マーケティング

【特別対談】デジタルシフト時代の顧客体験のアップデート

オイシックス・ラ・大地株式会社にて執行役員 COCO(Chief Omni-Channel Officer)を務める奥谷孝司氏をゲストにお招きし、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授との対談を米ラスベガスで開催された世界最大級の家電・技術見本市CES(Consumer Electronics Show)の会場で実施しました。体験設計の専門家である奥谷氏の目線から、最新テクノロジーやプロダクトはどう映るのか。カスタマーエクスペリエンス、カスタマージャーニーはどのように進化していくのか、大いに語っていただきました。

下記記事は対談の要旨となります。CES会場のライブ感溢れる動画も併せてご覧ください。
下記記事は対談の要旨となります。CES会場のライブ感溢れる動画も併せてご覧ください。

シームレスからフリクションレスな体験へ

田中:皆さんこんにちは、田中道昭です。今回はCESのベネチアンの会場に来ていて、当地では、1月9日の午後4時半です。今日は対談ということで、ゲストとしてオイシックス・ラ・大地株式会社の奥谷さんに来ていただきました。ご存知の方も多いと思いますが、元々良品計画で色々なお仕事をされ、多大なる実績を挙げられて、現在はオイシックス・ラ・大地でCOCO(Chief Omni-Channel Officer)を務められています。他にも、ご自身でデジタルマーケティングのお仕事をするなど、一言で言うと、マーケティング業界のインフルエンサー、KOL(Key Opinion Leader)と言っても良い方だと思います。

私が今回奥谷さんにお声掛けさせていただいたのは、テクノロジーショーであるCESを顧客視点でも見ていただきたいからです。カスタマージャーニー、カスタマーエクスペリエンス、カスタマーセントリックなどの視点で最新のテクノロジー、商品・サービスを見たとき、どういう風に見えるのか。そういう視点を掘り下げるべく、奥谷さんをゲストにお呼びしました。どうぞよろしくお願い致します。

奥谷:よろしくお願いします。

田中:私からのご紹介でしたが、ご自分のプロフィールで何か補足があればお願いします。

奥谷:先程、おっしゃっていただいた通り、オイシックス・ラ・大地という会社でオムニチャネル系、統合マーケティングをやりながら、自分でも株式会社顧客時間という会社をやっておりまして、デジタルマーケティングのコンサルティング、あとは学術視点での研究もやっております。学術的な視点からもCESの解釈をしていきたいなと思います。よろしくお願い致します。

田中:私も実は小売系のフェスタリアホールディングスというジュエリーの上場会社でも社外取締役をやっているのですが、そこで良品計画の社長・会長だった松井忠三さんとご一緒させて頂いていて、月一回、隣に松井さんがいらっしゃるんです。そこで私も色々なご指導を受けていますが、現場主義の素晴らしい経営者ですよね。

奥谷:そうですね。小売のことを熟知されていて、現場がうまくいかないと小売業はうまくいかないと、よく分かっていらっしゃる優れた経営者だと思います。

田中:これまでデジタルシフトタイムズのCESレポートでは、比較的大型の製造業の話を中心にしてきましたが、私自身、元々コンサルティングの原点は、小売です。だからこそ、私は今も小売のコンサルティングや、社外取締役もやっています。私自身も商品自体にこだわりがあります。

ということで、今日はそのような視点からお話をしたいと思います。CESの会場でホットなライブ感そのものを皆さまにお届けしたいと思います。また奥谷さんにお話をお伺いすることでロングテールとなるような内容にもしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

奥谷:よろしくお願いします。

田中:最初にお伺いしたいのは、やはり奥谷さんというと、色々なキーワードが出てきますが、僕が最初に想起するのは、カスタマージャーニーです。カスタマージャーニーには色々な定義があると思います。僕はカスタマージャーニーを皆さんにお話しする際、顧客としての奥谷さんが考える世界の中で、顧客としての奥谷さんが経験する一連のジャーニーの中で、奥谷さんを中核に置くみたいなイメージでお話しています。そういう意味では、カスタマージャーニーを普段どう捉えられているのか。そして、カスタマージャーニー的に言うと、今回のCESの見所、一番の注目ポイントはどこだったのかをお聞かせいただけますか?

奥谷:CESといえば、もちろんトヨタ、そしてキーノート(基調講演)はデルタ航空、サムスンなど、ビックカンパニーのデジタルトランスフォーメーションの話が非常に面白かったです。

一方で、僕はやはり「顧客時間」、ユーザーがどうやってデジタルなものを受け入れていくのか、そのプロセスを感じられる商品をいくつか見られたのが、大変勉強になりました。大規模なものだけ見ていくと、失礼な言い方ですけども、プロダクト・プロダクト・プロダクトでちょっと疲れちゃうなと。

しかし例えば、P&Gさんの電動歯ブラシ。電動歯ブラシって昔からあると思うんですが、マシンの精度とアプリのUI/UXがどんどん上手くなっている。歯磨きをする楽しみと、歯磨きをした後にアプリを見る体験が、単なるシームレスからフリクションレス(ユーザーにとっての摩擦、イライラがない状態)へと進化している。オンラインとオフラインの行き来がもっとちゃんとできるようになっている体験を見るのが面白いですね。

同じ文脈で、TOTOさんは、展示の前面にウォシュレットを出しているのですが、その横にはトイレの混雑状況が分かり、並ぶこともなく、ハンズフリーでトイレの利用ができるアプリを出していました。みなさんも体験したことがあると思いますが、トイレに行ったらものすごく並んでいることがありますよね。そんな時にアプリで確認して、利用登録をすると、オンライン上で自分の利用予約ができるので、順番がわかり、実際使う時には、非接触でドアも開くしカバーも上がる。トイレが終わったらもちろん手も洗える。そのまま出て行ける。そして、トイレの状況について、綺麗だったよとか、紙が切れていたよといったことを報告することもできます。そういう取り組みをベンチャーとのコラボでやっているみたいです。僕はやっぱり、このような一見地味ですけど、確実にデジタルとカスタマー・ジャーニーが身近に結びついているものが、現実味を帯びて現れてくる瞬間、萌芽を確認するということにワクワクするんですよね。
CES2020 TOTOブースでのアプリの紹介

CES2020 TOTOブースでのアプリの紹介

田中:まさに、奥谷さんをお呼びした甲斐があったという感じです。

奥谷:なんか小さいものばかりに注目していて、申し訳ないですけど。

「電動歯ブラシ3.0」に見る顧客体験の進化

田中:では、P&GとTOTOの2つを深掘りしていきたいと思います。まずP&Gの歯ブラシです。実は私もすごく気になって、試してみたり説明を聞いたりしたんです。アメリカでは8月から販売されるとのことで、日本ではどうなんですか?と聞いたら9月か10月ということなんで、あんまり合間はないようでした。見ている方に、具体的にどんな新製品だったのかお話いただけますか?

奥谷:見た目は一見変わらない電動の歯ブラシなんですが、いろんなブラッシングモードが選べます。センシティブに磨きたいとかですね。あとは、ブラシとボディの間に光る部分があり、力の入れすぎが分かるんです。赤くなったら力入れすぎですよ、と出るんですね。

実際に磨いてみると、歯科衛生士さんに歯を綺麗にしてもらうような精度でした。昔の歯ブラシって、失礼な言い方ですけど、電気でウィーンって動く際に、力の伝わり方にかなりロスがあった。そういうのが全く無かったですね。だいたい歯ブラシって2分くらい磨くと思いますが、本当に2分の間で、今はちょっと最初なんでアプリを目の前に置きながらやりますが、別にアプリを置かなくてもそのうち上手に磨けるようになるでしょう。ただ、充電する度にデータが溜まる仕組みになってますので、確認したければアプリでちゃんと磨けているかもわかる。

本当にツルツルになるんですよね。今までは僕、一般的な歯ブラシで磨いていましたが、これは体験として非常によくできているなと。口内の環境もセンサーみたいなもので測っていて、その辺りP&Gは非常に素晴らしいです。さっきも言いましたが、電動歯ブラシ自体はすでにありますし、アプリと連動しているものもシームレスなのもある。しかしそれがフリクションレスにつながってきている。つまり、お客様の体験においてなるべく摩擦が起こらないような設計がされている。その辺の体験設計が、一見普通の電動歯ブラシを進化させている。このような商品はデジタル化時代の新しい体験の重要な兆しを作っているように僕は感じました。

それは田中先生もおっしゃっているように、サービスが単なる歯磨きではなくて、口内環境を綺麗にすること、健康とも連動している。歯磨き体験を非常に大きく捉えて、優れた体験を提供することにどんどん取り組まれているなというのが、P&Gさんの電動歯ブラシもデジタル活用の非常に面白いところですね。

田中:私も見てみたので、さらに深掘りをして、面白い題材にしていきたいと思います。まずお話を聞いてびっくりしたのは、実際に磨かれたということ。私はブースにいらっしゃった女性に使い方を聞いて、隣にスマホが置いてありましたよね?自分が磨いた様子が実際にスマホで、歯の形で、磨かれているところがカラーで表示される。それを毎日データとして残していくという説明を受けたんです。奥谷さんは実際に磨かれて、体験もされたということですが、そもそもデジタル化製品という以前に、やはり歯磨きとして非常に優れている訳ですね。

奥谷:そうですね。ハードウェアとしても優れてます。皆さんの中にも電動歯ブラシで磨いたことがある方がいると思うんですが、実はハードウェアもステップバイステップでよくなっているんです。歯科衛生士さん並みに良いんだなということがわかる。あと企業側にとってもメリットがあるとおもいます。「アプリと電動歯ブラシの利用頻度はどんどん低下する」、「よく、それって最初だけだよね」、という意見があります。確かに良い体験だけどそれだけでは不十分です。どんどん、アプリって見なくなると。でも、これをやり続けられればP&Gさんはデータがしっかり取れますよね。充電する度に30日間はデータが取れるので。

もし僕がデジタルのカスタマージャーニーを組むとしたら、30日使って、見なくなったなと思っても、また戻ってもらえる仕組みが作れると思います。例えば僕も2~3分使ってみたんですけど、僕左利きなんで、どうしても左奥に磨き残しが出ちゃう。新しい機能やデバイスって、「これすごいね」という最初の体験のWow!があって、そこから体験としては当たり前になってどんどん下がる。でも、10~20日後にアプリでプッシュ通知が来て、「奥谷さん、またこういうところが磨き残し増えていますよ」と分かったら、もう一回見てみようってなると思うんですよね。

やっぱりこれからの時代、最初のFirst Moment of Truth(消費者がサービスに関する印象を形成する瞬間)だけじゃなくて、Second Moment of Truth(購入後に実際に商品を使用する瞬間)までちゃんと取ることを考える必要がある。そして、繰り返し使うという購入後の時間にもデジタルを活用することで、つながりが作れているプロダクトやソフトウェアサービスの連合ができているものが、僕は結構グッと来るなと。
P&G社がCES2020で披露した電動歯ブラシ

P&G社がCES2020で披露した電動歯ブラシ

P&G社CEOも語る「ホリスティック」の重要性

田中:なるほど。先ほど「電動歯ブラシ3.0」っていう話が出たじゃないですか。奥谷さんにとっても重要なマーケティング3.0でいう概念でお話いただくとするとどのようになるでしょうか。色々な定義がありますけど、例えば「ハート(感情、感覚・身体のレベル)」「マインド(思考、知性・頭脳のレベル)」「スピリット(精神、魂・存在のレベル)」みたいなところで言うと、そこまで込められていたでしょうか。あるいは、ホリスティック・マーケティング(消費者に関係するすべての関係性を包括的に理解して実行する統合型マーケティング)みたいな感じですかね?

奥谷:そうですね。そこでいうとP&Gさんの話に集中してしまいますが、ルミーという、パンパースにつけるデバイスがあります。オムツが濡れたら教えてくれるだけなのかなと思ったら、実は保護者の育児状況の把握から、アドバイス、それにまつわるコンテンツまで用意されています。例えば、子どもは生まれた頃は大体15時間くらい寝たほうがいい。そのデバイスで睡眠の状態も取れます。カメラもちゃんとあって、赤ちゃんの生活データがよりとりやすい環境を作ってます。そして、オムツにはセンサーをつけるため少し従来のおむつと仕様は異なりますが、値段はほとんど変わらない。そのかわりに、このデバイスに349ドルとか払うんですけど。

要するに、ただ単にオムツにデバイスをつけて、オムツが濡れたかどうかをモニターで見るだけだとつまらないんですけど、育児ってすごい難しいじゃないですか。それが、10日後には改善されたよとか、赤ちゃんは18時半から19時半までに寝かせたほうがいいよとか。一週間後にアプリで通知がきて、ちゃんと改善されていますよとか。あとはそこにコンテンツマーケティングとして色々なコンテンツが出ている。

やはり体験というものが、赤ちゃんだけのためではなく、保護者を含めたホリスティックな体験設計になっている。尚且つ、センサーだけではなく、カメラも含めて、お子様がどうすれば気持ちよく寝ることができるかも見ている。それはイコール育児の改善にもなると。

このような、複数のタッチポイントを作って体験をホリスティックに設計している事例は他のセッションでもたくさんありました。ウェアラブルデバイスのセッションでも、ハードウェアとソフトウェアの表裏一体感、フリクションレスが重要だと。むしろアプリの体験がつまらないと良くないですし、お客様との強いつながりを作ることは難しくなります。
メーカーさんが作るカスタマージャーニーはどうしても、プロダクトが中心的になってしまう所があり、アプリ、デジタルでの体験が疎かになる。それをアプリやデジタル体験を改善するだけでなく、購入後のカスタマージャーニーを、パンパースの事例で言えば、赤ちゃんはもちろん、保護者の体験までもをホリスティックに捉えていく必要があると言っているんです。

ここまでのお話でも何度か「フリクションレス」という言葉を使っていますが、この言葉が意味することは大きいと思います。シームレスという言葉はデジタル時代の顧客体験を設計する上で非常に重要な考え方で、既に色々な所で言われてきました。しかし、今回のCESで感じたことは、「シームレスな状態」を作るだけで、企業は満足してはならないということです。お客様が、シームレスなチャネルやタッチポイントを行き来することによってどうしてもフリクション、摩擦が生まれる。なかなか完璧なシームレス環境を企業が提供することは難しい。しかし、どうやったら、何回もオンラインとオフラインを行き来してもらうために、どうしたらフリクションレスな環境を生み出せるかを考えなくてはいけないと思います。

電動歯ブラシ含め、そのほかのウェアラブルデバイスなどの優れたアプリは、リアルタイムで見てくださいではなく、後で見てくださいでもよくなっている。パンパースで言えば、オムツが濡れたかが分かる機械で、モニターがあるだけでなく、育児をどうしていくかがテーマになっている。赤ちゃんがよりよく寝られる。育児もよくなる、上手くなる。そういう感じで、複数の人間の体験をホリスティックに描こうとしている。おそらくキーノートで登場したデルタ航空もそうだろうし、トヨタも同じかなと。トヨタはそこから車だけではなく、モビリティ、街ってなっている。体験の描き方は様々です。小さい歯ブラシでも、オムツでも、みんな体験はそれ一つではない、複数に折り重なる、様々な人々の体験の総和であり、それをデザインすることが必要なんだなってことが見えてくる。

なので、CESに来て、物だけ見てお腹いっぱいになるのではなく、説明を聞いてみて、歯磨きしてみる、ちょっとオムツは着けられないんですけど。そこは非常に勉強になったなと思います。つまりどんな体験設計があるのかまで見ないと、僕みたいな小売の人間は、プロダクトばっかりでなんだこれ?昔と何が違うの?となってしまう。世界観的に変わっていないように見えるんですけど、実はCESで展示されている優れた商品、サービスは体験の細やかな設計みたいなことが、ちゃんとできていたり、表現できている。そして、そのような体験設計に不可欠なデジタル体験のリッチ化に対応するべく、5Gとかの話があちこちで出てくる。展示品だけみていてはわからないことが多いのです。

田中:手段ですよね。
P&G社が発表したオムツにつけるデバイス「Lumi by Pampers」

P&G社が発表したオムツにつけるデバイス「Lumi by Pampers」

奥谷:やっぱりセッション聞いて、ブースを回る。で、体験してみて話して、どんどん分かっていく。そこが非常に勉強になったところですね。

田中:そういう意味では、非常に驚いたのは、奥谷さんとの共通点です。初日の9時のセッション。(奥谷さんがP&Gを事例として挙げた中で)私はP&Gのセッションに並んでいたんです。物凄く特別なセッションで、なんとCEOが登場されたんですよ。P&G本体のCEOと、P&GヘルスケアのCEO、その他マーケティングの重要メンバーも出られた。
そのセッションでどういう話がされていたかというと、やはりホリスティックというものがキーワードで出てきているんです。ホリスティックをどういう文脈で使っていたかというと、データとコンタクトという異質なものを同時に使う意味でした。ホリスティックっていろんな意味がありますよね。全体的なとか、スピリチュアルの用語でもありますしね。

今回P&Gがセッションで強調していたのは、自分たちは当然、デジタルな新製品、テクノロジーの新製品を出しているけれども、やはりマーケティングの会社として、データも重視しているし、それ以上に顧客とのコンタクトを大切にしている。顧客の声に耳を傾けて、実際にそこから製品を開発していく、ということです。

日本でのファブリーズの事例を出していましたが、日本で最初は売れなかったらしいんです。そのときに、マーケターがコンタクトを重視し、まさに顧客の声に耳を傾けた。顧客にはどういう風に使われているのか、と。当時、ファブリーズはソファなど、普段洗濯ができないものを洗濯するように使っているという顧客からの生の声を得て、それをヒントにCMを流して、日本でも爆発的に売れたらしいんです。ですから、奥谷さんもP&Gを事例として挙げ、ホリスティックっていうのは非常に面白いですね。

奥谷:僕も学術をやっているので、海外の消費者行動研究の論文を読むと、ホリスティックという言葉はいっぱい出てくるんですよね。小売業の解釈で言うと、オムニチャネルって言うのが、メーカーさんからするとホリスティックなのかなと、段々分かってきました。ホリスティックな体験を、まさにCEOクラスの人がこういった場でしっかり語ってくれる、デジタルの重要性をしっかり語ってくれている。

尚且つ、ソフトとハードを点で作るだけだと、まだシームレス。さっき言ったフリクションレスで何度も行き来しても上手くいくようにする。それをカスタマーセントリックに描いていく。それでやっとホリスティックになる。

歯ブラシで歯磨きしたいのに、いきなりアプリを開いてくださいとかじゃなくて、まずはどうぞ自由に歯磨きしてください。そのあとにデータを見てください。みたいな。そういう流れを作ることができるようになってきたのは、やはりお客様中心で、ものがどう使われているかが考えられているということです。これはデジタルトランスフォーメーションの話じゃなくても大事なことだと思います。

そこを捉えて、体験が、ホリスティック な視点でデジタル化されると、データがよりとりやすくなる。そうするとよりますます顧客のタッチポイントの重要性が高まる。メーカーさんからすると、タッチポイントがハード、ソフトだけではなくて、それがフリクションレスになっていくことが、まさにホリスティックな体験になるんだよという。

世間で言いはやされていますけど、モノからコト、コトのマーケティングの定量化が今進んでいる。それがいろんなデバイスごとに起こっているんだなということをCESで感じますね。
CES2020初日に開かれたP&Gのセッションの様子

CES2020初日に開かれたP&Gのセッションの様子

田中:今奥谷さんから色々なキーワードが出ました。読者の方のためにも整理すると、OMO(オンラインとオフラインとの完全統合)という概念があるし、奥谷さんの役職名でもあるオムニチャネル、そしてフリクションレスという概念もある。根本的には、カスタマーエクスペリエンスを向上させていくことが目標として中核にある。これがエクスペリエンスデザイン、体験設計。そのもっと根底にあるのがカスタマーセントリックという考え方です。さらに面白いのは以下の点です。

フィットネスベンチャーPeloton(ペロトン)が急成長する理由

田中:今回実は、CESでのさまざまなセッションにおいて、もう一つの重要なキーワードは、周辺のコンピューティングや周りのコンピューテングという概念であると感じました。英語で言うとambient computing(アンビエントコンピューティング)。おそらく先ほどの奥谷さんのお話に非常に近い概念ではないかと思います。

ambient computingというのは、例えばスマホの場合、それを使っていることをバリバリ意識させられてしまうけれども、今や5Gの時代になり、完全なコネクティッドの世界になると、何もデバイスがなくてもコンピューティングは受けられる。コンピューティングのサービスを受けてるけれども、受けてるように感じさせない、非常に快適で、自然であるみたいな概念です。5G、音声認識AI、VRなどのテクノロジーがオーバーラップして自然に快適にコンピューティングのサービスを受けることができる。

奥谷:それはまさにホリスティックですよね。

田中:はい、そうなんです。ですから、そういう世界観が、テクノロジーで現実的に可能になってきたと思いませんか?

奥谷:やっぱり、アンビエントということがまさにフリクションレスだと思うんですよね。シームレスと言われてもやってみたらフリクション、摩擦があるじゃん、なんか使いにくいという体験が結構あると思います。でも、まさにアンビエントにしていくことで、デバイスレスで体験をしていけば、体験はまさにフリクションレスになっていく。さらに、顧客データも溜まっていくと思います。

この辺り、今回のCESでもフィットネス関係の話は結構面白いです。僕が聞いたウェアラブルデバイスは結構スポーツ系が多くて、さっき言ったハードウェアとソフトウェアの融合と同時に、例えば、音楽聴きながら運動ってするよね、動画見ながら運動ってするよね、だったらフィットネスクラブも動画をやっていったほうがいいと。例えば、ペロトンという非常に大きな資金調達をしているフィットネスのベンチャー企業があります。他にも、ウェアラブル=スポーツ、やはりウェルネスだったり、痩せたいだったり、色々なニーズがある。それに対して、メーカーもフィットネスクラブもコンテンツを提供すべきで、それこそ運動するときに音楽を提供するベンチャーがいて、それがハードウェアとの一体化を目指してる。

これから一社で全部の体験を提供するのは、例えフィットネスクラブでも難しい。ベンチャー企業、老舗の会社ともに、新しいテクノロジーとハードウェアを、サービス、ソフト、ハードとつないでいくことがますます大事になってきます。

それを顧客中心にやると、まさにアンビエントコンピューティングです。何も気にしなくても、スマホ一台置いておいて、そこにデータが溜まっていくみたいな世界。歯磨きしているだけでデータが溜まる。運動したらデータが溜まる。そこにデジタルのコミュニティがあって、目の前で一緒にやってるわけじゃないけど、先のペロトンでは、友達がやっているのが見える。ペロトンをやっているではなく、みんなで運動してる、という感覚、実はデジタルで全部つながっている。ナイキのシューズでランニングしてる人が、ナイキのコミュニティでつながっているのと同じです。そういった世界を、どんどん、メーカーさんも描こうとされている。そんな兆しもCESから感じましたね。

田中:そうですよね。アメリカにいる友人の何人かがペロトンをやっているんですが、最初になんでやってるの?って聞いた時に、ほとんどみなさん同じ答えなんですよね。ペロトンはエクササイズバイクのサブスクリプションサービスですが、みんな「楽しいからやってる」と答える。自宅で一人でやっているんだけど、デジタルでつながって、みんなと一緒にやってるんで楽しいという。面白いですよね。

奥谷:不思議なのは、マクロ的に見たら、一人でやってるだけじゃないですか。自宅でマシーンに向かっているだけ。

田中:デジタルでつながって大勢とやってるということなんですよね。

奥谷:それもホリスティックな体験だと思うんですよね。今までだったら家にあるマシーンに向かっているだけだったのが、結局、デジタルコネクティッドな環境があるから、みんなとやってる感じがする。ウェアラブルのセッションでもベンチャーの人が言ってたんですが、これからはデジタルのコミュニティが大事だと。僕も今学術的にオムニチャネルショッパーの研究やってて思うんですけど、そこから見えてくるものって結構、一見冷静、でも熱い消費者なんですね。

田中:冷静で熱い消費者。よくおっしゃってますよね。

奥谷:メーカーとか小売って、よく口コミしてほしいと考えていると思うんですけど、実際僕らも、じゃあものすごくアップル製品について語っているかというとそうじゃない。一方で、運動してますかという話はしていて、運動の仕方が、ライザップなのかペロトンなのかという話がついてくるわけで、コトの話が先に出てくると思うんですね。そこで、ハードウェアメーカーは、コンテンツをデジタルを活用してつないでおけば、そこにシームレスな関係、さらにはフリクションレスな関係もできるわけです。

ペロトンの事例で言えばお客様って一瞬見るとクールな感じがする。つまり、ハードウェアに向かって、なんかやってるだけ。例えば、無印でもオイシックスでも良いんですけど、ただ買い物しているだけで、口コミしたり推奨したりするかというと、うーんと言う。でも、実はブランドのことは好きで、オンラインのコミュニティではそれが見えている。これは、企業側が見えていないことです。

こういった点を意識したカスタマージャーニーを、我々は作っていく必要があるんじゃないかというのが、CESで明らかになってきました。なんとなく思ってきたことが、本当にわかってきたというのが、この2~3日の間で感じていることですね。

田中:そういう意味では、ペロトンはカスタマージャーニーやカスタマーエクスペリエンスについて、すごく説明しやすい題材だなと思いました。物理的にいうと、自宅に置いてあるただの自転車です。視覚的に見ていると、一人で自転車を漕いでいるだけ。でも、やってるご本人はみんなと一緒に漕いでいる感覚でしょう。それがまさにやっている人が体感しているカスタマーエクスペリエンスですよね。

奥谷:そうそう。目の前にあるデバイスでカリスマトレーナーが「ワークハードしろ」って言って、横で友達がやっているのが見えることで頑張る、ということなんです。実はつながってないようでつながっている。

体験設計にとって大きなテーマは「つながり」

奥谷:2020年、ぱっと見、ハードウェアの進化が小休止している感じがします。分からない人からすると、去年と同じなんじゃないかと思うかもしれないんですが、それはおそらく、2020年以降はしばらく、それらをホリスティックな体験に置き換え直す時代になると思います。消費者がいろんなものを消費、消化する時代に、商品の差別化は難しくなってきていて、だから体験が大事になってくる。だからこそ、カスタマージャーニーのうまい設計が大事になってきている。

一見するとただの電動歯ブラシだね、パンパースに何かついたね、ペロトンって何?高級な家庭用のマシーン機器じゃん、と思うかもしれないんですが、実は全部デジタルにつながっているよと。この後ろにお客さんのエンゲージメントがあって、熱くは語らないけど、裏でネットワークが見えている。彼らの熱い思いがつたわってくる。ここを僕らが見ていく必要がありそうですね。

田中:おっしゃる通りです。今回はデジタルシフトタイムズの企画ですが、デジタルシフトの目的は、ただ単にデジタル化することじゃない。自分たちがやってきた事業をデジタルによってアップデートする、進化させることに本質があると思うんです。ペロトンはデジタルを使っていますが、多分ポジショニングの本質、顧客に対してどういう価値を提供しているかで言えば、「自宅で手軽に、みんなとつながって、楽しく運動したい」なのだと思うんです。それが実際に提供している顧客の経験価値で、機械的なデジタルの自転車を提供しているわけでは決してないわけですよね。

奥谷:本当につながりが大テーマだなと思います。例えば、デルタ航空の体験設計も同じ。失礼な言い方をすれば、彼らがやっていることのうち、新しい体験はベンチャー企業と一緒に組んでいるものばかりです。Lyft(配車サービス)とデルタ航空はつながっているのでマイルが貯まるとか、今後はチェックインしたら席に応じて動画配信をアプリで見られるようにするとか、荷物を自宅まで取りに行くとか。結局彼らが目指していることは、色々な所と手を組んで、ホリスティックな体験を提供することですよね。ただ飛行機に乗って目的地に届けるだけではない。

「飛行機に乗られるんですよね、チェックインも大変ですよね、じゃあ楽にするために早めに荷物預けてくださいよ、早めに映画でもなんでも見てくださいよ」ということを目指すには、アライアンスが本当に重要で、それを消費者がカスタマーセントリックに、デジタルを活用したつながりにしていく。もしかすると、一見消費者は「デルタの飛行機の体験は普通だね」と言うかもしれないけど、実はその前に映画を見せてもらったり、荷物を先にチェックインできるようになったりすることで、実はホリスティックな体験が顧客満足を作っている。そういうことをいわゆる大手企業も考えているんです。やっぱり、どんどん体験が大事になる。体験の可視化と、「どうでしたか?」という質問をすることが大事な時代になるんじゃないかなと思います。

田中:今の事例も、日本だと今MaaSという概念が重要になってしまっていて、色々なトランスポーテーションをただ単につなげる、企業側の論理ですよね。でも、MaaSということよりは、根底にあるカスタマージャーニーがより重要です。まさに、乗る前にこんなことしたいとか、そういった一連のことがデジタルでつながり、優れたカスタマージャーニーが提供される、ということが本質にある。今の日本でのMaaSの主軸は、どちらかというと生産性の向上とか、自分たちのビジネスを増やしたいとか、ちょっと企業側の論理っぽいですよね。

奥谷:CESの場合は特に、プロダクトがあるんで、仕方がない部分もあると思うんですよね。ただ、やっぱり頑張っている企業の背景には、ホリスティックな体験、フリクションレスな体験がありますよね。サービスを起点にソフト、ハードがある。ここをしっかりと分かっている所はちゃんとした設計になる、ということだと思います。

田中:そうですね。お互いに、事前に情報交換したわけでもないのに、私は最初のセッションはP&Gだったし、奥谷さんがご覧になられた全てのブースの中で印象深かったのはP&Gということでした。それでは、最後に、見ていらっしゃる方に、CESを踏まえて、メッセージを一言伝えていただければと思います。

奥谷:僕自身はプロダクトのプロではないんですが、CESに来て、顧客体験の目線から一つひとつのものを丁寧に見たり、エウレカパークといって、ベンチャー企業がたくさん出展している所も回ったりしました。皆さんも、もしいらっしゃることがあれば、どんどん体験してみて、聞いてみる。これが大事なんじゃないかなと思います。

それをやっていくと、これ見たことあるよというものもあれば、体験してみたら、失礼ながらプロダクトアウトだねというものも見えてくる。でも、やっぱりカスタマーセントリックなものは、一見普通でも、すごく深いユーザーインサイトをもってカスタマージャーニーを組もうとしていることがわかります。そこを見に来ると、CESの良さが伝わるんじゃないかなと思いました。

初めて来たので、最初はモノに圧倒されちゃったんですけど、体験してみる、聞いてみる、顧客中心でいうと何ができるの、という観点で触れてみる。あ、これプロダクトアウトだなと思ったら次のブースに行ったら良いと思いますね。

田中:そうですよね。本当にホリスティックで全体的で補完的にシンクロしたと思ったのは、お互いにキーとなる企業がP&Gだったし、私は説明を受けたけど、歯磨きまではしませんでしたから、歯磨きまでした奥谷さんにゲストで来ていただいたことは本当に有意義でした。本当に今日はお忙しい中をお越しいただきましてありがとうございました。

奥谷:いえ、また機会があればよろしくお願いします。

田中:どうもありがとうございました。

奥谷:ありがとうございました。
※記事の文章に対談者がお伝えしたい内容を補足・加筆しているため、 動画内容と記事中で一部表現の違いがございます。

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今再び注目される「物語マーケティング」。顧客とともに意味を創ることがブランド価値構築の鍵になる。

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商品やサービスが溢れる時代。企業には、ただ商品を提供するのではなく、持続的な顧客との関係を築くことが求められている。そこで再注目されているのが「物語マーケティング」という手法だ。物語はなぜ有効なのか、企業はどう物語をつくり伝えていくべきなのか。中京大学経営学部にてマーケティングを物語の視点から研究する津村将章准教授に、株式会社オプト マーケティングマネジメント部部長の園部武義氏がお話を伺った。

95%が失敗しているDX化の課題を大企業・国・メディアのキーマンたちが語る

95%が失敗しているDX化の課題を大企業・国・メディアのキーマンたちが語る

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化が待ったなしの状況を迎えている中、2020年2月7日に東京・渋谷で、5GとDXをテーマとしたカンファレンス「DX Drive 2020」が開催された。今回は「5Gが加速するDX」というテーマで行われたキーノートの模様を紹介する。 ※この記事は、セッションの内容を一部、編集、抜粋してお届けしています。

広告代理店の枠を脱し、社運をかけて日本企業全体のデジタルシフトを遂行する理由<前編>

広告代理店の枠を脱し、社運をかけて日本企業全体のデジタルシフトを遂行する理由<前編>

「その変革に勇気と希望を。」を、旗印に産声を上げたDigital Shift Times。 Digital Shift Timesは、日本企業のデジタルシフトの道しるべになることをミッションに掲げ、未来を見据えて経営の舵取りをしている経営者層やデジタル部門・マーケティング部門の責任者向けに、デジタルシフトと向き合い企業の変革を進めていく上で必要となる情報を提供していきます。

「メディアと広告の未来」~NewsPicksのデジタルシフト。その次に来るものとは

「メディアと広告の未来」~NewsPicksのデジタルシフト。その次に来るものとは

『東洋経済オンライン』『NewsPicks』の編集長を歴任し、現在は株式会社NewsPicks取締役、NewsPicks Studios CEOを務める佐々木紀彦氏。経済誌の記者を振り出しに、編集者、映像クリエイター、経営者と進化し続ける佐々木氏は、これからのメディアと広告をどう見据えているのだろう。佐々木氏のこれまでのキャリアと思考をもとに、同氏が徹底的にこだわるコンテンツの考えかたをつまびらかにするとともに、組織の文化や人の魅力づくり、リーダーシップ論にも切り込んでいく本企画。全3回にわたり、立教大学ビジネススクール 田中道昭教授との対談形式でお届けする。 初回は、佐々木氏が『東洋経済オンライン』『NewsPicks』をトップブランドに成長させていった軌跡と秘訣について探るのとともに、現在にいたる佐々木氏の経歴をたどりながら5G時代を見据えたメディアとコンテンツのあり方についてユニークな討論が交わされた。 *本稿は対談の要旨であり、実際の対談内容は動画をご覧ください。

【倉庫屋からテック企業へ】寺田倉庫が事業転換できた3つのコツ

【倉庫屋からテック企業へ】寺田倉庫が事業転換できた3つのコツ

倉庫会社の中では異例とも言えるスタイリッシュなコーポレートサイトを持つ寺田倉庫株式会社。アートやワイン、建築模型など、取り扱うサービスも従来の倉庫事業の枠を超えるものだ。なかでも、誰でも自分の倉庫が持て、いつでも引き出し可能なwebサービス「minikura(ミニクラ)」はいまや寺田倉庫を代表するサービスの一つになっている。ほんの数年前まで従来のトランクルームや物流サービスを主軸としていた寺田倉庫が、デジタル変革を遂げ、リブランディングを成し遂げた経緯について、変革の一翼を担った専務執行役員の月森正憲氏に話を伺った。

出版不況へ挑む講談社のデジタルシフト戦略

出版不況へ挑む講談社のデジタルシフト戦略

出版市場の縮小が止まらない―。2018年の市場規模(紙の出版物)は約1兆3,000億円。14年連続で販売額が減少し、ピークだった1996年の半分以下に落ちこんだ。そんな中、デジタルシフトに成功し、業績を立て直した企業がある。創業110年の名門・講談社だ。同社は「出版の再発明」を掲げて、2015年に組織を再編。出版物ベースのビジネスモデルから脱却し、独自の進化をとげつつある。そこで今回は、講談社のメディアビジネス領域に従事するライツ・メディアビジネス局 局次長 兼 IT戦略企画室 室次長である長崎亘宏氏を取材。前編では、戦略の要諦や具体的な取り組みなどについて聞いた。

広告代理店の枠を脱し、社運をかけて日本企業全体のデジタルシフトを遂行する理由<後編>

広告代理店の枠を脱し、社運をかけて日本企業全体のデジタルシフトを遂行する理由<後編>

Digital Shift Timesは、日本企業のデジタルシフトの道しるべになることをミッションに掲げ、未来を見据えて経営の舵取りをしている経営者層やデジタル部門・マーケティング部門の責任者向けに、デジタルシフトと向き合い企業の変革を進めていく上で必要となる情報を提供していきます。

「メディアと広告の未来」~NewsPicksのデジタルシフト。その次に来るものとは #02

「メディアと広告の未来」~NewsPicksのデジタルシフト。その次に来るものとは #02

『東洋経済オンライン』『NewsPicks』の編集長を歴任し、現在は株式会社NewsPicks 取締役、NewsPicks Studios CEOを務める佐々木紀彦氏。経済誌の記者を振り出しに、編集者、映像クリエイター、経営者と進化し続ける佐々木氏は、これからのメディアと広告をどう見据えているのだろう。佐々木氏のこれまでのキャリアと思考をもとに、同氏が徹底的にこだわるコンテンツの考えかたをつまびらかにするとともに、組織の文化や人の魅力づくり、リーダーシップ論にも切り込んでいく本企画。全3回にわたり、立教大学ビジネススクール 田中道昭教授との対談形式でお届けする。 二回目の今回は、佐々木氏が提唱する、編集思考の四つのステップを話題の中心にしながら、同氏の核心に田中氏が深く迫る形で論が展開された。 *本稿は対談の要旨です。実際の対談内容は動画をご覧ください。

「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる」EC事業者からプラットフォーマーとなったアリババの本質

「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる」EC事業者からプラットフォーマーとなったアリババの本質

2016年末、中国のアリババグループの創始者ジャック・マー氏が提唱したニューリテール戦略。オンラインとオフラインを融合し、新しくより良い顧客体験を届けると同時に、事業者側の課題解決も目指したものだ。約3年が経った今、日本にもニューリテールという言葉が浸透し、注目が集まっている。現地、中国ではどのような変化が起こっているのだろうか?