医師を対象にした「クリニックのITシステムに関連する運営状況」の調査結果が発表

株式会社DONUTSは、同社が提供するクラウド型電子カルテ「CLIUS(クリアス)」が、全国の医師(勤務医・開業医/医科のみ)を対象に、クリニックのITシステムに関連する運営状況を調査したと発表した。

■調査の背景

2021年7月に帝国データバンクが行った調査によれば、2020年から蔓延している新型コロナウイルス感染症による医療機関の受診控えなどもあり、2021年のクリニックの廃業・倒産数は過去最多ペースとなったという。今後、クリニック経営を続け、生き残るためには、患者の不安を軽減し患者満足度を高める工夫や、診療圈を拡大する必要があると考えられる。厚生労働省が発表した2020年の医療施設動態調査でも、全国の一般診療所(歯科を除く)における電子カルテの導入率は49.9%と、2017年の前回調査から8%程度の増加にとどまっていることが明らかになっており、クリニックのIT化は喫緊の課題となっているとのことだ。

特に2022年度の診療報酬改定により初診料の評価が新設されたオンライン診療や、患者の利便性を高めるWEB予約・問診、キャッシュレス決済などのITツールの活用を促進する動きが高まっている。そこで今回、電子カルテを中心とした診療範囲と、勤怠管理などバックオフィス部分について、クリニックにおけるITツール導入の実態を探るため、全国の医師にアンケート調査を実施したとのことだ。

■集計結果

・電子カルテを導入した医師の71%が「業務効率化につながった」と回答。電子カルテ導入がクリニック全体のIT化に貢献
出典元:プレスリリース
出典元:プレスリリース
今回のアンケート回答者のうち、電子カルテを利用しているのは全体の89.9%にのぼり、診療範囲におけるIT化意識の高まりを示す結果となった。電子カルテを使用している医師のうち、電子カルテを導入して得たメリットとして、「クリニック全体のIT化につながった」と答えた人が51.4%、「業務効率化につながった」と回答した割合は71.4%にまでのぼった。また、「紙カルテのように、運用の場所をとらないこと​​」「文字が読みやすく、患者情報が把握しやすい」との回答はそれぞれ50%を超えており、電子カルテならではの「情報へのアクセスの良さ」に価値を感じている人が多いことが分かった。さらに、複数の医師が個別コメントにてデータ分析、統計分析に関するメリットを挙げていることからも、電子カルテ導入が、診療部分を超えクリニック全体のIT化に寄与したことが分かる。
<​電子カルテ導入後のメリットについての医師からのコメント>
患者データ分析、レセプト分析が楽
統計処理ができる
レントゲンフィルムを探すことがなくなった
もはや紙には戻れない
自動釣銭機が導入できた

・電子カルテに搭載される機能として「レセコン内包」「WEB予約」「WEB問診」「オンライン診療」「経営・患者情報の分析」を医師の50%以上が期待
出典元:プレスリリース
今後の電子カルテに期待する機能・搭載されていると便利だと思う機能については、「レセコン内包(カルテからも会計処理ができる)」「WEB予約」「WEB問診」「オンライン診療」「経営・患者情報の分析」の5つを選択した割合がすべて回答者の55%を超えていた。回答した医師の半数以上が、診療情報を保存・閲覧・検索する電子カルテとしての役割以上の豊富な機能を求めており、診療範囲のIT化に積極的な姿勢が浸透しはじめていることが読み取れる。
出典元:プレスリリース
先の質問にある追加機能がカルテに搭載されることのメリットについては、「医師の業務効率化につながる」「受付スタッフの業務が軽減される」との回答が多いのはもちろん、「患者さんの待ち時間が軽減される」は57.2%、マーケティングや患者満足度への寄与を期待する回答も40%前後あった。単なる利便性や効率化のためだけではなく、電子カルテを軸とした診療範囲のIT化によってクリニック経営全体が改善されることへの期待や要望が読み取れる結果となった。
<電子カルテに期待するさまざまな機能についての医師のコメント>
業務効率化なども大事ですが、医療者・患者両方の側の肯定感向上につながって欲しいです
それぞれの最適化によってPC以外の操作性が向上する。
web予約は精神科診療では患者の心理的負担軽減に寄与
訪問診療の効率化
コロナ禍においては在宅勤務している看護師もリアルタイムに情報が共有できる。

・診療範囲に比べてIT化が遅れているクリニックのバックオフィスの実態が明らかに。勤怠管理の主流は未だタイムカード
出典元:プレスリリース
診療範囲でのIT化が浸透する一方で、勤務時間を記録する打刻方法については、36.7%が未だ紙で実施していることが分かった。「経営者のため打刻が不要」という開業医の回答を除くと大多数がタイムカードで打刻を行っていることになる。クリニックにおける診療範囲とバックオフィスとのIT化意識に大きな乖離がみられる結果となった。

調査概要
調査方法:インターネット上でのアンケート調査
調査対象:全国の医師(勤務医・開業医/医科のみ)79名
調査名称:「クリニックのIT化に関する調査」
調査集計期間:2022年2月3日〜3月4日

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