NEC、医療DXに向けオンライン診療やデジタル問診などの新たなサービスを提供開始
2021/11/17
NECは、医療デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けて、クラウドサービスの事業を強化し、2021年11月から新サービスを順次提供開始すると発表した。
昨今、医療業界では医師・看護師の不足・偏在に伴う医療機関の業務量過多や地域医療の格差など、さまざまな課題に直面している。また、医療機関ではwithコロナの対応として、さらなる安全・安心な環境作りや業務負担軽減、地域医療機関間の連携が一層重要になっている。こうした中、政府は「データヘルス改革」を掲げ、医療・介護現場での情報利活用の推進や、オンライン資格確認の普及など、医療機関のデジタル化を進めている。
NECは、これまで50年以上にわたる医療事務システムや電子カルテシステムなどの提供を通じ、病院業務の効率化や高度化に貢献してきた。今回、医療機関を支援するクラウドサービスを提供し、医療DXを推進することで、患者や医療従事者にとって安全・安心で最適な治療に専念できる医療環境の実現に貢献するとのことだ。
■新サービスの概要
本サービスは、医療機関を支援するクラウドサービスと電子カルテシステムを安全・安心かつシームレスに利用できるもの。3省2ガイドラインに準拠したクラウド環境と、接続における認証などの高度なセキュリティの提供により、医療機関はセキュアな環境において、NECのクラウドサービスだけでなく他社クラウドサービスの利用も可能となる。また、標準的データ連携にも対応しており、医療機関における将来的な医療データ利活用への取り組みにも応用できる。
2.地域中核病院を核とした患者・家族・医療機関間での連携の高度化を実現するオンライン診療・カンファレンス支援サービス「MegaOak Telehealth」
本サービスは、ビデオ通話によるオンライン診療機能と、患者・家族・医療機関間のコミュニケーションを組み合わせ、地域中核病院を核とした情報連携を強化するもの。医療機関の電子カルテシステムの外部接続が可能となり、患者本人の同意の上、地域の医療従事者間との利用にも広げることで、患者、地域の病院・クリニック等との距離を越えた円滑なコミュニケーションを実現し、地域中核病院を核とした各医療機関との安全で効率的な情報連携を支援する。本サービスを利用することで、クリニックから地域中核病院への紹介時には直接オンラインで地域中核病院の予約が可能となり、患者情報の安全かつスムーズな連携を実現する。過去の実証では、本サービスを活用し患者一人当たりの予約作業時間を約65%削減できることを確認。さらに、専門医の非常勤先病院の患者へのオンライン診療を可能とし、医師の移動時間をゼロに削減するなど、医師の働き方改善に寄与することを確認しているという。また、政府は昨年度の診療報酬改定にて、転院時などに退院調整をオンライン上で柔軟に実施することなどを推進している。本サービスにより、地域中核病院からリハビリ施設や介護施設などの転院先医療機関との転院調整や退院後のフォローをオンラインによるコミュニケーションを活用し行うことが可能となる。過去の実証では、本サービスを活用し地域中核病院が退院調整を行うことで、患者一人当たりの転院調整時間を約30%削減できることを確認。これらにより、医療従事者の業務負荷軽減や新たな働き方を支援する。
3.患者の手持ちスマートフォンから遠隔で問診情報の入力を可能とするデジタル問診サービス「MegaOak Template for 問診」
本サービスは、従来紙で行っていた問診票記入を、患者自身のスマートフォンや院内で用意したタブレット端末等を使用し、院内外から問診情報を入力可能とするもの。設問内容を柔軟に設計でき、設問は患者の回答内容によって次に表示される設問が変わる仕組みのため、無駄なく最小限の項目での入力環境を提供する。また、病院共通設問については院内で共有されるため別の診療科において再度入力の手間を無くすことが可能となる。これにより、患者は事前に問診入力ができ、共通設問の回答情報が院内で共有されるため、院内の待ち時間の短縮を実現する。また、医療機関においては受付やヒアリングの業務時間の軽減、待合室の混雑緩和を実現する。
4.音声認識を活用し記録業務を支援する音声サポートサービス「MegaOak Voice Assist」
本サービスは、医療に関する専門用語に対応した音声認識エンジンを搭載することで、看護師の発話内容を高精度でテキストに変換し、効率的に電子カルテシステムへの転記を可能とする。これにより、看護師は患者に対するケアや治療経過などの情報を、発話を通じて場所を選ばず記録することができ、多くの時間を要する看護記録業務を軽減し患者へのより質の高い看護に注力することができる。過去の実証では、これまで看護師がすべて手入力していた看護記録業務における入力時間を約50%削減できることを確認しているとのことだ。