を予測・情報配信するサービス「感染症予報サービス」の提供を開始すると発表した。

本サービスは、地域別の4週間先までの感染症罹患者数を流行予測AIによって予測し、その予報情報を提供する。日本医師会ORCA管理機構が全国4,000以上の協力医療機関から提供を受け、インフルエンザを含む感染症の罹患者数データを地域別にまとめた「ORCAサーベイランス」のオープンデータを中心に各種データを組み合わせて流行予測AIで分析することで高精度な流行予測を可能としている。主にORCAサーベイランスを利活用する事で地域単位の、きめ細かな予報の実現が可能となるという。本サービスを利用する民間企業・自治体は、目的に合わせて予報情報をWebサイト上で公開し、対象のユーザーに情報を配信できる。また、提供する予報情報は、SNSやデジタルサイネージなど、さまざまな媒体でプッシュ配信が可能。なお、今秋提供するサービス対象とする感染症はインフルエンザとなるが、順次拡大予定だという。

■感染症予報サービス 開発コンセプト

感染症が社会に与える影響は大きく、医療費の増大や子どもを抱える共働き家庭への負担など、さまざまな課題を抱えている。例えば、感染症の一つであるインフルエンザの場合、2018~19のシーズン(2018年第36週~2019年第17週)において、全国の医療機関を受診した累積推計受診者数は約1,200万人に達し、マイナスの経済効果は約6,600億円とも言われている。子を持つ親の視点から見れば、感染症が原因で0歳児が保育園を休む年間の平均日数は約24日と多く、最優先すべき子どもの健康を脅かす感染症は仕事にも大きな障壁となる。本サービスは、従来の「罹患してから対策を講じる」ではなく、地域別の感染症の流行を早期に把握し、備えながら予防に取り組むことで、子どもが元気で親も安心して働けるライフスタイルをめざして開発したとのことだ。
出典元:プレスリリース

■本サービスの活用例

本サービスは、最大4週間先までの感染症予報情報をAPI・GUIで提供する。自治体では、公式Webサイト・公式SNSを通じて地域単位の予報情報を提供し、新たな市民サービスとして活用できる。民間企業においては予防関連商品の需要予測やPOSデータなどのマーケティングを融合する事でデータに基づく販売促進の実現、在庫調整・生産調整・適切な店舗配送、ビジネス企画においては感染症に備えた新たな商材検討・開発、新規事業推進の要素としても活用できる。また自社運営Webサイト・アプリのメニュー追加・レコメンド、健康経営観点では従業員の在宅勤務・事前予定調整、個人ユーザーにおいてはさまざまなリスクに備えた事前行動に向け、自律的な判断の一助として活用可能とのことだ。

特に今年は、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行「ツインデミック」による医療現場のひっ迫が懸念されている。冬の乾燥した時期には毎年のように季節性インフルエンザが流行するため、生活・活動している地域のインフルエンザ感染拡大傾向を把握し、新たな生活様式・予防に対する意識の強化や行動の見直しといった、感染防止のベースとなる対応、対策が求められるという。

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