AIを活用した病理画像解析プラットフォーム「DeepPathFinder」が提供開始

株式会社biomyは、AIを用いた病理画像解析のためのクラウドサービス、DeepPathFinderの提供開始を発表した。

DeepPathFinderは、腫瘍の病理画像を迅速に解析し、患者個々のがん免疫微小環境の空間的特徴量を定量的に把握することを可能とする。近年、ノーベル賞受賞で注目を浴びた免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を主とした薬物療法が、様々ながんの主要な治療法として開発されている。しかし、ICIは全ての患者に効果をもたらすわけではなく、治療効果の高い患者とそうではない患者が存在するという。また、その薬剤費は高額かつ免疫に関連した重篤な有害事象をまれに引き起こすこともあるため、適切な患者を見極め治療していくことが求められているとのことだ。

これまで、世界中の研究者がICIの薬剤感受性を予測するために多くの研究を実施してきた。そして、腫瘍そのものだけではなく、がんを取り巻く免疫微小環境がICIの薬効や予後に重要な影響を与えていることが分かってきたという。しかし、患者個々のがん免疫微小環境を日常診療で定量的に解析しようとすると、巨大なコストと時間を必要とするとのことだ。DeepPathFinderは、AIの力を活用して病理画像を迅速に解析し、がん免疫微小環境の空間的情報を日常診療に提供することを目指している。これらのがん免疫微小環境から検出された空間的情報は治療決定の判断材料のひとつとして役立ち、適切な患者選択や薬効予測を通じて、治療アウトカムの向上につながるのではないかと考えているとのことだ。

DeepPathFinderは、がん細胞と取り巻くがん免疫微小環境の理解を高めることを支援する、研究用途のサービスだ。ICIの薬効には、がん免疫微小環境が重要な因子であることが数多くの論文で報告されているという。DeepPathFinderに実装されているAIは、病理画像から上皮細胞、リンパ球、マクロファージに留まらず、線維芽細胞やプラズマ細胞も検出する。組織についても、腫瘍、壊死、間質など、細かな分類を支援する。これらの情報を組み合わせることで、間質内のリンパ球や線維芽細胞の数、密度を定量的に評価し、腫瘍から特定の距離に存在する免疫細胞の数を把握することができる。さらに、形態学的な特徴を元に、一部のドライバー遺伝子変異の特有の特徴量を検出する機能も実装されている。
出典元:プレスリリース
このようにDeepPathFinderでは、薬剤感受性に重要ながんの空間的、形態的特徴を迅速に解析することで、研究用途だけでなく、将来的には診断から治療の現場でも貢献することを目指しているとのことだ。

Article Tags

カテゴリ

Special Features

連載特集
See More