「Chainy」の原型となった実験機「TorsionCrowds」は、背もたれや座面に複数の回転接触子(モーター)が埋め込まれ、これらが群れのように回転し、皮膚表面に同時かつ広範囲に捻りを加えることで、力の二次元的な分布を提示する。この回転接触子群の回転角度や回転方向を制御すれば、体表面に生じる刺激の強度分布をダイナミックに再現可能な触覚ディスプレイになると有望視されているという。一方、今回開発された「Chainy」は、「TorsionCrowds」の基盤となる設計指針をもとに、社会実装に向けた装置として、展示用に実現された。実験機では2軸のジンバル機構に支えられていた回転接触子を、「Chainy」では金属の輪で連結して「鎖化する」という発想の転換がなされ、回転接触子群が鎖の面として体重の圧を柔軟に支え、かつその力を面的に分散させることが可能だ。軽量化と低コスト化を同時に実現し、既存のオフィスチェアなどに埋め込むこともできるとのことだ。
「Chainy」は、千葉工業大学東京スカイツリータウンキャンパスで、10月22日から12月18日の土日祝日に一般公開する予定だ。この展示フロアでは既に、好きな花火を選んで組み合わせ、15mの巨大スクリーンに打ちあげることができる「打ち上げ花火をデザインする」が紹介されている。「Chainy」は、この花火を見ながら触覚で体験できる椅子として、一般来場者が鑑賞できる。打ち上げ花火のフォルムの変容によって変化する「Chainy」の刺激は、未来ロボット技術研究センター(fuRo)研究員らが開発した独自のプログラミングによってインタラクティブに連動している。