「バーチャル裁判所」を目指すオンライン完結型調停機関「Teuchi」が提供開始

ミドルマン株式会社は、2021年10月1日に法務省から裁判外紛争解決手続き(ADR)機関の認証を取得し、10月4日、『オンライン完結型調停機関 Teuchi』として民事家事のトラブル解決サービスの受付を開始すると発表した。すべての手続きがスマホで完結する次世代型の「バーチャル裁判所」を目指す。

■ADR認証取得の背景・目的

・裁判が紛争解決ニーズに応えられていない現状
対面が原則の裁判の利用者数は10年前より大幅に減少しているという。「二割司法」という言葉が示す通り、一生のうちに裁判を経験する人が元々それほど多くはないことに加え、様々な業界で新しいオンラインサービスが次々に誕生する中で、裁判がオンライン化に乗り遅れているために市民から見放されつつあり、さらに新型コロナウイルスによる行動様式の変化により、その傾向は一段と加速していると思われるとのことだ。しかし、一生のうちに大なり小なりなんらかのトラブルに見舞われ、自主的もしくは法的に解決する必要が生じた経験については、ほとんどの人があるかもしれない。消費生活センターや弁護士会などに持ち込まれる法律相談数がこの10年、150万件前後で推移し高止まりしている現状は、市民の紛争解決ニーズが衰えていないことを表しており、さらにデジタルプラットフォームを介した微額取引に伴う「マイクロクレーム」の急増によって、ニーズの潜在化が一層進行していることも想定されるとのことだ。

・アップデートへの試み
リーガル業界が長年抱えるこのような課題に対し、同社はODR(Online Dispute Resolution)によって解決しようと試み、2018年にテキストチャットによるODRシステムの開発に着手し、2020年1月にシェアリングエコノミー領域における実証実験からスタートし、新型コロナウィルスによるコロナ禍を追い風としてODR社会実装を進めてきたが、弁護士法第72条により有償での法律業務が禁じられていることから、同社も「ODRシステムプロバイダー」としての立場を逸脱することはできず、ODRビジネス化の大きな足枷となっていたという。同社がより自由にODRビジネスを展開するためにはADR認証を取得し、社会的な信用を得たうえでサービスへの信頼性をも高めることが重要との判断に至ったとのことだ。

・オンライン完結型ADR
同社は、2020年6月、法務省に正式にADR認証取得のための事前相談をスタートさせ、その後16ヶ月という期間を要し、2021年10月1日にADR認証を取得することができ、テキストチャットによるオンライン完結型ADR認証事業者となったことで「ODRサービスプロバイダー」となったとのことだ。

・新たな挑戦
期日が1ヶ月に1回でいつ終わるかわからない裁判や調停がスタンダードのまま状況や、弁護士費用が高額でリーガルサービスにアクセスすることすらできず「合理的な選択」として泣き寝入りするしかないような状況を、放置できないという。当事者がスマホひとつで、いつでもどこでも手続きに参加でき、そしてトラブルに関わる時間を最短化する。同社は「私的自治」と「法の支配」の交錯するADRというフィールドにおいて、Teuchiにしかできないアプローチで、理想のトラブル解決サービスを民間から創出し、社会にとってなくてはならないインフラサービスとなることを目指しているとのことだ。

■Teuchi基本方針

① 新型コロナウイルスを受けて急速に進む司法のDXを更に加速させ、市民の法的紛争解決ニーズに応えるため、新たなリーガルインフラサービスとしてのODR(Online Dispute Resolution)の社会実装を推進し、深刻な感染症や大規模災害等でも止まらない強靭なリーガルインフラの構築を目指し、安心安全な社会の構築に寄与する。
② 紛争解決のデジタル化およびオンライン化を実現し、クロスボーダー取引にも対応可能なリーガルサービスを目指し、「2割司法」と言われるリーガルアクセスの目詰まりを解消し、ビジネスとしてのADR(Alternative Dispute Resolution)を実現する。
③ ユーザー本位の視点から法的紛争解決のあり方をリデザインし、紛争解決当事者の金銭的・時間的・心理的コストを劇的に改善し、ユーザビリティの高いリーガルサービスを実現する。
④ コンプライアンス経営を重視する観点から、規制産業である司法への協調的アプローチにより、法務省をはじめ弁護士会や司法書士会と緊密に連携しながら、社会課題に対し共に変化を起こすべくルールメイキングを実践する。
⑤ 紛争解決で蓄積されたデータの解析によって紛争原因を分析し、紛争予防のための対策を提示することでピースフルな社会を創造する。

■Teuchiのサービス概要

・利用対象者
成人
※未成年の場合は法定代理人
・申立て方法
所定のウェブサイトから本人確認のうえ必要事項を入力
・利用料金
申立料金:1,650円(税込)
※郵送の場合は3,300円(税込)
調停料金:トラブル類型により異なる
・解決期間
原則2週間
※オプションで1週間単位での延長が可能
・調停人
弁護士または認定司法書士
・推奨ブラウザ
Safari
Chrome

■Teuchiのトラブル解決サービスの流れ

Teuchiの手続きは、すべてオンライン上で完結し、話し合いについてはケースマネジャーまたは調停人が仲介のうえ、専用のチャットルーム内で進行する(テレビ会議システムは使用しない)。
出典元:プレスリリース
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・toC向けサービスラインナップ(2021.10_サービス提供開始時点)

離婚
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敷金
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その他(例:ネット上の取引)
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・toB向けサービス

Teuchi for デジプラ(仮)
ビジネス上で生じる顧客や取引先とのトラブルについて、あらかじめTeuchiと連携しておくことで、顧客への安心の提供、紛争拡大の予防等に効果を発揮する。

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