「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業補助金」の対象として「児童虐待対応にかかるICTツールを活用した業務効率化の実証事業」が採択

株式会社AiCANは、中小企業庁が公募する令和5年度「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業補助金」の対象として、同社が6自治体で実施する「児童虐待対応にかかるICTツールを活用した業務効率化の実証事業」が採択されたと発表した。

令和3年度の児童虐待相談対応件数は207,660件であり、直近20年でおよそ20倍に増大しているにもかかわらず、対応にあたる職員(児童福祉司)の数は5千人と4倍程度にしか増えておらず、マンパワーが圧倒的に不足しているという。その職員の半分以上が経験3年未満と言われているとのことだ。児童虐待対応は、児童相談所のほか、基礎自治体の子育て支援課や母子保健課がその職務を担っており、家庭や学校などの関係機関を訪問し、子どもや保護者、関係者から話を聞いて状況を判断する。しかし、そのような業務を遂行する上で、以下のような課題があるという。
課題①:機微な個人情報を所外から入力・閲覧する手段がなく、事務所に戻らないと記録を書いたり閲覧したりできない
課題②:関係者と情報共有や調整を行う手段が、対面または電話にほぼ限られており、情報共有に時間がかかる
課題③:標準的なアセスメントツールを用いて虐待の緊急度・重症度評価を行う必要があるが、迅速かつ適切に実施するためのシステムが実装されていない

これらはテクノロジーで解決できる課題でありながら、セキュリティと業務効率を兼ね備えたICTツールがないために、これまで対応が進まなかったという。専門性が高く求められる児童相談業務においては、単なるICTツールの導入ではなく、ツールの活用により業務のあり方自体を改善していくDXが必要不可欠とのことだ。同社は2020年より1自治体にサービス提供をしながら、アプリの改善やサポートのノウハウ蓄積をしてきた。今後導入地域を広げていき、それぞれの地域に根ざした虐待対応の仕組みを構築するために、令和5年度中に全国6自治体において実証実験を実施する。現場の業務フローに合わせて開発したICTツールを通じて、児童相談業務における業務の効率化(情報収集・整理やコミュニケーションの円滑化)と、意思決定のサポート(調査内容の標準化と調査情報の迅速な共有によるスムーズな虐待の評価)を実現することを目指すとのことだ。

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