AIメディカルサービス、シンガポール初の胃がん鑑別AI「gastroAI-model G -SG」の機器登録を完了

内視鏡の画像診断支援AIを開発する株式会社AIメディカルサービスは、2024年2月19日にAIを活用した胃病変の腫瘍性・非腫瘍性を判定する内視鏡画像診断支援システム(販売名:Endoscopic image diagnosis support software – gastroAI-model G, 略称:gastroAI-model G - SG)について、シンガポールのHealth Sciences Authority(健康科学庁、以下HSA)の審査および機器登録手続きを完了したことを発表した。同社によると、シンガポールにおける上部消化管領域の診断支援AIの機器登録事例として初の事例とのことだ。

「Endoscopic image diagnosis support software - gastroAI-model G」は、AIを活用した胃病変の腫瘍性・非腫瘍性を判定する内視鏡画像診断支援システム。内視鏡映像の静止操作により取得した内視鏡画像を病変候補画像として解析し、病変候補画像が腫瘍性(Adenoma or Adenocarcinoma)であるか、非腫瘍性もしくは腫瘍性の可能性が低い(Low Confidence)(※1)のか、いずれかを表示。腫瘍性である場合には、腫瘍性の可能性の度合い(信頼度)を数値で表示するとともに、病変の位置を示す矩形を病変候補画像へ重畳表示する。
※1 本製品は「腫瘍性」「非腫瘍性」「信頼度が低い」の3分類で判定しており、このうち「非腫瘍性」と「信頼度が低い」を合わせて「Low Confidence」と表示。
出典元:プレスリリース
胃がんは世界で5番目に多いがんであり、年間100万人を超える人が胃がんに罹患し、約77万人が胃がんにより亡くなっている。胃がんの特徴として、病期が進行すると死亡率が高まる一方、早期に発見すれば十分に治療可能な疾患である。5年相対生存率は、ステージⅢ以降で発見された場合は5割以下だが、ステージⅠで発見されれば95%以上となる。一方で、早期の胃がんは判別が難しく、4.5-25.8%程度見逃されているとも言われている。
日本や韓国のような胃がん発生率の高い国では内視鏡による胃がん検診が行われているが、ほとんどの国ではこのようなスクリーニングは行われておらず胃がんの早期発見が難しい状況で、シンガポールも同様。そのような背景の中、同社は2021年4月からシンガポール国立大学病院と内視鏡AIに関する共同研究を行い、内視鏡AIが内視鏡医の診断能力をサポートし、胃がんを早期に見つける可能性があることを報告。また、現地の医師とのコミュニケーションや学会等での活動を通じてシンガポールの臨床現場における内視鏡AIへの期待の高さを実感し、シンガポールにおける機器登録を目指してきた。

2021年4月以降、アジアトップクラスの大学であるシンガポール国立大学病院と共同研究を進めてきた。今後もシンガポール国立大学病院との共同研究を通じてシンガポールの臨床現場の課題に沿った機能拡張や対象器官の拡大に向けた開発を進める方針。
また、シンガポールにおける薬事承認を起点に、ASEAN諸国内での医療機器を登録申請する際の効率化や申請手続きの簡素化を目的とした枠組みである「ASEAN医療機器指令」制度を活用しながら、ASEAN諸国内での承認取得および事業展開を目指す。

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