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エクサウィザーズ、ChatGPTを活用したIR業務効率化支援サービス「exaBase IRアシスタント powered by ChatGPT」β版を提供へ

株式会社エクサウィザーズは、ChatGPTを活用したIR業務効率化支援サービス「exaBase IRアシスタント powered by ChatGPT(以下、exaBase IRアシスタント)」β版を2023年5月下旬より提供開始すると発表した。
企業の財務状況、業績、戦略などの情報をもとにした様々な資料の作成や、決算説明会および株主総会などにおけるQ&A対応などは、上場企業のIR(投資家向け広報)担当者にとって重要な業務だ。しかし、日本IR協議会が2022年6月に発表した全上場企業(3,987社)を対象にした調査によると、調査に参加しIR活動を実施していると回答した1,013社のうち、専任者がいる企業は57.0%にとどまっているという。専任のIR担当者を設置できない、あるいは不慣れな担当者のみで運営される組織では、想定される投資家からの質問を余さず網羅し、かつその回答を準備するのは困難なのが実情とのことだ。また、IRと決算開示の体制が備わっている上場企業でも、四半期ごとに安定した開示を継続するためには大きな労働負担がかかっていることが課題となっているという。

今回β版として提供を開始する「exaBase IRアシスタント」は、上のような課題を解決するために開発されたIR業務効率化支援サービスだ。OpenAIが提供するChatGPTのAPIを活用することで、株主総会および決算説明会等におけるIR担当者の手元資料作成プロセスを変革し、既存業務の効率化を通じてより付加価値の高い高品質な情報開示へと注力できる体制を実現する。本サービスは開示・未開示情報の両方を収容することを想定し、強固なセキュリティおよびコンプライアンスを重視した環境で提供する。ユーザーがアップロードしたデータは契約企業ごとに設けた専用のクラウドストレージ領域において同社の情報セキュリティ基本方針に従い厳重に管理するため、同社社員もアクセスできない仕様となっている。また、本サービスを利用する上で入力したデータがChatGPTの学習・最適化に活かされることはないとのことだ。

本サービスは、PDFやPPT形式等で作成された各種IR文書をデータソースとすることで文書間の数値・記述の差分等をもとにしたトリガー情報を自動で抽出し、株主総会や決算説明会で想定される質問を企業固有の情報を含む形で自動生成する。そして、AIが作成した質問や投資家からの質問、IR担当者の想定質問など、さまざまなタイプの質問に対しても各種IR文書データをもとに回答案を自動で生成する。

なお、本サービスはIR活動での開示情報や、ユーザーが日常的に用いている社内の決算情報等を用意するだけで使用を開始することができる。質問の入力はcsv等で一括インポートも可能であり、生成条件などの調整も可能だ。

本サービスにより自動生成される質問および回答内容は、直感的な操作が可能なインターフェースとともに提供される。具体的には、IR担当者がその正確性や妥当性を評価し、必要に応じてAIに対して生成方針などのフィードバックをすることができる。また、生成に参照した元データを共に明示することにより、生成AIの課題であった不正確な情報生成にユーザーが対応することが可能だ。このように、システムとの相互フィードバックを通じて生成精度を一段と向上させていくことで、IR担当者自らが自社固有のIR業務効率化支援サービスとして改善していくことが可能だ。

本サービスは既存業務を完全に自動化するものではないという。IRのドメイン知識を持った担当者などをシステムがサポートすることで、その専門能力を生成条件の調整で発揮してもらい、効率化と精度向上を実現するという思想に基づいている。こうしたAIの判断や処理に人間が介入・検証するプロセスは「Human in the loop」とも呼ばれており、精度の向上や問題解決に効果的とのことだ。

相互フィードバックによる生成精度向上イメージ
出典元:プレスリリース

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