利用できる店舗が増え、ユーザー数も伸びているスマホ決済ですが、それゆえビジネスチャンスを求め、多くの事業者が参入しています。そのため、どのスマホ決済アプリを使えばいいのか、迷っている人もいるでしょう。おすすめのサービスはどのキャリアと契約しているのか?行動範囲に加盟店がどれくらいあるか?お得に利用するためのポイント還元率など、さまざまなポイントがあります。ただ、そうはいっても自分でひとつひとつ調べあげ、吟味していくのは骨が折れる作業です。そこで自分にあったスマホ決済アプリを選べるように、ここでは主要な8社のサービスの使える店舗数、ポイント還元率、支払い手段の多様さなどを中心に特徴や使い勝手を比較して、解説していきます。
スマホ決済アプリ8社を比較・ランキング
スマホ決済アプリを選ぶポイントとして、サービスの使える店舗数、ポイント還元率、支払い手段の多様さなどが挙げられます。どんなに利用しやすいアプリでも導入している店舗が少なければ、その便利さを実感することができません。また現金決済にはないスマホ決済アプリのメリットがポイント還元です。利用した額に応じてポイントが貯まり、次の支払いで使うことができるため、お得です。還元率はアプリによって違うため、吟味したいポイントです。また、支払い方法にはいろいろなタイプがあり、利便性に関係します。そこで、主要な8社に絞って比較していきます。スマホ決済アプリをすでに利用している人も、これから使ってみようと思っている人も参考にしてください。
【比較するスマホ決済アプリ】
● PayPay
● d払い
● 楽天ペイ
● LINE Pay
● au PAY
● ゆうちょPay
● メルペイ
● ファミペイ
使える店舗数が多いスマホ決済アプリは?
スピーディに支払いができ、小銭を持つ必要がなくなるスマホ決済は、少額のお買い物との相性が良いと言えます。そのため生活圏内に利用できる店舗が多くあると、利便性が高まります。そのためスマホ決済アプリを選ぶ際に、使える店舗の数は重要な基準になります。ただし、アプリの加盟店数を公表している事業者もあれば、非公開としている事業者があり、正確な数字を把握するのは困難です。ただ、さまざまなレポートが出ており、それらから推測することができます。たとえば、ICT総研が2020年1月に行なったこんなデータがあります。
スマホ決済アプリを利用しているユーザー1,419人に対し、利用可能店舗数が多い事業者を尋ねたところPayPayが圧倒的な差でトップになりました。さらにWebアンケートで利用率の高かったPayPay、楽天ペイ、LINE Pay、d払いについて全国100地点で利用可能店舗数のカウントを行なったところ、1位がPayPayで32,044店舗、2位がd払いで5,839店舗、3位がLINE Payの4,936店舗、そして楽天ペイが4位で4,155店舗という結果になりました。この結果から現状で最も利用可能な店舗が多いのはPayPayだと推測できます。どこに住み、どんな店舗でスマホ決済アプリを利用するかによって実際には利便性が異なりますが、ひとつの参考にしてみてはいかがでしょうか?
還元率が高いスマホ決済アプリは?
多くのスマホ決済アプリでは、利用するたびにポイントが還元される仕組みを採用しています。利用した額に応じてポイントが貯まる仕組みで、その割合を還元率と呼んでいます。たとえば還元率が1%だったとしたら、1000円の買い物をすると10ポイントが貯まることになります。貯まったポイントは支払いに使うことができ、通常1ポイント=1円が一般的です。このポイント還元率は一律ではなく、事業者によって異なり、賢く使うなら各社の還元率を比較する必要があります。また、還元率は支払い方法によっても異なりますが、おおむね0.5%〜1.5%で大きな差がなくなっているのが現状です。
ただ、各社はシェアを拡大するために、しばしば還元率を大幅にアップさせた期間限定のキャンペーンを実施しています。この期間に買い物をすると、20%〜50%といった具合に還元率が大きくアップするため、キャンペーンの頻度で事業者を選ぶという方法もあります。
支払い手段が多いスマホ決済アプリは?
スマホ決済アプリには、事前にATMやレジで残高をチャージしてから使う前払い方式のほか、クレジットカードや銀行口座と紐づけて後払いする方式、さらに契約しているキャリアの通信料と合算して支払うキャリア払い、デビットカードのような紐づけた銀行口座からすぐに代金を支払う即時支払いなどがあり、自分が採用したい支払い方式を導入しているか否かでスマホ決済アプリを選ぶ方法もあります。事業者のなかには、一部の支払い方式しか採用していないケースもあり、吟味する必要があります。
スマホ決済アプリ8社を詳しく紹介
ケータイキャリアが運営するサービスのほか、金融機関との連携が強いサービスなど、さまざまなスマホ決済アプリが登場しているのが、現状です。ポイントを貯めるためにもできるだけ、使うアプリは絞りたいところです。続いては主要8社のアプリを取り上げ、特徴をさらに詳しくみていきましょう。違いや共通点を把握して、より賢い利用法を模索してみましょう。
PayPay
PayPayはソフトバンクとヤフーが2018年10月に共同でスタートさせたスマホ決済サービスです。利用者に100億円をキャッシュバックする大規模なキャンペーンを行ったことで、一気に知名度を上げました。その後も、還元率がアップするキャンペーンなどを定期的に開催しているのも特徴です。また加盟店が多く、230万店舗以上で使用可能です。その他、クレジットカードを紐づけた支払い、送金や割り勘機能、ヤフー関連のネットサービスでのオンライン決済に使用できる、公共料金や税金の請求書支払いが可能など、さまざまな利用法ができる点も魅力となっています。ポイント還元率は0.5%〜1.5%ですが、キャンペーンが頻繁に開催されるため、利用するタイミングによってかなり変動します。
→PayPayについて詳しくは
コチラ
利用可能な店舗 |
全国230万カ所以上 |
還元率 |
0.5%~1.5% |
コード/スキャン決済 |
〇 |
非接触型決済 |
× |
クレジットカード |
〇 |
請求書払い |
〇 |
キャリア決済 |
〇 |
個人間送金 |
〇 |
d払い
d払いはNTTドコモが2018年4月からサービスを開始したQRコード決済やバーコード決済のサービスです。ドコモの回線を契約していない人でも、自分のスマホにアプリをダウンロードして、登録をすれば、利用することができます。ドコモ回線の契約がある場合には、携帯電話料金と合算して支払うキャリア決済を選択することもできます。またウォレット機能もあり、チャージ残高を他の銀行口座に振り込んだり、ATMで出金することができるほか、ドコモの電話番号宛てに送金することも可能です。そのほか、タクシーの予約やテイクアウト注文など、事前注文や事前決済をd払いのアプリ内で済ますことができるミニアプリという機能もあります。各サービスのアプリもありますが、それらを個別にインストールしたり、登録する必要がなく、便利です。還元率は利用する店舗やキャンペーンの有無によって、あるいは支払い方法によっても異なりますが、実店舗での利用でおよそ0.5%、オンラインショッピングでの利用で1%程度となっています。
→d払いについて詳しくは
コチラ
利用可能な店舗 |
非公表 |
還元率 |
0.5%~1% |
コード/スキャン決済 |
〇 |
非接触型決済 |
〇 |
クレジットカード |
〇 |
請求書払い |
× |
キャリア決済 |
〇 |
個人間送金 |
〇 |
楽天ペイ
楽天Payは、楽天が提供しているスマホ決済サービスです。楽天カードからチャージすると最大1.5%還元、楽天銀行かラクマからのチャージでも1%還元のほか、いままで貯まった楽天ポイントで支払っても1%が還元されます。貯まった楽天ポイントは楽天市場や楽天トラベルなど、楽天グループのサービスでも使用できるため、楽天ユーザーにはとくにおすすめのスマホ決済アプリだと言えます。楽天ペイでは、楽天キャッシュにチャージしてから支払うやり方に加え、クレジットカードを紐づけて支払うやり方が選択できますが、クレジットカードが楽天カードだった場合のみ、楽天ポイントが貯まる仕組みになっています。なお、楽天キャッシュは個人間送金にも対応しています。そのほか、楽天ペイアプリ内でSuicaの発行やチャージができる点も大きな特徴となっています。加盟店の数は非公開ですが、コンビニから家電量販店まで幅広く使えます。
利用可能な店舗 |
非公表 |
還元率 |
1%~1.5% |
コード/スキャン決済 |
〇 |
非接触型決済 |
〇 |
クレジットカード |
〇 |
請求書払い |
× |
キャリア決済 |
〇 |
個人間送金 |
〇 |
LINE Pay
LINE PayはSNSで有名なLINEが提供しているスマホ決済サービスです。オンラインストアを含めた約171万店舗で使用が可能で、LINE Payの残高を使って支払いをしても、ポイントは貯まりませんが、「チャージ&ペイ」という後払いサービスを利用すると、LINEポイントクラブのマイランクに応じたポイント還元を受けることができます。チャージ&ペイは、Visa LINE PayクレジットカードをLINE Payアカウントに登録することで、事前の残高チャージが不要となり、支払った金額はクレジットカードに請求されて、まとめて口座から引き落とされます。
LINEポイントクラブは、2020年5月1日にスタートした制度で、過去6ヶ月間に獲得したLINEポイントからレギュラー、シルバー、ゴールド、プラチナの4つのランクに分けられ、獲得ポイントでランクが変動します。最上位のプラチナのポイント還元率は3%でVISA LINEクレジットカードを利用しているユーザーにはおすすめのスマホ決済です。また、PayPayと同様にQRコード決済やバーコード決済のほか、個人間送金や割り勘機能、公共料金の請求書支払いなど、さまざまなシーンで利用できるのが特徴です。
利用可能な店舗 |
全国171万カ所以上 |
還元率 |
0~3% |
コード/スキャン決済 |
〇 |
非接触型決済 |
〇 |
クレジットカード |
△ |
請求書払い |
〇 |
キャリア決済 |
〇 |
個人間送金 |
〇 |
au PAY
au PayはKDDIグループが2019年4月から開始したQRコード決済やバーコード決済のサービスです。ソフトバンクグループのPayPayと同じようにもau回線(もしくはUQ mobile)の契約があり、口座振替または指定のクレジットカードで通信料金を支払っていると、「チャージ」から「au かんたん決済」という翌月後払いを利用することができます。また、auと契約中で、7カ月以上加入しており、20歳以上、さらに窓口払いを選択している場合も翌月後払いの「au かんたん決済」を利用できます。
以前はau WALLETポイントという名称のポイント制度でしたが、2020年5月からローソンなどで利用されているPontaに統合されています。200円の支払いごとにPontaポイントが1ポイント還元されるため現在の還元率は0.5%です。さらに、Ponta加盟店ならau PAYで支払う前にレジでau PAY アプリのデジタルPontaカードを提示すれば、Pontaポイントが貯まり(100円もしくは200円ごとに1ポイント)、そのままau PAYで支払うと200円ごとに1ポイントが加算され、2重にポイントを貯めることができるのが特徴です。
利用可能な店舗 |
非公表 |
還元率 |
0.5% |
コード/スキャン決済 |
〇 |
非接触型決済 |
× |
クレジットカード |
× |
請求書払い |
〇 |
キャリア決済 |
〇 |
個人間送金 |
△ |
ゆうちょPay
ゆうちょPayはゆうちょが運営するスマホ決済アプリです。専用のコードを表示するか、店頭のQRコードを読み取って支払いを行いますが、事前に登録したゆうちょ口座からすぐに代金が引き落としされる即時支払い(リアルタイムペイメント)を採用している点が最大の特徴です。そのため事前のチャージは不要です。コンビニやスーパーなど加盟店での支払いに利用できるほか、郵便局でも利用可能です。払込取扱票やコンビニ払込票といった、いわゆる請求書払いに対応しており、公共料金の支払いにも対応しています。さらに、東急線の各線(東京・神奈川)にある駅券売機で貯金の引き出しができるという独自の機能もあります。ポイントについては、2020年9月1日から「ゆうちょPayポイント」がスタートしています。
利用可能な店舗 |
全国10万カ所以上 |
還元率 |
- |
コード/スキャン決済 |
△ |
非接触型決済 |
× |
クレジットカード |
× |
請求書払い |
〇 |
キャリア決済 |
× |
個人間送金 |
× |
メルペイ
メルペイは、フリマアプリの「メルカリ」と連携した決済サービスです。メルカリでの取引で得た売上をチャージ(もしくは銀行口座からチャージ)して、メルカリ内での買い物に利用できるだけではなく、170万カ所以上あるという街にある加盟店での買い物にも使うことができます。店頭での支払いでは、QRコードの読み取り、もしくはスマホ上に表示したバーコードを読み取ることで行います。この場合はチャージしてから利用を開始する前払い(プリペイド)型ですが、後払い決済の「iD」と連携させることが可能で、この場合、非接触型決済(非接触IC決済)としても利用できます。
また、「メルペイスマート払い」という支払い方法もあり、これは使った分だけ翌月末にまとめてコンビニで支払いするというもので、クレジットカードのように買い物時には手元にお金がなくても、ほしいものを購入することができます。メルカリでの売上代金で精算することもできるため、日頃からメルカリを利用しているユーザーにはおすすめです。ただし、その他のスマホ決済アプリでは採用されているポイント還元には対応していません。
→メルペイについて詳しくは
コチラ
利用可能な店舗 |
全国170万カ所以上 |
還元率 |
0% |
コード/スキャン決済 |
〇 |
非接触型決済 |
〇 |
クレジットカード |
× |
請求書払い |
× |
キャリア決済 |
× |
個人間送金 |
× |
ファミペイ
ファミペイは、ファミリマートのスマホ決済サービスです。ポイントカードの提示によるポイント還元、クーポンの利用、そして決済が一度のバーコードスキャンで完了するのが特徴です。また、ファミリーマートではdポイント、楽天ポイント、Tポイントの3種のポイントが使えるため、ファミペイでもどのポイントを貯めるのか選択することが可能です。ポイントは200円につき1ポイントが貯まります。チャージする方法は2通りで、ファミリーマートの店頭で現金によるチャージを行うか、ファミマTカード(その他のクレジットカードの登録は不可)を登録して、そちらからチャージします。なお、ネット通販のKaemaやラクマなどでオンライン決済として、ファミペイを使うことができます。
利用可能な店舗 |
全国10万カ所以上 |
還元率 |
0.5%~1.5% |
コード/スキャン決済 |
〇 |
非接触型決済 |
× |
クレジットカード |
△ |
請求書払い |
〇 |
キャリア決済 |
× |
個人間送金 |
× |
スマホ決済アプリの特徴はそれぞれ!自分に合うアプリを選ぼう
一見すると使い方や特徴は同じように思える各社のスマホ決済サービスですが、細かな違いが見られます。普段、利用している実店舗がどこなのか、あるいは、よくネットショッピングするサイトはどこかなど、行動範囲・生活圏によって選んだり、契約しているキャリアが提供するスマホ決済アプリを選択して毎月の通信料と一緒に支払うなど、さまざまポイントで選び方が変わってきます。自分に合うアプリを探して、使いこなしましょう。