カジュアルな雑談を叱る上司がビジネスチャットの活性化を妨げる! Chatwork山本社長に聞く、使いこなし術 6選。
2020/6/15
新型コロナウイルス感染症の流行を受け、リモートワークが急速に拡大しています。多くの人がリモートワークを経験する中で、多くの方が課題に感じたのが「雑談や小さな相談も含め、社員同士のコミュニケーションが今までよりも少なくなる」ことではないでしょうか。これまで、すぐ近くで働いていて、実際に目で見て様子を把握していたり、気軽に声をかけることができなくなったことに戸惑った方も多いと思います。
そんな課題を解決するツールの一つに「ビジネスチャット」があります。日本発ビジネスチャットツールを展開しているChatwork株式会社は「特定の相手と2~3回以上コミュニケーションをとる場合はチャット」「プロジェクトごとにグループチャットを作る」など、独自のルールで、ビジネスチャットを最大限使いこなしていました。同社代表取締役CEO兼CTO 山本 正喜氏に、効率的なツールの使い方について詳しくお話を伺いました。
Contents
ざっくりまとめ
・ここ最近、ビジネスチャットの導入企業は一気に増加
・ビジネスチャット導入成功の秘訣は、他のツールからの切り替え方にアリ
・特定の相手と2~3回以上コミュニケーションをとる場合はチャットが便利
・ビデオ通話/音声通話「Chatwork Live」を使うのは「エモーショナルな場合」と「クリエイティブな場合」
・ニュース共有、部活の連絡、日報のシェアなど業務連絡以外にもビジネスチャットは有効
・社員に活発に活用してもらうためには、カジュアルな雑談を怒らないこと
リモート環境下でチャット導入企業企業が大幅増
感染症の流行初期である1、2、3月は、サービスのご利用企業数など特に大きな変化はありませんでした。ただ、4月に緊急事態宣言が発令されてから導入いただく企業数が一気に増えましたね。
また、最近になってビデオ通話/音声通話「Chatwork Live」の利用が増えました。本格的にリモートワークをするなかで、チャットだけでは難しいコミュニケーションもあるので、ビデオ会議が増えたんだと思います。
Chatwork導入を成功させる秘訣は?
典型的なのは、電話やメールなどこれまで使ってきたコミュニケーションツールはそのままに、新しくChatworkも使い始めるパターンです。
社員からすると、今までならメールだけ見ていればよかったものを、Chatworkも見なくてはならなくなるなど、やるべき事が一つ増えるんですよね。その結果、逆に不便に感じる方も多くいらっしゃいます。
そんな問題を防ぐために、たとえば、社内メールは全部チャットに置き換えたり、日報はすべてチャットに書くようにするなど、コミュニケーションを切り替える必要があります。何をチャットでやって、何をこれまでのコミュニケーションツールでやるのか、明確に決めることが重要です。
―逆に、うまく活用できている例を教えてください。
先の例の反対ですね。例えば、チーム内のやり取りは全てチャットで行うように切り替えた場合は、うまくいくケースが多いですね。うまく切り替えられるチームは大体、10名以内ほどであることが多いです。
一つのチームで上手くいけば、それを横で見ていた違うチームも真似できるようになり、導入も簡単になります。もし、全社的にコミュニケーションをビジネスチャットに切り替えたいという場合は、まずはいくつかのチームで導入事例をつくり、その後全社に展開していくと良いでしょう。
ビジネスチャットは、慣れると簡単ではあるものの、新しい手法に戸惑ってしまう人も多いです。一気に全社導入するのではなく、まずは2、3チームで導入して、詳しい人を作り、背中を見て学べる環境を作ることが、失敗しないコツだと思います。
Chatwork社は電話・メール・チャットをどう使い分けている?
特定の用途に絞って使うようにしています。
たとえば電話は、緊急連絡に使います。メールは、名刺交換後のご挨拶など不特定多数の方に1~2回同じ連絡を一斉に送る場合に使います。そのうえでChatworkは、特定の相手と2~3回以上コミュニケーションをとる場合に使っています。
具体的な使い方として、我々は、話し合うトピックごとに新しくグループチャットを作るようにしています。部署やチームごとにしかグループチャットを作っていない会社さまもいらっしゃいますが、それにプラスしてトピックごとに関連する人のグループチャットを作った方が効率的にコミュニケーションがとれるようになります。
現在、従業員が129名(2020年5月末日時点)いますが、5000以上のグループチャットがありますね。自分宛に来たメッセージが「未読」になっているグループチャットだけ見に行くので、たくさんのグループチャットがあっても混乱することはありません。
感情的なコミュニケーション、クリエイティブな議論はビデオ会話で
どうしても対面でのコミュニケーションは必要な場合に使っています。使うケースは大きく2種類で、それぞれ「エモーショナルな場合」と「クリエイティブな場合」の2つです。
エモーショナルな場合とは、要するに、感情的なコミュニケーションが必要な場合です。例えば定期的に開催するマネージャーとメンバーとの1on1や、プロジェクトが終わった後の打ち上げなど。感情の共有もしたい場合は、お互いの顔を見ながらの方がうまくいくんです。
クリエイティブな場合とは、たとえば企画会議など、新しいアイデアを生み出す場合です。思いついたことをポンポンやり取りする際には、チャットよりも直接話した方がスムーズに進みます。
気になったニュースや日報もチャットで投稿
たとえば、社員が気になったニュースのURLと一言を投稿できるグループチャットを作ったりしています。それによって、他の社員が情報を仕入れることができたり、添えられた一言によりただのニュースが、自社に関連する情報だと考えられるようになったりします。ただのニュースアプリとはまた違った価値が生まれているのだと感じています。
また、自社にはボルダリング部やサウナ部など色々な部活があるのですが、その連絡手段としてもビジネスチャットを使っています。
他にも、面白い使い方としては、個人の日報を投稿するためのグループチャットを作ったりもしています。同じ部署の人が見れるようにしていて、社員は、仕事終わりに、今日やったことや今困っていることを書いて投稿します。すると上司だけでなく、同じ部署の社員がコメントをつけるので、部署内で助け合いが生まれるのです。
部署内のメンバーが全員参加しているグループチャットは別にありますが、そこに自分の悩みを投稿するのははばかられます。個々人の悩みを投稿する専用のグループチャットがあれば、気軽に考えていることをシェアできるようになるんです。
Chatworkを有効に活用するために
カジュアルな雑談を怒らないようにすることですね。
フランクな言葉遣いや、絵文字の利用などで一見すると仕事中に無駄な雑談をしているように見える場合もあります。しかしそれを注意してしまうと、注意された方は萎縮してしまい、活発なコミュニケーションが出来なくなってしまいます。
実はオフィスでは、タバコ部屋をはじめ、日常的にフランクなコミュニケーションは行われてきました。それが可視化されることで、目につくようになりますが、そこで怒ってはいけません。許容し、むしろ積極的に奨励するぐらいのマインドチェンジが必要です。
それで初めて、ビジネスチャットを使ったコミュニケーションが活発になり、社内の情報共有や連携がよりスムーズになっていくからです。