人・組織・リーダーシップ

リモート面接・説明会の副次効果、学生の質問数が10倍に――コロナがもたらした採用活動の変化とは?

新型コロナウイルスの影響で、さまざまな企業活動が、ICT環境を利用した「リモート(遠隔)」に急速に置き換わっています。特にこの時期、企業にとっては新卒採用の注力時期であることから、「WEB面接会」「リモート面接」を導入・拡大する企業が後を絶ちません。
これまで、対面でのコミュニケーションが好まれてきた採用活動ですが、リモート環境で行うことで、思わぬポジティブな効果が得られるようになっているようです。株式会社オプトの採用チーム松本 拓也 氏に話を伺いました。
――オプトでは、新型コロナウイルス感染症を受けて、どのように採用活動を変えていますか?

オプトでは、これまでもリモート面接を導入していましたが、希望者に対する対応にとどまっていました。一方、今期はその比率を逆転させているような状況です。さらに面接だけでなく、説明会などもZoomビデオウェビナーを利用したオンラインへ切り替えました。

オフライン、つまり対面で行うことのメリットももちろんあるのですが、オンラインの比重を高めたことで得たメリットも多いです。

例えば弊社の場合、学生の就活シーズンには、200名規模の学生を招いた会社説明会を月に2~3回ほど開催していました。規模が大きいだけに会場設営などにも時間がかかっていましたし、地方で行う場合は、移動時間なども取られていました。オンラインで開催することでこうした時間や労力が大幅に削減されています。

面接も同様で、場所や時間の制限がなくなったことで、現場の社員との日程調整などが簡単になっています。
※採用スタッフがオンラインで面接をする様子

※採用スタッフがオンラインで面接をする様子

――学生の反応はいかがでしょうか?

特に地方の学生は、移動にかかる金銭的コストもなくなって非常に喜んでいますね。感染症対策のためでなく、こうした形式の面接が増加することを希望されています。

一方、東京の学生は正直なところ、対面で話したいという希望を出される学生さんが一定数いるという感覚です。実際、オンライン選考だけだと、どうしても社風・人の良さが伝わりづらいので、オンライン配信での社員トークセッションイベントなどを開催することにして、選考中の学生さんとのコミュニケーション量・頻度を増やす工夫もしています。
※社員トークセッションイベントをオンライン配信する様子

※社員トークセッションイベントをオンライン配信する様子

――採用活動自体の成果に具体的な変化はありましたか?

まず説明会についてですが、オンライン開催にすることで、会場の物理的なキャパシティによる人数制限がなくなり、一度に参加する人数が2倍近くになりました。学生にとっても、キャンセル待ちをする確率が減っていて、参加しやすくなっていると思います。

また、説明会中に学生からあがる質問の数も増えました。オフライン開催に比べると10倍ほどの質問をいただけるようになっています。オンライン開催を機に説明会の設計を変え、質疑応答時間を意図的に増やしたんです。例えば、Zoomのチャットツールを併用することで、一つひとつの質問にかける時間が短縮されました。また、画面越しのコミュニケーションであることや周囲の人の反応を気にする必要がないといったことも理由のひとつかもしれません。


――今回の新型コロナウイルス感染症への対応を契機に、採用活動は変わっていくと思いますか?

リモートの割合は急増すると思いますが、人事、学生ともに「やはり対面を」という声は根強くあります。感染症の影響を気にすることが無くなれば、一定量の活動はオフラインに戻るという印象です。

ただ、オフラインで開催することに、より明確な意味づけや価値創出が必要となるでしょう。オンラインをベースとしつつ、学生とのリアルなタッチポイントで「体験価値」をいかに創出するかという考え方が重要です。いわゆるアフターデジタルな世界に対応した企業ほど、採用力が高くなります。

例えば、学生が事前にWEBで会社情報を確認できたら、そもそも自分の就職活動の軸と違う会社の選考に参加しなくて済みますし、選考の中でline@などを通じてのコミュニケーション量も増えるので、会社理解が深まって入社後のギャップも減らせると考えています。

説明会は会社の雰囲気を体感してもらえるような体験型コンテンツを充実させなくてはなりません。コミュニケーションのベースがデジタルになることで、選考過程における離脱率などの数値もより見える化できるでしょう。
HRテックといった言葉もありますが、これからの時代、人事部は単に新しいツールを導入するだけでなく、アフターデジタルな社会に適した採用活動を設計できなくてはなりません。

新型コロナウイルス感染症の対策として進んでいるのは、あくまで前者のツールの導入に過ぎないんです。これを契機に採用活動をデジタルシフトしていかなくてはならないと、私自身強く意識しています。

改めてではありますが、こうした採用活動のデジタルシフトには、就活生の方にとっても大きなメリットがあるというのが大事なんです。時間と場所の制約があると、アルバイトや授業を休む必要があったり、高い交通費を払う必要があったり、遅れないように選考会場に到着し、暇な時間をカフェで過ごすカフェ代がかかったりしますからね。

学生視点で採用活動を行えているところは、自ずとデジタル化が深まり、採用力が高まっていく。取り組みの遅い企業との採用力格差はどんどん広まっていくでしょう。
松本 拓也
株式会社オプト 人事戦略部 採用チーム
2017年、株式会社オプトホールディング入社。入社以来一貫して人事・採用業務に従事。新卒採用における戦略策定を担うほか、年間で数百人の学生との面談を自ら行っている。

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