多様なデータを安全に連携させることを目指す「安全なデータ連携による最適化AI推進コンソーシアム」を設立

凸版印刷株式会社は、同社、KDDI株式会社、株式会社KDDI総合研究所、国立研究開発法人情報通信研究機構、グリーンブルー株式会社、日本電気株式会社、株式会社ピコラボ、さくらインターネット株式会社の8者は、総務省の令和5年度情報通信技術の研究開発課題である「安全なデータ連携による最適化AI技術の研究開発」の委託先として選定されたと発表した。

それを受け、8者にプラナスソリューションズ株式会社、ギリア株式会社を加えた10者で、2023年7月28日に総務省委託研究開発「安全なデータ連携による最適化AI推進コンソーシアム」を設立した。本コンソーシアムは、多様なデータを安全に連携させることを可能とする分散型機械学習技術を確立することを目指す。これにより、プライバシーデータや機密データ等を含む実空間に存在するデータを分野の垣根を越えてAI学習に活用することを可能とし、分野横断的な社会課題の解決や産業競争力の向上に貢献するとのことだ。

本コンソーシアムは、本研究開発において大きく3つの活動を行う。さらに3つの活動を組み合わせた分散型機械学習技術を活用し、具体的な社会実装シーンを想定した技術実証を行う

・マルチモーダルAI技術の開発・高度化
多様なデータを組み合わせ複雑な予測を可能とする大規模マルチモーダル深層学習モデルの構築技術、及び、実空間から収集するデータの差異を吸収可能な、ロバストなマルチモーダルAI技術の研究開発を行う。

多様・不均衡・少量データに対するロバストな深層学習技術:収集された場所や期間等によってデータの量や粒度に不均衡が発生した場合においても性能を低下させることなく予測を可能とするマルチモーダル深層学習技術を開発する。
 
異分野データ横断的な予測を可能にする深層学習技術:異種・異分野センシングデータ間の相関性をマルチレベルに発見・学習し、横断的(クロスモーダル)な予測を可能にするマルチモーダル深層学習技術を開発する。

参加型地域安全サービスにおける検証技術:地域内の様々な場所を横断的に走行するオンデマンドモビリティ等の車両から取得したデータと外部データを掛け合わせ、地域内の交通リスクを分析・可視化する実証システムを開発し、地域に根付いたモビリティの新たなる価値の創出と地域住民の行動変容を促すフィールド実証を実施する。また、基盤モデルの作成・評価・検証に必要なデータの利活用基盤を整備する。

・エッジAI技術の開発・高度化
マルチモーダル深層学習モデルを対象に、エッジ環境の限られた計算資源の規模に応じて、効率的に学習を行う技術の研究開発を行う。

エッジの多様性を考慮した高効率な連合型エッジAI技術:エッジの収集データや計算能力等に応じてマルチモーダル深層学習モデルを分割・転送・集約する分散機械学習や大規模モデルの軽量化を行う連合型エッジAI技術を開発する。また、仮想サーバによるエッジAIのシミュレーション実験システムを構築する。

リスク・ベネフィット適応ナビゲーションにおける検証技術:車載用や歩行者用のスマートセンサ等のデータで基盤モデルを連合学習し、運転リスク回避の行動推薦を行うスマート運転支援と、地区拠点ごとの環境ホットスポット予測の実証システムを開発する。

・連合学習技術の開発・実用化
マルチモーダル深層学習モデルを対象に、多数のエッジ環境間におけるデータの偏りを前提とした⾼精度な連合学習技術の研究開発を行う。

安全に個別環境適応が可能な連合学習技術:データ分布や性能の異なるクライアント間で高精度かつセキュアな連合学習を行うパーソナライズド連合学習技術と、データ項目に差異のあるクライアント間で連合学習を可能にする転移連合学習技術を開発する。さらに連合学習における安全性を秘密計算技術などで担保するとともに、連合学習の運用や安全性に関する標準化活動等を通じ連合学習の安全性に関するコンセンサス形成を目指す。

連合学習フレームワーク技術:AIモデルの管理や交換、機械学習アルゴリズムのモジュール化等、大規模分散連合学習を実行するために必要となる機能を共通化して提供する連合学習フレームワークを開発する。

エッジ・クラウド連携による基盤モデル最適化技術:研究成果を集約したデータ連携AIプラットフォームの参照実装を開発し、システム基盤構築と機械学習モデル構築を最適化する技術を検討する。

スマートシティ市民サービスにおける検証技術:市民向けアプリを対象に、各種データとの連携、リスク情報の個別通知、市民向けアプリによる情報収集を行う技術を開発し、市民向けアプリを通じた安心・安全な移動の支援への有効性を評価する。

本研究開発で確立した分散型機械学習技術を活用し、多様なデータを安全に連携させることを可能とする「データ連携AIプラットフォーム」を創出する。これにより、分野を横断したデータ活用を進め、社会課題の解決や産業競争力の向上に貢献するとのことだ。

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