NEC、三重県で選挙の事務効率化を目指すAIシステムの実証実験を実施

NECは、大量のテキストデータを高速・高精度に検索可能なNECのAIテキスト含意認識技術を活用し、地方公共団体の事務処理における法規集・事例集・書籍等の検索作業を支援するシステムの開発に取り組んでいる。その一環として、2021年1月から3月にかけて三重県選挙管理委員会(以下、三重県)の協力を得て、選挙事務に関する法令、法令の解釈と運用に関わる裁判所の判例、所管官庁からの通知、行政実例等の検索を支援するシステムの実証実験を行うと発表した。

出典元:プレスリリース

■背景

地方公共団体の職員は、職務を遂行するうえで、迅速かつ正確に対応していくことが求められている。中でも法令解釈に関する問い合わせに対して、法規集・事例集等の膨大な書籍を調べ、総合的に回答を導き出す作業は、職員の大きな負担となっている。こうした中、三重県では、今後の国政選挙も見据え、本年1月から3月に三重県内で実施される地方選挙を対象に、事務の効率化と候補者や市町村等からの問い合わせへの迅速な対応に向けて実証実験を行う。

■実証実験の概要

本実証では、地方自治、法令・判例、自治体関連を中心に、実務書籍を出版する株式会社ぎょうせいが提供する書籍にして数千ページに及ぶ選挙事務に関するコンテンツから三重県が選定したものをデジタル化し、そのデータを対象に、NECが提供するAIテキスト含意認識技術を利用した検索システムを用いて、選挙事務における検索作業を実施した場合の有効性を検証する。

今回利用するのは、「NEC the WISE」を使用したAIテキスト含意認識技術で、二つの文が同じ意味を含むかどうかを高精度・高速に判定できる。従来のキーワード検索は完全に一致する語を単語単位で検索するが、AIテキスト含意認識技術はNEC独自のAI技術を利用して、二つの文が同じ意味を含むかどうか判定することで、文表現が異なっても意味が同じものを取りこぼさず検索することができる。

また、NECは、検索の際に法規集・事例集等、出典元のPDFファイルを表示することに加え、各地方公共団体が独自に保持している過去の問い合わせへの回答履歴も同時に検索・抽出する独自技術を開発し、本システムに搭載している。これにより、過去の問い合わせへの回答履歴などの対応記録を参照し、取り扱い経緯を踏まえた上での回答案の作成が容易になるとのことだ。
出典元:プレスリリース
NECは、今回の取り組みの成果を踏まえ、作業負荷の軽減と正確性向上の両立を目ざすとともに、当該技術の様々な分野での活用を提案し、行政のデジタル化推進を支援していくという。本実証で利用したシステムは、NECソリューションイノベータ株式会社から2021年度にサービス型での提供を開始し、順次、法規集・事例集等のラインナップを拡大していくとのことだ。NECは本内容を地方自治情報化推進フェア オンラインにて紹介する。

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